【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人

74.懐古八景 34

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 教室で起きた小さな事件を史郎に知られていたことに、笑香は言葉を失った。

──なんであのことを史郎君が知って……。

 自分を見返す笑香のまなざしに、史郎が苦笑いして告げた。

新保しんぼから聞いた。あいつがわざわざ連絡をよこして、君の話を教えてくれた。僕のことで斎藤さいとうのやつと教室で言い合いになったって。珍しく感情的になってたって言ってた。ちゃんと話を聞いてやれって新保に少し怒られたよ。……ごめん」

 今年、同じクラスになった史郎の友人の名を聞いて、笑香は泣き笑いの表情を浮かべた。
 生真面目な性格の新保正孝まさたかは、クラスメイトであるにも関わらず、史郎の彼女の笑香には決して自分から話しかけない。何か用事がある時も、直接その場で聞けばいいのになぜかラインを通して来る。よほど史郎に言い含められているのだろうとは思っていたが、陰できちんと自分の様子を見守っていてくれたのだ。
 涙の中に微笑みがもどった笑香の柔らかな面持ちに、史郎が口先をとがらせた。

「ああ、先に言っておくけど、君は直接新保に礼なんか言わなくたっていいからな。僕があいつに頼んだんだ。何かあったら笑香じゃなくて僕の方に連絡しろって。礼なら僕があいつにするから、君は関わらなくていい」

 そこまで言って、唇の端に笑みを浮かべる。

「僕の友達には、もう関わらないって決めたんだろ?」

 笑香は涙をこぼしながら笑った。

「史郎君、やっぱり性格悪い。そんなことばっかり言ってると、そのうち友達なくすから」
「僕の友達は僕の性格が悪いことくらい知ってるよ」

 肩をすくめて答えた後、史郎は再び真面目な顔で静かに笑香へと告げた。

「もし本当に君がつらいなら僕ももう一度考えるよ。君にだけそんな思いはさせない。──僕と同じ学校は無理でも、こっちで新しい学校を探して、ここで一緒に暮らさないか? 君一人くらいどうにでもなる。部屋だってたくさんあるし、それに……」

 再び苦笑いして続ける。

「本当はその方が僕はうれしい。もしそうなったらルールを作って、できるだけ君に迷惑をかけないようにするから。それとも、やっぱり僕がそっちにもどろうか? 僕が改めて一人暮らしして、また君と一緒に同じ学校に通ったっていい。誰にも、何も言わせない。きっと新保や仲林だって僕達に協力してくれるだろう。……今度は栄養失調になんかならないよ。君がそばにいてくれるから」
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