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番外編・取り違えと運命の人 小話集
193 取り違えられた二人のその後 ③ (その2 おっちゃん再び・1)
その日も俺達は二人で呪術で使う諸々を採取していた。
「……こんにちは」
例の人のよさそうなおっちゃんが家の近くを通りかかったので、見つけたジュリエッタが声を掛ける。
「おう、嬢ちゃん、元気か! 兄ちゃん、相変わらずいっぱい手伝ってんな!いてくれて助かるだろ?嬢ちゃんも。ほんと、兄ちゃんが来てくれてよかったよな!」
ジュリエッタはしばらくうつむいていたが、気を取り直したのか、顔を上げ、おっちゃんを射るように見る。
「……じ」
「「じ?」」
「じ、自慢の夫ですから!!」
ジュリエッタは真っ赤になって、その場から逃げてしまった。
「……あんなに叫ばれたら、俺の方が恥ずかしい……」
「よかったじゃねえか! 照れ屋の嬢ちゃんが大進歩だ」
おっちゃん破顔して、俺の背中をバシバシ叩く。痛え。
まあ、夫と認めてくれてるのは、確かにちょっと嬉しいんだが。
「……前から聞きたかったんですが」
「なんだい?」
「ジュリエッタのこと、昔から知ってるんですか?」
「いや、そうでもねえんだ。俺の親友が嬢ちゃん家の執事しててな、亡くなるまで嬢ちゃんの面倒見てたから、たまにこっちに来る時声掛けてたくらいで」
おっちゃんはどうも地元の人ではないらしい。
「執事って……ほんとにお嬢様だったんだ」
どデカいお屋敷と家事のできなさっぷりから、冗談で付けた心の中の呼び名が、意外と的を射てた。
「……兄ちゃん、嬢ちゃんの家のこと、知らねえのか?」
「話してくれないので」
ふむ、とおっちゃんが思案顔になる。
「……俺も詳しくは知らねえし、ほんとは本人が話したくなるまで待つべきなんだろうが、嬢ちゃん話すの、下手そうだしな」
「なにか、あったんですか……?」
「どうも、嬢ちゃん、親から捨てられたらしい」
捨てられた……? お嬢様なんだろ? どういうことだろう? 頭の中で疑問符がぐるぐるする。
「なんか、嬢ちゃん、やんごとなきご立派な家柄だそうなんだが、その家、魔法使いが禁忌らしくてな。魔力があるとわかったとたん、捨てられたらしい。十一歳だか十二歳だかくらいまでは蝶よ花よで育てられてたらしいから、親もいきなり捨てるのはさすがに忍びなかったんだろう。お屋敷と財産のほんの一部はくれたらしいが」
金持ちの考えることはよくわからなくて、今ひとつ理解が追いつかないが、ジュリエッタが人を信じられなくなってしまったのは、なんとなく腑に落ちた。
大事に扱われていたとしても、いつかは捨てられる。ジュリエッタはずっとそんな思いに支配されていたんだろう。
初めて抱いた翌日、俺が家に戻った時のジュリエッタの不安げな表情を思い出す。やり逃げされたと思ってた、なんて単純な話ではなかったのかもしれない。
「……こんにちは」
例の人のよさそうなおっちゃんが家の近くを通りかかったので、見つけたジュリエッタが声を掛ける。
「おう、嬢ちゃん、元気か! 兄ちゃん、相変わらずいっぱい手伝ってんな!いてくれて助かるだろ?嬢ちゃんも。ほんと、兄ちゃんが来てくれてよかったよな!」
ジュリエッタはしばらくうつむいていたが、気を取り直したのか、顔を上げ、おっちゃんを射るように見る。
「……じ」
「「じ?」」
「じ、自慢の夫ですから!!」
ジュリエッタは真っ赤になって、その場から逃げてしまった。
「……あんなに叫ばれたら、俺の方が恥ずかしい……」
「よかったじゃねえか! 照れ屋の嬢ちゃんが大進歩だ」
おっちゃん破顔して、俺の背中をバシバシ叩く。痛え。
まあ、夫と認めてくれてるのは、確かにちょっと嬉しいんだが。
「……前から聞きたかったんですが」
「なんだい?」
「ジュリエッタのこと、昔から知ってるんですか?」
「いや、そうでもねえんだ。俺の親友が嬢ちゃん家の執事しててな、亡くなるまで嬢ちゃんの面倒見てたから、たまにこっちに来る時声掛けてたくらいで」
おっちゃんはどうも地元の人ではないらしい。
「執事って……ほんとにお嬢様だったんだ」
どデカいお屋敷と家事のできなさっぷりから、冗談で付けた心の中の呼び名が、意外と的を射てた。
「……兄ちゃん、嬢ちゃんの家のこと、知らねえのか?」
「話してくれないので」
ふむ、とおっちゃんが思案顔になる。
「……俺も詳しくは知らねえし、ほんとは本人が話したくなるまで待つべきなんだろうが、嬢ちゃん話すの、下手そうだしな」
「なにか、あったんですか……?」
「どうも、嬢ちゃん、親から捨てられたらしい」
捨てられた……? お嬢様なんだろ? どういうことだろう? 頭の中で疑問符がぐるぐるする。
「なんか、嬢ちゃん、やんごとなきご立派な家柄だそうなんだが、その家、魔法使いが禁忌らしくてな。魔力があるとわかったとたん、捨てられたらしい。十一歳だか十二歳だかくらいまでは蝶よ花よで育てられてたらしいから、親もいきなり捨てるのはさすがに忍びなかったんだろう。お屋敷と財産のほんの一部はくれたらしいが」
金持ちの考えることはよくわからなくて、今ひとつ理解が追いつかないが、ジュリエッタが人を信じられなくなってしまったのは、なんとなく腑に落ちた。
大事に扱われていたとしても、いつかは捨てられる。ジュリエッタはずっとそんな思いに支配されていたんだろう。
初めて抱いた翌日、俺が家に戻った時のジュリエッタの不安げな表情を思い出す。やり逃げされたと思ってた、なんて単純な話ではなかったのかもしれない。
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