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第四章 文化祭
4.
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夕方の買い物客で混み合うアーケード通りの中。威勢のいいかけ声に迎えられ、僕は店ののれんをくぐった。
新保はいた。
せまい中華料理屋の奥で、制服姿の新保が店の風景にはまり込んでいる。現れた僕に顔を上げ、新保は細い目を見開いた。
「やっぱりネギ味噌チャーシューメンの大盛か」
僕が言うと、まるで見定めるような視線を僕に向けて来る。小さく鼻を鳴らして答えた。
「初めてこれを食ってから、これ以外食ったことねえよ。……で? すわるのか、すわらないのか?」
僕は微笑んで口を開いた。
「じゃあ、今日は大盛に挑戦してみるよ」
「やめとけ。ここの大将、残すとうるせえんだ。こないだも初めて入った客が大盛を残して怒鳴られてた」
僕はかまわず席にすわると新保と同じものを注文した。店員にも同じことを言われたが、僕は笑顔でうなずいた。店員が声を張り上げて受けた注文を読み上げる。
「相変わらず何考えてんだかわかんねえやつだな」
新保はぼそりとつぶやくと、残りの麺をすすり上げた。
「今日は唐揚げはなしか」
僕がたずねると新保はスープを飲み干してから言った。
「もう食った。皿をかたづけられただけだ」
僕は小さく肩をすくめた。炒め油の香ばしい匂いとニンニクの香りが鼻をつく。
今度は新保が聞いて来た。
「なんで俺がここにいるってわかったんだ?」
「自転車だよ。前と同じ場所に止めてあっただろ」
そう答えると、新保は感心した表情を作った。
「なるほど。そりゃそうだ」
僕は店内を見回した。前と変わらない喧騒の中、相変わらずサラリーマンと学生達で混み合っている。
「真下、広報部の指導をはずされたんだって?」
僕の静かな問いかけに、新保は無言で僕を見すえた。
先日の役員会議の際、外部のカメラマンに広報部の指導を委託することになり、真下がその任を解かれたという話が発表されたのだ。専門家と並行し、教師の真下が指導に当たるという案もあったらしいのだが、指導者が二人もいると混乱するからという理由で一部の部員がつっぱねたらしい。
返事がないまま僕は続けた。
「今日は礼を言いに来たんだ」
新保は大きく眉尻を上げた。
「礼?」
僕は改めて新保に向き直った。
「そう。笑香を心配してくれてありがとう。──それから、すまなかった」
新保はいた。
せまい中華料理屋の奥で、制服姿の新保が店の風景にはまり込んでいる。現れた僕に顔を上げ、新保は細い目を見開いた。
「やっぱりネギ味噌チャーシューメンの大盛か」
僕が言うと、まるで見定めるような視線を僕に向けて来る。小さく鼻を鳴らして答えた。
「初めてこれを食ってから、これ以外食ったことねえよ。……で? すわるのか、すわらないのか?」
僕は微笑んで口を開いた。
「じゃあ、今日は大盛に挑戦してみるよ」
「やめとけ。ここの大将、残すとうるせえんだ。こないだも初めて入った客が大盛を残して怒鳴られてた」
僕はかまわず席にすわると新保と同じものを注文した。店員にも同じことを言われたが、僕は笑顔でうなずいた。店員が声を張り上げて受けた注文を読み上げる。
「相変わらず何考えてんだかわかんねえやつだな」
新保はぼそりとつぶやくと、残りの麺をすすり上げた。
「今日は唐揚げはなしか」
僕がたずねると新保はスープを飲み干してから言った。
「もう食った。皿をかたづけられただけだ」
僕は小さく肩をすくめた。炒め油の香ばしい匂いとニンニクの香りが鼻をつく。
今度は新保が聞いて来た。
「なんで俺がここにいるってわかったんだ?」
「自転車だよ。前と同じ場所に止めてあっただろ」
そう答えると、新保は感心した表情を作った。
「なるほど。そりゃそうだ」
僕は店内を見回した。前と変わらない喧騒の中、相変わらずサラリーマンと学生達で混み合っている。
「真下、広報部の指導をはずされたんだって?」
僕の静かな問いかけに、新保は無言で僕を見すえた。
先日の役員会議の際、外部のカメラマンに広報部の指導を委託することになり、真下がその任を解かれたという話が発表されたのだ。専門家と並行し、教師の真下が指導に当たるという案もあったらしいのだが、指導者が二人もいると混乱するからという理由で一部の部員がつっぱねたらしい。
返事がないまま僕は続けた。
「今日は礼を言いに来たんだ」
新保は大きく眉尻を上げた。
「礼?」
僕は改めて新保に向き直った。
「そう。笑香を心配してくれてありがとう。──それから、すまなかった」
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