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後日譚・取り違えたその後の二人
155 リカルド日記(抜粋、一部実況) ⑨
○月×日(ついにだ!)
俺は今、とてつもなく興奮している。
夕飯後、ジュリエッタが改まった声で、話があると言ってきたので、なんだろう? とちょっと心配になった。どきどきしながら、一緒に夕飯の洗い物をし、テーブルでお茶を飲むことに。なかなか口を開かないジュリエッタを見守る。
「その、今日、病院に行ってきたんだけど」
病院……? ふと、母ちゃんのことが思い出されてとても怖くなり、あわててジュリエッタの近くに移動する。
「びょ、病院って、どこか悪いの?俺、ジュリエッタになんかあったら……」
そんなこと、ほんとに考えたくもない。
俺がよっぽど真っ青になっていたのか、ジュリエッタがあわてて否定する。
「ごめん、そうじゃなくて! ……あのね、リカルド。私達、春にはお父さんとお母さんになるんだって」
ジュリエッタはそう言うと、少し顔を赤らめて、下を向いてしまった。
ってことは。ジュリエッタのお腹に……!
びっくりして、すっごく嬉しくて、なにを言っていいのかわからなくなってしまった。あ、でも、俺がこのまま黙ってたら、子供ができたのが嬉しくないのかと、ジュリエッタ勘違いしちゃうかも。はっとして、ジュリエッタを見るけど、まだ、顔を下に向けたままだ。
でも、この喜びをどう表せばいいのか。しばらく思案して、これだ、と切り出す。
「父ちゃんの酔っぱらった時の口癖がさ」
「お父様の、口癖?」
ジュリエッタが顔を上げ、不思議な表情を浮かべる。
「『母ちゃんに会った瞬間、こんな美人が俺の嫁さんになるのかと、一生分の幸運使い果たした気分になった!』だったんだ」
「お母様、綺麗な方だったのね」
「俺は、父ちゃん似だから、ほとんど面影ないけど」
「お父様、酔うたびにそうおっしゃるなんて、お母様を本当に愛してらしたのね」
ジュリエッタが微笑む。俺も微笑み返して続ける。
「うん。で、絶対続けてこう言うんだ。『でも、そうじゃなかったと、お前が生まれた時にわかったよ』」
ジュリエッタをそっと抱きしめる。
「俺、それ聞くたびに、すごく嬉しくて、なんだか目頭が熱くなったけど……。今日の俺は、父ちゃんの方とまるっきり同じ気持ちだ」
抱きしめる腕に力を込める。
ありがとう、ジュリエッタ。俺、今、嬉しくてたまんないよ。ほんとは、そう続けたかったんだけど、思いがあふれて、それ以上言葉にならなかった。でも、ジュリエッタは俺の気持ちを察してくれたみたいで、背中に手を回して、なでさすってくれる。
「リカルド、絶対いいお父さんになるよ」
ジュリエッタがそっとつぶやく。
人生は旅だ、なんてよく耳にするけれど。言葉の意味は、言った人の数だけあるんだろう。俺は、生涯探求し続けることを旅になぞらえているんだと思ってた。
でも、ジュリエッタと出会ってから、旅は非日常で帰る場所があるから楽しめる、道連れが誰かによって全く違うものになる、そんな意味もあるのだと確信するようになった。家に温かく美しい明かりを灯してくれる人がいるから安心できて、その人が行く手を照らす明かりそのものでもあるんだ。
春に灯されるのは一体どんな明かりなんだろうと、まだ見ぬ我が子に思いを馳せ、目を閉じた。
俺は今、とてつもなく興奮している。
夕飯後、ジュリエッタが改まった声で、話があると言ってきたので、なんだろう? とちょっと心配になった。どきどきしながら、一緒に夕飯の洗い物をし、テーブルでお茶を飲むことに。なかなか口を開かないジュリエッタを見守る。
「その、今日、病院に行ってきたんだけど」
病院……? ふと、母ちゃんのことが思い出されてとても怖くなり、あわててジュリエッタの近くに移動する。
「びょ、病院って、どこか悪いの?俺、ジュリエッタになんかあったら……」
そんなこと、ほんとに考えたくもない。
俺がよっぽど真っ青になっていたのか、ジュリエッタがあわてて否定する。
「ごめん、そうじゃなくて! ……あのね、リカルド。私達、春にはお父さんとお母さんになるんだって」
ジュリエッタはそう言うと、少し顔を赤らめて、下を向いてしまった。
ってことは。ジュリエッタのお腹に……!
びっくりして、すっごく嬉しくて、なにを言っていいのかわからなくなってしまった。あ、でも、俺がこのまま黙ってたら、子供ができたのが嬉しくないのかと、ジュリエッタ勘違いしちゃうかも。はっとして、ジュリエッタを見るけど、まだ、顔を下に向けたままだ。
でも、この喜びをどう表せばいいのか。しばらく思案して、これだ、と切り出す。
「父ちゃんの酔っぱらった時の口癖がさ」
「お父様の、口癖?」
ジュリエッタが顔を上げ、不思議な表情を浮かべる。
「『母ちゃんに会った瞬間、こんな美人が俺の嫁さんになるのかと、一生分の幸運使い果たした気分になった!』だったんだ」
「お母様、綺麗な方だったのね」
「俺は、父ちゃん似だから、ほとんど面影ないけど」
「お父様、酔うたびにそうおっしゃるなんて、お母様を本当に愛してらしたのね」
ジュリエッタが微笑む。俺も微笑み返して続ける。
「うん。で、絶対続けてこう言うんだ。『でも、そうじゃなかったと、お前が生まれた時にわかったよ』」
ジュリエッタをそっと抱きしめる。
「俺、それ聞くたびに、すごく嬉しくて、なんだか目頭が熱くなったけど……。今日の俺は、父ちゃんの方とまるっきり同じ気持ちだ」
抱きしめる腕に力を込める。
ありがとう、ジュリエッタ。俺、今、嬉しくてたまんないよ。ほんとは、そう続けたかったんだけど、思いがあふれて、それ以上言葉にならなかった。でも、ジュリエッタは俺の気持ちを察してくれたみたいで、背中に手を回して、なでさすってくれる。
「リカルド、絶対いいお父さんになるよ」
ジュリエッタがそっとつぶやく。
人生は旅だ、なんてよく耳にするけれど。言葉の意味は、言った人の数だけあるんだろう。俺は、生涯探求し続けることを旅になぞらえているんだと思ってた。
でも、ジュリエッタと出会ってから、旅は非日常で帰る場所があるから楽しめる、道連れが誰かによって全く違うものになる、そんな意味もあるのだと確信するようになった。家に温かく美しい明かりを灯してくれる人がいるから安心できて、その人が行く手を照らす明かりそのものでもあるんだ。
春に灯されるのは一体どんな明かりなんだろうと、まだ見ぬ我が子に思いを馳せ、目を閉じた。
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