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後日譚・取り違えたその後の二人
110 にくいあんちくしょう ⑩
町に出て、若いオシャレな女子がよく利用している服屋に入った。ジュリエッタが所在なさげにしていたので、俺が独断と偏見で選ぶ。
「これ! 着てみて!」
淡いピンクのワンピース。いかにも女子って感じの、ヒラッとしたヤツ。
「ええっ……そんなの、似合わないわよ……」
ジュリエッタは嫌そうというより、困ってる感じだ。
「お客様、色白で可愛らしいお顔立ちなので、とってもお似合いだと思いますよー」
援護射撃ありがとよ、店員さん。流れで困惑するジュリエッタを試着室に放り込む。
「いかがですかー?」
「…………なんか、ちょっと……」
しぶしぶ出てきたジュリエッタが困っているのもわかる気がした。
「お客様、とってもスタイルよろしいんですね……」
胸がパツンパツンで妙にずり上がってしまっている。助けを求めようと店員さんを見ると、なにか使命感に燃えた様子。
「色と雰囲気はとてもお似合いです! こちらのサイズをお召しになってください!」
店員さんは2サイズも上のものを持ってきた。ちびっこにはデカくない?
「……楽は楽なんですけど…………」
やっぱりジュリエッタは困ってる様子だ。なるほど、胸に合わせるとシルエットがだらしなくなるんだな。店員さんを見ると「計算通り」という顔をしている。
「ウエストと丈を調整いたしますね」
店員さんはものすげーテキパキと待ち針を留めていった。
「いかがでしょうか」
店員さん、あんた正直わかってる。シルエットがまるで違う! できる女だ!
「おお、すごい! ぴったり! ジュリエッタ、似合ってるよ! これ買おうぜ!」
「う…………」
ジュリエッタ、呆けてる。ええい、意識飛ばしてる間に会計してしまえ。
「お直しに一週間ほどかかりますが、よろしいですか?」
「かまいません」
「あの」
店員さんがカードを差し出す。
「? なんですか、これ」
「系列のセミオーダーもできる店のご案内です。この店は量産品しか置いていないので。彼女さん、とてもスタイルがよいので、おそらく合う服が少ないと思います。でも! あの可愛らしいお顔と、とても素敵なスタイルを埋もれさせるのは、大変大変もったいないので! ぜひ活かしていただきたいんです!!」
世界の喪失とか人類の損失、といった勢い。あ、この人本気だわ。
「あ、ありがとうございます」
カードをありがたく受け取り、頭を下げた。
「あんな、可愛いの、だめだよ……」
店を出ても、ジュリエッタはまだ困惑している。
これまでジュリエッタを見ていて、ずっと気になっていた答が、なんとなく出た。
「……お前に足りないのは、普通の女の子の経験だ」
「なに言って……」
「普通の女の子だったら、なにも躊躇しないことが、経験ないからわかんないんだろ?」
黙られてしまった。なんだか、罵倒される方が気が楽。
「とりあえず、デートするか」
「……え?」
ジュリエッタがよくわからないという表情をしているから、矢継ぎ早に言う。
「美味いもん食ったり、楽しいことしたり、綺麗なもん見たり。そういうこと、アホほどいっぱいしよう」
「……そんな…………」
「俺が! したいから! 付き合え!!」
手始めにジュリエッタの手を取り、恋人つなぎにする。俺はべたべたするのが得意じゃないから、正直、言われないとこんなことしない。特に、ジュリエッタは性格がアレだし、一緒に出歩く時も恋人とか夫婦みたいな甘い空気は皆無で、こんなこと、全然したことなかった。
手が、震えてる。
「ルーカ……やめ、ようよ、こういうの……」
やめろという命令ではなく。
「美味いデザート出す店がこっちにあるから、茶飲みに行こうぜ。好きだろ、甘いもん」
無視してむしろ指に力を込める。ジュリエッタも観念したのか、俺に引きずられていた。
「これ! 着てみて!」
淡いピンクのワンピース。いかにも女子って感じの、ヒラッとしたヤツ。
「ええっ……そんなの、似合わないわよ……」
ジュリエッタは嫌そうというより、困ってる感じだ。
「お客様、色白で可愛らしいお顔立ちなので、とってもお似合いだと思いますよー」
援護射撃ありがとよ、店員さん。流れで困惑するジュリエッタを試着室に放り込む。
「いかがですかー?」
「…………なんか、ちょっと……」
しぶしぶ出てきたジュリエッタが困っているのもわかる気がした。
「お客様、とってもスタイルよろしいんですね……」
胸がパツンパツンで妙にずり上がってしまっている。助けを求めようと店員さんを見ると、なにか使命感に燃えた様子。
「色と雰囲気はとてもお似合いです! こちらのサイズをお召しになってください!」
店員さんは2サイズも上のものを持ってきた。ちびっこにはデカくない?
「……楽は楽なんですけど…………」
やっぱりジュリエッタは困ってる様子だ。なるほど、胸に合わせるとシルエットがだらしなくなるんだな。店員さんを見ると「計算通り」という顔をしている。
「ウエストと丈を調整いたしますね」
店員さんはものすげーテキパキと待ち針を留めていった。
「いかがでしょうか」
店員さん、あんた正直わかってる。シルエットがまるで違う! できる女だ!
「おお、すごい! ぴったり! ジュリエッタ、似合ってるよ! これ買おうぜ!」
「う…………」
ジュリエッタ、呆けてる。ええい、意識飛ばしてる間に会計してしまえ。
「お直しに一週間ほどかかりますが、よろしいですか?」
「かまいません」
「あの」
店員さんがカードを差し出す。
「? なんですか、これ」
「系列のセミオーダーもできる店のご案内です。この店は量産品しか置いていないので。彼女さん、とてもスタイルがよいので、おそらく合う服が少ないと思います。でも! あの可愛らしいお顔と、とても素敵なスタイルを埋もれさせるのは、大変大変もったいないので! ぜひ活かしていただきたいんです!!」
世界の喪失とか人類の損失、といった勢い。あ、この人本気だわ。
「あ、ありがとうございます」
カードをありがたく受け取り、頭を下げた。
「あんな、可愛いの、だめだよ……」
店を出ても、ジュリエッタはまだ困惑している。
これまでジュリエッタを見ていて、ずっと気になっていた答が、なんとなく出た。
「……お前に足りないのは、普通の女の子の経験だ」
「なに言って……」
「普通の女の子だったら、なにも躊躇しないことが、経験ないからわかんないんだろ?」
黙られてしまった。なんだか、罵倒される方が気が楽。
「とりあえず、デートするか」
「……え?」
ジュリエッタがよくわからないという表情をしているから、矢継ぎ早に言う。
「美味いもん食ったり、楽しいことしたり、綺麗なもん見たり。そういうこと、アホほどいっぱいしよう」
「……そんな…………」
「俺が! したいから! 付き合え!!」
手始めにジュリエッタの手を取り、恋人つなぎにする。俺はべたべたするのが得意じゃないから、正直、言われないとこんなことしない。特に、ジュリエッタは性格がアレだし、一緒に出歩く時も恋人とか夫婦みたいな甘い空気は皆無で、こんなこと、全然したことなかった。
手が、震えてる。
「ルーカ……やめ、ようよ、こういうの……」
やめろという命令ではなく。
「美味いデザート出す店がこっちにあるから、茶飲みに行こうぜ。好きだろ、甘いもん」
無視してむしろ指に力を込める。ジュリエッタも観念したのか、俺に引きずられていた。
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