【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人

54.懐古八景 14

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 やって来たその少年は、かなりの距離をここまで駆けて来たらしく、ラフに着こなしたスポーツウェアの肩を上下させていた。

「早かったな。もっとかかるかと思った」

 史郎が言った言葉の内容に、笑香は平然としている彼をまじまじと見てしまった。

──それだったら、授与品所でお守りくらい見せてくれたってよかったのに。

「早く来いって言ったのはそっちだろ。大体これから中央と練習試合だって知ってるだろうが。……っていうか、まだ眼鏡かけてんのか、お前」

 やや息をはずませながら、あきれたような物言いで史郎に答える少年を、笑香は興味を持って見つめた。
 背は笑香より少し高いくらいだが、いかにもスポーツマンらしい、敏捷そうな雰囲気を持った利発な顔つきの少年だ。秀でた額ににじんだ汗をごしごしと拳でこすり上げ、少年は史郎を見て言った。

「半からミーティングがあるんだよ。お前も知ってるだろ? 中央のキャプテン、やたら時間に厳しくて三十分前からグラウンドで待ってるんだ。俺が早く行ってやらないと、はらがイヤミを言われるんだよ」

 ポケットに手を入れたまま、史郎は楽しそうに笑った。

「別にいいんじゃないか? あいつはあいつで、どうせ一時間も前からグラウンドにいるんだろ。時間がつぶれてちょうどいい」
「お前はそう言うけどなあ……」

 苦労性らしいサッカー部部長が長々とついたため息に、笑香は恐縮して告げた。

「本当にすみません。史郎君が無理なことを言ったみたいで。ごめんなさい」

 申し訳なく頭を下げる笑香の方へ顔を向け、少年は大きな丸い瞳で遠慮なく笑香を凝視した。短く切りそろえられている茶色がかった頭髪が、どこか利口な柴犬を思わせる。

「水嶋の彼女ってわりに、イメージ違うね。何かこいつを見直した。こいつとつきあってるって言うから、キレイ系だけどもっとイヤミな感じの女子だって勝手に思ってた」
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