【R18】朝も昼も夕も夜も

テキイチ

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本編

01 春の酔い ①

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 夜明けに涙を流す男を見たことはありますか?

 私は二度ある。
 一度目は、時任ときとうつばさに持ち帰られた翌朝だ。
 時任と初めて面識を持ったのは数合わせで参加した合コン。終了後、ラブホに連れ込まれた。一目惚れや運命の出会いではなく、単に、髪形のせいだと思う。
 時任は黒髪ストレートロングの女が大好物。胸焼けするくらい食い散らかしてると評判だ。

 時任と特に会話が弾んだ訳ではない。楽しそうな声でみんなと話している割に、なんだかひどく冷めた目をしていたのが印象的だった。
 あとは、時任から誘われた時、ほろ酔いで気分がよかった。それに尽きる。



美羽みうちゃんだっけ? フェラしてよ」

 部屋に入った途端これか。
 非常に即物的だけど、はっきり指示を出される方が、わかりやすくていい。

 時任はジッパーを下ろしてズボンを少し下げ、下着からゆっくり男根を出した。屹立するものは立派で、口に入るか微妙な太さだ。というか、もう勃ってるのか。

「ほら。やったことない?」
「あるけど、こんなにおっきくなかったし」
「嬉しいこと言ってくれるね」

 時任は下卑た笑い声を上げた。お綺麗な顔に似合わない笑い。
 髪が邪魔なので耳に掛け、左手を男根に添え、出てきた先走りを舌で舐めとる。ぴちゃぴちゃという音がして、なんだか夢中で舐めているかのように錯覚した。変にしょっぱくて、妙な味なのに。

「ん……」

 時任が吐息交じりの声を上げる。もっと聞きたくて、鈴口を穿るように舌先で少し強くなぞると、時任の手が私の頭をそっと引き寄せた。

「いいけど……ほら、がんばって口に入れて……」

 精一杯口を開け、時任のものを咥えた。舌で裏筋を攻める。別れた男から、ここは外すなと言われた。

「そう……上手……」

 そっと頭をなでられ、なんだかうっとりする。しばらく優しくなでられていたと思ったら、急にぐっと引き寄せられた。喉の奥に時任のものが当たり、えずきそうになる。それでもかまわず、時任は私の頭を押さえつけるように前後させる。イラマチオ。時任はしばらく私の咥内を蹂躙すると、突然うっとうめいて射精した。思わず勢いで飲んでしまう。ニガシオ。むせて咳き込む私に、時任は笑顔でティッシュの箱を差し出してきた。

「はい」
「無理矢理……最低……」
「美羽ちゃんがあんまり健気に舐めてくれるから、ちょっと乱暴にしたくなっちゃって」

 綺麗な顔でへらりと最低なことを言うな。
 私の顔を見て、時任は補足するように続ける。

「大丈夫。俺、今ヤリたくてたまんないから、またすぐ勃つよ」

 本当に、最低。



 時任は私の服を脱がせ、ベッドに横たえた。慣れた手つきでブラジャーのホックを外し、ショーツを下げる。流れ作業のように淡々と。
 私の秘所をいじると、時任は少し困った顔をした。

「あんまり濡れない方?」
「わからないけど、たぶん」

 本当にわからない。感じにくい方なんだと思う。達したことはない。

「どこが好き? やっぱクリがいい?」
「クリも中もそんなに……」

 時任は少し考えている様子だった。しばらくして、すうっと下から上に背中をなでられた。ぞくぞくする。私の反応を時任は見逃さない。

「へえ。背中、好きなんだ」
「わかん……ない……」

 時任は私を四つん這いにさせた。バックだと何をされるかわからないのが、ちょっと怖い。

「ゴム……」
「ちゃんと着ける。こんなところにあるやつ、イタズラで穴開けられてたりしたら、たまんないし」

 用心深いことだ。まあ、時任のサイズだと、備えつけのものは苦しいかもしれない。
 時任は財布からゴムを取り出す。財布に入れているのが、嗜みという感じがする。

 服を脱ぎ、手早くゴムを装着すると、時任は後ろから私を突いた。思ったよりも濡れていたようで、痛みはなく、スムーズに入る。時任は奥まで挿れるとふうと息を吐き、しばらく動かずにいた。

「狭いね」
「わかんないけど」
「わかんないよね」

 時任は苦笑しつつ背中をなでると、ゆっくり動き始める。

「ミユ……」

 私はミウだけど。
 酔ってて舌が回らないのか。相手の名前なんてどうでもいいのか。

 まあいい。こちらも大差ない。
 時任の前に二人、男と寝たことがある。付き合おうと言われたので、一応は恋人という立場だったのだと思う。「突き合おう」だったのかもしれないが。

 一人目は、セックスに応じてすぐ、フェイドアウトされた。
 二人目は、他に好きな子ができたと言われたのでわかったと答えると、そういうところだよと苦々しい顔をされた。
 人を愛するとはなんだ。

 時任が特別な存在だからセックスに応じた訳じゃない。時任に少しだけ興味が湧いて、気が向いた時に誘われた、それだけだ。



 私は眠りが浅く、すぐ睡眠のサイクルが狂ってしまうタイプだ。
 だから、その日、明け方に目が覚めたのも特段不思議ではない。熟睡できたようで、疲れは感じなかったけど。
 時任のものは、今まで寝た男の中で一番大きかったので、寝て起きた後も股間に違和感があった。まだ時任が入ってるみたいな。微妙。

 隣を見ると時任はいない。あれ? と思い、見回すと、時任は窓際に立って外を眺めていた。
 窓から見える明け方の空は紫とピンクのグラデーション。オレンジの太陽の光が意外とまぶしい。

 不意に時任が立ち位置を変えた。時任の頬が光って反射する。涙だ。
 悔しそうでも悲しそうでもなく、無表情で涙を流す時任に、なんだか妙にどきどきする。
 こちらへ戻る気配を感じたので、そっと目を閉じ、寝たふりをした。少し距離があるし、気づかれてない。そう思いたい。

 結局、数時間後、お互い黙々と帰り支度をし、ラブホの前で別れた。
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