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後日譚・取り違えたその後の二人
126 ぶらり二人旅 ③ (出発進行!・その1)
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一か月半なんてあっという間で、明日からリカルドの故郷へと里帰り旅行。せっかく初めての旅行だし、なにかできないかなと考えて、ルーカさんの発想をお借りすることにした。
「リカルド」
「んー? なに? ジュリエッタ」
荷作りをしているリカルドに話しかけると、こちらを振り向いたので、準備していたものを押しつける。
「わ、これ、なに?」
「プレゼント」
「プレゼント?」
「そういえば、私、誕生日以外で、リカルドにプレゼント渡したことなかったな、と思って」
「そんなの、気にしなくていいのに」
リカルドはいつも自分が人になにかする側だからか、人からなにかしてもらうのが照れくさいみたいだ。
「ああ! お礼言ってなかった! ありがとう! ええと、開けていい?」
「もちろん!」
リカルドは包みをゆっくり丁寧に開ける。中身を見て、リカルドは目をみはった。
「すごく大人っぽいスーツ……!」
「初めてお父様とお母様のところにうかがうんだし、理想のデート全部盛りらしいから、きちんとした格好で行きたいなと思って。リカルドのスーツ姿、見たことなかったから、見たかったし」
似合いそうな色のちょっといい生地を買って仕立ててみた。リカルドはすごくいい身体をしてるから、スーツ絶対に似合うと思ったんだよね。
「スーツ、憧れてたんだけど、普段は着る機会ないし、なんかお店入るのも緊張するしで、買えなかったんだ」
「憧れてたの?」
「うん、すごく。大人の男性って感じするし。俺、落ち着きないっていうか、キャラが子供っぽいし、似合わないかなと思って、二の足踏んでた」
「むしろこういう堅苦しいの、嫌いかと思ってた」
「ううん、勇気がなかっただけ」
リカルドはものすごく感慨深げにスーツを眺めてる。社交辞令で言ってるんじゃなさそう、と、ほっとしたところで抱きしめられた。
「ありがとう、ジュリエッタ。時々、なんでこんなに気持ちがバレてるんだろうって思うことあるよ、俺」
「別にリカルドのスーツに対する憧れを知ってて仕立てた訳じゃないけど、喜んでもらえたなら、よかった」
「嬉しいし、ますますジュリエッタのこと好きになった」
「た、単純……」
「いいじゃん、単純。建物だって、単純な方が強いのだ」
リカルドが大工らしい台詞を言う。
リカルドの愛情はいつもまっすぐで、疑う余地なんかまるでないから、私の心をダイレクトに揺り動かす。裏があるんじゃ、なんて、カケラも感じさせないシンプルな言動は、確かに強いかもしれない。
「……うん。リカルドと一緒に暮らすようになって、余計な心配しなくなった。たしかに単純、いいかも」
「でしょー?」
リカルドは私に笑いかけてキスをしてくる。何度か軽いキスを重ねた後で、リカルドがつぶやくように言った。
「……あー、困ったな」
そう言いつつも、リカルドの表情は全然困ってない。
「? なにが?」
「明日旅行だし、準備終わったら早めに寝ようと思ってたんだけど」
私の耳元に口を寄せ、リカルドはそっとささやいた。
「したくなっちゃった」
「やっぱり」
始まる時の雰囲気だったもんねえ。
「ええと……」
「一回だけ、しない?」
リカルドが決めかねているようだったので、先手を打って提案してみたら、吹き出されてしまった。
「ジュリエッタが積極的で、俺、すごく嬉しい!」
「……キスしてたら、私もしたくなっちゃったんだもん」
「あはは、気が合うね!」
そう言ってリカルドは笑うと、私の手を取り、寝室へと向かった。
「リカルド」
「んー? なに? ジュリエッタ」
荷作りをしているリカルドに話しかけると、こちらを振り向いたので、準備していたものを押しつける。
「わ、これ、なに?」
「プレゼント」
「プレゼント?」
「そういえば、私、誕生日以外で、リカルドにプレゼント渡したことなかったな、と思って」
「そんなの、気にしなくていいのに」
リカルドはいつも自分が人になにかする側だからか、人からなにかしてもらうのが照れくさいみたいだ。
「ああ! お礼言ってなかった! ありがとう! ええと、開けていい?」
「もちろん!」
リカルドは包みをゆっくり丁寧に開ける。中身を見て、リカルドは目をみはった。
「すごく大人っぽいスーツ……!」
「初めてお父様とお母様のところにうかがうんだし、理想のデート全部盛りらしいから、きちんとした格好で行きたいなと思って。リカルドのスーツ姿、見たことなかったから、見たかったし」
似合いそうな色のちょっといい生地を買って仕立ててみた。リカルドはすごくいい身体をしてるから、スーツ絶対に似合うと思ったんだよね。
「スーツ、憧れてたんだけど、普段は着る機会ないし、なんかお店入るのも緊張するしで、買えなかったんだ」
「憧れてたの?」
「うん、すごく。大人の男性って感じするし。俺、落ち着きないっていうか、キャラが子供っぽいし、似合わないかなと思って、二の足踏んでた」
「むしろこういう堅苦しいの、嫌いかと思ってた」
「ううん、勇気がなかっただけ」
リカルドはものすごく感慨深げにスーツを眺めてる。社交辞令で言ってるんじゃなさそう、と、ほっとしたところで抱きしめられた。
「ありがとう、ジュリエッタ。時々、なんでこんなに気持ちがバレてるんだろうって思うことあるよ、俺」
「別にリカルドのスーツに対する憧れを知ってて仕立てた訳じゃないけど、喜んでもらえたなら、よかった」
「嬉しいし、ますますジュリエッタのこと好きになった」
「た、単純……」
「いいじゃん、単純。建物だって、単純な方が強いのだ」
リカルドが大工らしい台詞を言う。
リカルドの愛情はいつもまっすぐで、疑う余地なんかまるでないから、私の心をダイレクトに揺り動かす。裏があるんじゃ、なんて、カケラも感じさせないシンプルな言動は、確かに強いかもしれない。
「……うん。リカルドと一緒に暮らすようになって、余計な心配しなくなった。たしかに単純、いいかも」
「でしょー?」
リカルドは私に笑いかけてキスをしてくる。何度か軽いキスを重ねた後で、リカルドがつぶやくように言った。
「……あー、困ったな」
そう言いつつも、リカルドの表情は全然困ってない。
「? なにが?」
「明日旅行だし、準備終わったら早めに寝ようと思ってたんだけど」
私の耳元に口を寄せ、リカルドはそっとささやいた。
「したくなっちゃった」
「やっぱり」
始まる時の雰囲気だったもんねえ。
「ええと……」
「一回だけ、しない?」
リカルドが決めかねているようだったので、先手を打って提案してみたら、吹き出されてしまった。
「ジュリエッタが積極的で、俺、すごく嬉しい!」
「……キスしてたら、私もしたくなっちゃったんだもん」
「あはは、気が合うね!」
そう言ってリカルドは笑うと、私の手を取り、寝室へと向かった。
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