【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人

108.初恋と卵焼き、再び 32

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 露骨に話題を変えようとする彼氏の姑息な思惑に、笑香はやんわり皮肉を言った。

「何だか他にも色々と隠してることがありそうなんだけど。もし今度また何かあったら、史郎君にもらった手紙を電話で朗読するからね。──すっごい真面目な内容よ。国語で出された宿題みたい」

 史郎がうっと言葉を詰まらせた。珍しく動揺の色を隠せず、うろうろと視線を迷わせる。だがどうやら反撃の材料がうまく見つからなかったらしい。肩を落としてつぶやいた。

「最近、君が僕に似て来たような気がするな。僕も少し気をつけないと……。君が僕みたいになったら困る。今でも君に勝てないのに」

 そして小さく微笑みをこぼす。
 いつも物言いがきつい彼には珍しい反省の内容に、笑香は耳まで赤くなった。実際笑香は弟に「なんか、最近お姉ちゃんの言うことが結構キツいんだよなあ」などと、ため息交じりにぼやかれていたのだ。

──私も少し気をつけないと。史郎君は、うちの家族にはまだ性格を隠してるんだし、私が勝手に自分で性格を悪くしてるみたいじゃない。

 史郎の微笑みを見返しながら、笑香は心の中で思った。

     *

「来なくてもいい」と何度も言ったのに、史郎は笑香の後を追いかけ、わざわざホームにまでついて来た。
  増えた荷物を冷ややかに見ていた先ほどまでとは打って変わって、今度は妙に気を使い、ことあるごとにべたべたと笑香の体にふれて来る。他の乗客に迷惑をかけそうで、笑香は乗降口に並ぶ列の後ろにつけなかった。

「来週、頼んだお菓子を忘れないでね」

 笑香が史郎に念を押すと、史郎がぼやくようにつぶやいた。

「君も勇人も僕じゃなくて、持って行く物が目的か」

 本音がそれだとはさすがにばらせず、笑香は口を開かずに置いた。
 ホームにアナウンスが流れ、間もなく予定の新幹線が到着すると伝えて来る。笑香は横の史郎を見上げ、眼鏡をかけないいつもの顔に安心感を抱いて言った。

「次に制服で来た時は今度こそ水族館に行こうよ。別に眼鏡はかけなくていいから。制服デートってあこがれてたし、制服の方が目立つからショーで指名されやすいって、ネットの口コミに書いてあったの」
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