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後日譚・取り違えたその後の二人
117 その闇に射す光 ⑤
ぐーきゅるる……と情けない音が空腹を告げる。
「あ……。すみません……」
腹の虫の主は私じゃない。私の本当の運命の相手だというリカルド。見るからに善良そうな、普通の人。
「厨房に行けば? ルーカが作ったものがなにかあるわよ。たぶん」
「ルーカさんが?」
「私は料理なんてできないもの」
「……じゃあ、お言葉に甘えて、いただいてきます……」
料理ができないことにツッこんだりはしないのね、善良だから。でも、その気づかいが、かえって私をいらつかせた。サクッとツッこめばいいのに。
しばらくすると、リカルドはしょんぼりと帰ってきた。
「冷蔵庫、カラッポでした……」
そういえば。せっかくだから、宿でちょっと豪華な食事をしようという話をしていたんだった。
ルーカは私になるべくいろんなものを食べさせてくれようとする。料理本を買ってきてレパートリーを増やしたり。自分は肉を食べられないのに、私にいろんなものを味わわせるために、外で食べる機会をことあるごとに設けてくれていたのだ。
「泊まりがけの予定だったし、ルーカは管理をキッチリしているから、材料が腐らないように気をつけたんでしょう。たぶん」
「泊まり……」
「キャンセルしたわよ。組み合わせが変わったから。だから家に連れてきたんじゃない」
「すみません……」
「あんたのせいじゃないでしょ」
これくらいでおびえた目をされると、どうすればいいのかわからない。
「魔力で跳べるのに、泊まりがけの旅行をするんですか?」
四人が出会ってしまった神殿の町は、リカルドが言う通り、ここからだとわざわざ泊まりに行くような距離じゃない。そもそも、魔力を使って移動すれば、泊まる必要なんかない。
「普通の女の子の経験をさせたかったんですって。だから、列車に乗って行ったわ」
リカルドはなんともいえない、泣きそうな表情を浮かべている。
「…………ほんとにごめんなさい。俺、旅費とキャンセル料、払います」
「だからいいって」
必死なリカルドに対して、最後通牒のようにはっきり言う。
「これからは、ずっと、この組み合わせなんだから」
嘘だ。リカルドに対してじゃない。今、私は、自分に言い聞かせるために、こう言った。
私の言葉にリカルドは黙り込んでしまった。
あまりにも長いこと沈黙が続くので、仕方なく私から切り出す。
「ジュリエッタさんが、よかったんでしょ」
「……その」
リカルドは困ったように下を向いた。
「いいわよ、気なんかつかわなくても。あんた、ジュリエッタさんと一緒にいる時、大好きオーラダダ漏れだったもの」
「ええと……はい」
「じゃあ、どうしてそう言わなかったの?」
「……本当の運命の相手と一緒にいる方が、幸せになれるんだろうと思って……」
ジュリエッタさんが、か。
正しく意味を解した自分が、本当に嫌だ。リカルドは私とは似ても似つかないと思っていたけれど、意外と似た者同士なのかもしれない。でも。
「あ……。すみません……」
腹の虫の主は私じゃない。私の本当の運命の相手だというリカルド。見るからに善良そうな、普通の人。
「厨房に行けば? ルーカが作ったものがなにかあるわよ。たぶん」
「ルーカさんが?」
「私は料理なんてできないもの」
「……じゃあ、お言葉に甘えて、いただいてきます……」
料理ができないことにツッこんだりはしないのね、善良だから。でも、その気づかいが、かえって私をいらつかせた。サクッとツッこめばいいのに。
しばらくすると、リカルドはしょんぼりと帰ってきた。
「冷蔵庫、カラッポでした……」
そういえば。せっかくだから、宿でちょっと豪華な食事をしようという話をしていたんだった。
ルーカは私になるべくいろんなものを食べさせてくれようとする。料理本を買ってきてレパートリーを増やしたり。自分は肉を食べられないのに、私にいろんなものを味わわせるために、外で食べる機会をことあるごとに設けてくれていたのだ。
「泊まりがけの予定だったし、ルーカは管理をキッチリしているから、材料が腐らないように気をつけたんでしょう。たぶん」
「泊まり……」
「キャンセルしたわよ。組み合わせが変わったから。だから家に連れてきたんじゃない」
「すみません……」
「あんたのせいじゃないでしょ」
これくらいでおびえた目をされると、どうすればいいのかわからない。
「魔力で跳べるのに、泊まりがけの旅行をするんですか?」
四人が出会ってしまった神殿の町は、リカルドが言う通り、ここからだとわざわざ泊まりに行くような距離じゃない。そもそも、魔力を使って移動すれば、泊まる必要なんかない。
「普通の女の子の経験をさせたかったんですって。だから、列車に乗って行ったわ」
リカルドはなんともいえない、泣きそうな表情を浮かべている。
「…………ほんとにごめんなさい。俺、旅費とキャンセル料、払います」
「だからいいって」
必死なリカルドに対して、最後通牒のようにはっきり言う。
「これからは、ずっと、この組み合わせなんだから」
嘘だ。リカルドに対してじゃない。今、私は、自分に言い聞かせるために、こう言った。
私の言葉にリカルドは黙り込んでしまった。
あまりにも長いこと沈黙が続くので、仕方なく私から切り出す。
「ジュリエッタさんが、よかったんでしょ」
「……その」
リカルドは困ったように下を向いた。
「いいわよ、気なんかつかわなくても。あんた、ジュリエッタさんと一緒にいる時、大好きオーラダダ漏れだったもの」
「ええと……はい」
「じゃあ、どうしてそう言わなかったの?」
「……本当の運命の相手と一緒にいる方が、幸せになれるんだろうと思って……」
ジュリエッタさんが、か。
正しく意味を解した自分が、本当に嫌だ。リカルドは私とは似ても似つかないと思っていたけれど、意外と似た者同士なのかもしれない。でも。
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