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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人
12.柳沢笑香の完璧な恋人 12※
笑香はそっとまぶたを開いた。上から傷を見下ろす史郎はその目の色を変えていた。
赤黒くくぼんだ醜い跡と、縫った後に残ってしまったミミズのような盛り上がり。笑香が見るたびに顔をそむける、自分の体にできた引け目を、彼は違った意味で見ていた。
笑香はとまどいの表情を作った。
「気持ち悪くない?」
「……興奮する」
史郎の大変正直な、だがとんでもない答えに思わず右手で傷を隠す。
「あっ──」
史郎は物欲しそうな声を上げた。
笑香は眉間にしわをよせた。
「まさか、そんなふうに見られるとは思わなかった」
笑香が言うと、史郎は開き直ったように口をとがらせて答えた。
「しかたないだろ。興奮するものは興奮するんだ。もっとよく見せて」
史郎がよだれをたらさんばかりに傷跡へ顔をよせるのを見て、笑香は深くため息をついた。ゆっくりと傷から手を離す。
食い入るような史郎の視線。まるで自分の恥ずかしい場所をじっくり見られているような、そんな羞恥に満ちた時間。笑香はたまらず、史郎の熱のこもったまなざしから自分の顔をそむけていた。
「さわってもいい?」
上ずった声で史郎がたずねる。何も言わずに笑香はうなずいた。もうどうにでもして、というやや捨てばちな気分を抱え、史郎がふれる指先のくすぐるような感触に耐える。
不意に史郎がその口元を笑香の傷跡によせて来た。呼吸を乱して傷を舐め上げ、笑香の背中に手を回す。きつく体を抱きしめられて笑香は思わず息がつまった。ぬるりとした舌の感触が傷の上をはいまわる。
押しつけられた体の一部が固くなっていることを知り、笑香は彼が本当に、自分の醜い傷跡に魅了されていることを悟った。ひどく困惑しながらも、次第に安堵と小さな喜びがわき上がる。
──何だかよくわからないけど、史郎君は私の傷に引かなかった。
引かないどころか、むしろ執着するくらいの勢いで激しい愛撫を重ねて来る。その興奮に引きずられ、笑香はたまらず吐息を漏らした。
赤黒くくぼんだ醜い跡と、縫った後に残ってしまったミミズのような盛り上がり。笑香が見るたびに顔をそむける、自分の体にできた引け目を、彼は違った意味で見ていた。
笑香はとまどいの表情を作った。
「気持ち悪くない?」
「……興奮する」
史郎の大変正直な、だがとんでもない答えに思わず右手で傷を隠す。
「あっ──」
史郎は物欲しそうな声を上げた。
笑香は眉間にしわをよせた。
「まさか、そんなふうに見られるとは思わなかった」
笑香が言うと、史郎は開き直ったように口をとがらせて答えた。
「しかたないだろ。興奮するものは興奮するんだ。もっとよく見せて」
史郎がよだれをたらさんばかりに傷跡へ顔をよせるのを見て、笑香は深くため息をついた。ゆっくりと傷から手を離す。
食い入るような史郎の視線。まるで自分の恥ずかしい場所をじっくり見られているような、そんな羞恥に満ちた時間。笑香はたまらず、史郎の熱のこもったまなざしから自分の顔をそむけていた。
「さわってもいい?」
上ずった声で史郎がたずねる。何も言わずに笑香はうなずいた。もうどうにでもして、というやや捨てばちな気分を抱え、史郎がふれる指先のくすぐるような感触に耐える。
不意に史郎がその口元を笑香の傷跡によせて来た。呼吸を乱して傷を舐め上げ、笑香の背中に手を回す。きつく体を抱きしめられて笑香は思わず息がつまった。ぬるりとした舌の感触が傷の上をはいまわる。
押しつけられた体の一部が固くなっていることを知り、笑香は彼が本当に、自分の醜い傷跡に魅了されていることを悟った。ひどく困惑しながらも、次第に安堵と小さな喜びがわき上がる。
──何だかよくわからないけど、史郎君は私の傷に引かなかった。
引かないどころか、むしろ執着するくらいの勢いで激しい愛撫を重ねて来る。その興奮に引きずられ、笑香はたまらず吐息を漏らした。
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