【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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第四章 文化祭

7.

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「な……何のこと? 私はなにも……」

 動揺を隠すかのように、大西が僕から視線をそらす。

「不審者って……笑香のうわさって、なんのことだか私には……」
「君が北高の生徒のカバンをあさってたのを見てた人間がいるんだ」

 僕は冷笑した。

「北高のグループに入るには、生徒手帳の中にある番号が必要らしいね。もちろん基本は匿名だから、登録した人間が部外者でも気づかれない。──僕も見てみたよ。けっこうえげつないことが書いてあるから、顔がわかれば笑香にちょっかいを出すやつがいるかもね」

 大西の表情が見る見るうちにこわばっていく。僕は冷ややかにそれを眺めた。

『北高の生徒だけが入れるグループがあるんです』

 そう始まった植原紗栄子の告白に、僕は黙って耳を傾けた。

「普通のグループじゃなくて、ちょっと……いえ、かなり問題があって。生徒会の中でも話に上ったんですが、生徒間のいやがらせとか、いじめにも発展しかねないうわさが中心で。その中で、ちょっと気になる話があって。基本的に北高の話が多いんですが、このところ、なぜか他校の生徒の話題が上がっているんです」

 あの日、図書館の裏で知ったこと。

「柿崎笑香さん。……ご存知ですよね?」

 植原紗栄子の口から漏れた、聞きなれた名に僕は眉をひそめた。低く抑えた声でたずねる。

「笑香がそのグループでさらされてるって?」

「はい。出会い系サイトのアドレスと一緒に。サイトはもう見られませんし、名前は出ていませんが、わかる人にはわかると思います。私は同じ塾にいたので……」

 植原紗栄子はうつむいた。
 僕は大きく息を吐き出した。

「なんで笑香が僕の彼女だってわかったんだ?」

 聞いてから、ため息交じりに自分で言い足す。

「どうせ、大西あたりが大きな声でしゃべってたんだろ。僕の名前と笑香が彼女だってこと」

 植原紗栄子が顔を上げた。僕と目が合うと途端に目を伏せ、慎重に言葉を選んで続ける。

「その大西さんってお友達が、私の友達と知り合いだったんです。二人ともテニス部で、交流試合で仲良くなったって。テニス部のつながりで話をしてる時、うちのグループの話が出たらしくて。その時は聞き流してたんですが、たまたま、先生に質問しに行った友達のカバンを大西さんが開けるのを見てしまって。──生徒手帳を持っていたので、もしかしたらと……」

 僕は奥歯を噛みしめた。

「その後、笑香のうわさが?」

 絞るような僕のつぶやきに、植原紗栄子はうなずいた。
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