【R18】人の好みは説明できない

テキイチ

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第七章 雨が降れば必ず土砂降り

156 あなたの願いはなあに? ①

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 今週は後半に予定が偏りすぎていて大変だった。
 普段、三浦先生に和訳と論文の草稿を個人的に見ていただくのは、月曜の二限。私の授業が空いていて、三浦先生のご都合のよい時間がそこだったので。
 今週は三浦先生に出張が入ってしまい、金曜の二限に変更になった。

「急に予定変更していただいて、北村さんには本当に申し訳なかったです」
「いえ! そもそも時間外に見ていただいているので。ゼミの先生って教育実習先にも行くものなんですね」
「ええ。今年は教職を取っている学生が一人だったから助かりました」

 三浦先生はお詫びにと枇杷びわゼリーをくださった。出張先が長崎だったのだそう。ゼミ生の出身地によっては、かなり遠くまで行かなくてはならなくて、先生方は本当に大変だなあ。三浦先生はお忙しいのに、学生にもこういうお気遣いを忘れないところがすごいなあと思う。今夜のデザートが増えるのも地味にありがたいな。

「相良先生のゼミはどうですか?」
「内容は難しいですけど、とても知的好奇心を刺激されます。そして、相良先生は質問すれば必ずきっちりご回答くださるので、わからないままでもやっとし続けることはありません」
「ああ、相良先生は、学生時代から大変論理的な方でした」

 肝心の和訳と論文の草稿はさんざんで、ものすごい量の赤が入ってしまった。これを踏まえつつ、次の月曜に備えないといけない。

「北村さんはがんばっているので、きちんと成果が出てますよ。この調子で三年の内に一本論文書き上げましょう」

 私の表情が優れなかったのだろう。そんな風に三浦先生は笑顔でおっしゃってくださったけれど。
 相良ゼミの講読テキストの和訳も並行して進めないといけないし、結構大変だ。
 そして今日はゼミの発表もある。

 三浦ゼミは金曜の五限。基本的に担当者は毎週三人。
 去年のゼミは三浦先生の指定した日本語のテキストについて毎週一人ずつ発表し、先生が詳しい解説をする形式だった。おそらく三浦先生は、その時ゼミ生それぞれの適性を見ていたのだろう。今年のゼミ発表は、三浦先生が最初に指定したグループごとに行われている。サボりがちな学生が一つのグループに固まらないように、なるべく違うタイプのゼミ生が組み合わさるように。なんとなくそういう分け方なんじゃないかなという気がした。

 今回発表に当たっていた一人は欠席がちだし、サボることもあるだろうと思っていた。もう一人は三浦ゼミの中でも比較的成績がよい。研究熱心というよりは要領がよいタイプで、プレゼンテーションが抜群に上手い。私の順番は最後なので、いつも参考にしつつ、心を落ち着かせてから、発表に臨んでいた。
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