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九日目 ー3
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がばりと起き上がり、僕は大きく息を吐いた。夢、だろうか? それにしてはとても生々しい感覚に、額に浮かんだ汗を拭う。
そう、とても嫌な感覚だった。何か、とても嫌な……。
「ん……時間?」
イリヴァーラが目を覚ました。
もぞもぞと皆が動き出し、起き上がる。ふうと伸びをして、こきこきと関節を鳴らし、ナイアラが「そろそろって感じかなあ?」と呟いた。
「少しだけ入り口を開けて、外を見てみるわ。静かにしてて」
イリヴァーラが“小部屋”の入り口を開けると、まだ日が沈んでまもないくらいの時間だったようだ。西の空にはまだ赤みが残り、昇り始めた月が東の空の低い場所にあった。
「頃合ね」
イリヴァーラの言葉に全員が頷き、すぐに準備を整える……整えるといっても、一部、休むために外していた鎧をつけ直すくらいなのだが。
ふたたび慎重に入り口を開き、外の様子を伺った後、まずナイアラが外へと出た。彼女はそのままじっと耳を澄まし、あたりの安全を確認する。ナイアラの合図を待ってから、僕らはなるべく音を立てないよう、慎重に外へ滑り出た。
「昼間よりは、ちょっと静かかも」
小声でボソボソと話しながら、ナイアラが先を進む。
考えたとおり、夜目の利かないカルト員たちは、松明やランタンを片手に森を歩いているようだった。
灯りを使わない僕らからしてみれば、視界の利かない森の中でも遠目に見つけることができる。非常にありがたい。
「じゃあ、なるべく静かに、急いで進むからねえ」
ナイアラの宣言どおり、木々の隙間から差し込む月明かりを頼りに、僕らはどんどんと先を急ぐ。
時折見える灯りに動きを止めてやり過ごしたり、迂回したりしながら、それでも、戦いながら移動した昼間よりもずっと早く移動できた。
「最初から、こうしておけばよかったわね」
「いやいや、あの隠れ場所のないところでは、いかに灯りがなくてもカイルの白い翼は目立ったでしょうし、私たちが森にいると知られてからのほうが都合よかったはずですよ。ですから、これが正解なんだと思っておきましょう」
溜息を吐くイリヴァーラに、ヘスカンが笑みを含んだ声で機嫌良く応える。
「この調子なら、たぶん月が中天になる頃には洞窟に到着できるよお」
ナイアラがきらりと目を光らせながら、小さく言った。
夜のうちに洞窟に入れれば……ルカが囚われているとしたら、洞窟かその先、“魔女の舞踏場”がある谷間のどちらかだろう。
昼間とは打って変わり、一度だけはぐれか何かだろうと思われる“猟犬”と戦ったくらいで、すんなりと、斜面にぽっかりと穴を開けた洞窟の入り口まで辿り着くことができたのだった。
「いい? ひとつ断っておくけど、入ったら入り口を“石壁”で閉じてしまおうと思っているの」
イリヴァーラが洞窟の入り口を睨みながら、宣言する。
「つまり、退却はできなくなるわ」
「僕は構わないよ」
「だって、ルカちゃん見つけるまで帰らないんでしょう? だったら、閉じちゃったほうが応援来なくていいしぃ」
「反対は誰もいませんね」
「そう。それじゃ遠慮なくそうするわ」
外に出ているものたちはそれなりの数だろう、その考慮を排除できるなら、たぶんそのほうがいい。
「見張りは“麻痺”で無力化する。呪文を唱えたら、すぐに入り口内部の確保をお願い」
「わかった」
イリヴァーラの魔法で見張りが倒れたのを合図に、僕とナイアラは隠れていた茂みを飛び出した。
もうすぐだ。もうすぐで、ルカのところへ辿り着ける。
そう、とても嫌な感覚だった。何か、とても嫌な……。
「ん……時間?」
イリヴァーラが目を覚ました。
もぞもぞと皆が動き出し、起き上がる。ふうと伸びをして、こきこきと関節を鳴らし、ナイアラが「そろそろって感じかなあ?」と呟いた。
「少しだけ入り口を開けて、外を見てみるわ。静かにしてて」
イリヴァーラが“小部屋”の入り口を開けると、まだ日が沈んでまもないくらいの時間だったようだ。西の空にはまだ赤みが残り、昇り始めた月が東の空の低い場所にあった。
「頃合ね」
イリヴァーラの言葉に全員が頷き、すぐに準備を整える……整えるといっても、一部、休むために外していた鎧をつけ直すくらいなのだが。
ふたたび慎重に入り口を開き、外の様子を伺った後、まずナイアラが外へと出た。彼女はそのままじっと耳を澄まし、あたりの安全を確認する。ナイアラの合図を待ってから、僕らはなるべく音を立てないよう、慎重に外へ滑り出た。
「昼間よりは、ちょっと静かかも」
小声でボソボソと話しながら、ナイアラが先を進む。
考えたとおり、夜目の利かないカルト員たちは、松明やランタンを片手に森を歩いているようだった。
灯りを使わない僕らからしてみれば、視界の利かない森の中でも遠目に見つけることができる。非常にありがたい。
「じゃあ、なるべく静かに、急いで進むからねえ」
ナイアラの宣言どおり、木々の隙間から差し込む月明かりを頼りに、僕らはどんどんと先を急ぐ。
時折見える灯りに動きを止めてやり過ごしたり、迂回したりしながら、それでも、戦いながら移動した昼間よりもずっと早く移動できた。
「最初から、こうしておけばよかったわね」
「いやいや、あの隠れ場所のないところでは、いかに灯りがなくてもカイルの白い翼は目立ったでしょうし、私たちが森にいると知られてからのほうが都合よかったはずですよ。ですから、これが正解なんだと思っておきましょう」
溜息を吐くイリヴァーラに、ヘスカンが笑みを含んだ声で機嫌良く応える。
「この調子なら、たぶん月が中天になる頃には洞窟に到着できるよお」
ナイアラがきらりと目を光らせながら、小さく言った。
夜のうちに洞窟に入れれば……ルカが囚われているとしたら、洞窟かその先、“魔女の舞踏場”がある谷間のどちらかだろう。
昼間とは打って変わり、一度だけはぐれか何かだろうと思われる“猟犬”と戦ったくらいで、すんなりと、斜面にぽっかりと穴を開けた洞窟の入り口まで辿り着くことができたのだった。
「いい? ひとつ断っておくけど、入ったら入り口を“石壁”で閉じてしまおうと思っているの」
イリヴァーラが洞窟の入り口を睨みながら、宣言する。
「つまり、退却はできなくなるわ」
「僕は構わないよ」
「だって、ルカちゃん見つけるまで帰らないんでしょう? だったら、閉じちゃったほうが応援来なくていいしぃ」
「反対は誰もいませんね」
「そう。それじゃ遠慮なくそうするわ」
外に出ているものたちはそれなりの数だろう、その考慮を排除できるなら、たぶんそのほうがいい。
「見張りは“麻痺”で無力化する。呪文を唱えたら、すぐに入り口内部の確保をお願い」
「わかった」
イリヴァーラの魔法で見張りが倒れたのを合図に、僕とナイアラは隠れていた茂みを飛び出した。
もうすぐだ。もうすぐで、ルカのところへ辿り着ける。
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