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6.お姫様と王子様の結婚
“末長く幸せに”へと至る道
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結婚してサルティニア公爵夫人となったジェルヴェーズはとてもがんばった。主に、「魔術がいかに素晴らしく安全か」と啓蒙する方面でだ。
そもそも、便利な魔道具は使うくせに、魔術師は恐れて遠ざけるというのが変な話なのだ。魔道具を作り出すのは、魔術師なのだから。
呼ばれたお茶会ではさりげなく魔術の良い点をアピールして、善良な魔術師たちがいかに素晴らしいかを説いて……少し呆れられることもあるが、どうにかして魔術師だからなどと短絡的に判断することはやめさせたいと、あちこちで魔術師の広報活動に勤しんでいる。
「でも奥様、とても時間がかかって大変なことですよ」
「まあ、わたくしがその程度で音を上げると思っているの?」
結婚してからも側付きを続けているトーヴァが、少し呆れた顔をする。
だって、魔術師というだけでアルトゥールが忌避されるなんて、我慢できないんだからしかたない。
「だからわたくし……そうね、外から魔術師をたくさん招聘しようかしら。お父様のコネも使って……そうだわ、トーヴァの親戚にも魔術師がいると言っていたわね? どんどんこちらへ招待するといいわ」
「え、まあ……そうですね」
むやみに外から高位の魔術師を呼んだりしては逆効果ではないか……とトーヴァは考えるのだが、ジェルヴェーズはそうと考えないのだろうか。
「“大災害”からだって、もう百五十年は経つのよ。そろそろ“魔術は怖いもの”から脱したっていいはずだわ。
それに、剣も魔術も同じで、力なんて要は使う者次第なのだって師長様もいってたし、オーリャ様が魔術を悪いことに使うなんてあり得ないもの」
「そうですね」
力説するジェルヴェーズに、トーヴァは思わず苦笑を浮かべる。
何のことはない、アルトゥールへの世間一般の評価が気に入らなくて仕方がないだけなのだ。ジェルヴェーズは言い出したら聞かないところがある。きっと、今度も周りを巻き込んで大騒ぎをしながら完遂してしまうのだろう。
「それでね、オーリャ様。西の都の魔術師協会に、トーヴァの従姉がいるのですって。だから、その伝手でこちらに高名な魔術師を招待できないかしらと思ったの」
「そうでしたか」
夜、帰宅したアルトゥールを迎えながら、ジェルヴェーズは思いついたことをあれこれと喋り出す。
毎日、ほとんどの時間を屋敷で過ごしている割に、ジェルヴェーズの話の種は本当に尽きない。
離宮にいた頃よりも、社交であちこちに呼ばれて出かけることは増えた。けれど、アルトゥールと話すのは婦人同士の噂話のようなものより、日々ジェルヴェーズが考えていることのほうがずっと多かった。
「他にも、魔術師以外の者に魔術を知ってもらう機会を作ったらどうかしらって。以前、オーリャ様がお花を作ってくださったみたいに、皆に怖いのではなくて素敵な魔術を知ってもらうのよ」
「――それは良い案かもしれませんね」
この国は、とにかく魔術師への偏見が強い。
“魔術とは恐ろしいもの”という価値観に凝り固まってしまっている。
それゆえに魔術師があまり居着かず、この国は、魔術という面で他国から相当に遅れてしまったほどだ。
先王の治世あたりからその傾向は目立ってきていたし、王家もどうにか変えなければと考えてはいた。
けれど、どうにも手を付けあぐねていたのだ。
「兄上……王太子殿下を通して、国王陛下にも進言してみましょう。ニナも相談に乗ってくれますか?」
「もちろんだわ」
ふふっと笑って、ジェルヴェーズはきゅっとアルトゥールに抱き着いた。
「オーリャ様、大好き」
「ニナ、僕もですよ」
アルトゥールが軽く唇を啄むと、ジェルヴェーズの顔は幸せに蕩けていく。
ジェルヴェーズの思い付きを馬鹿にせず、ちゃんと最後まで聞いてくれるアルトゥールが大好きだ。
それが納得できるものなら、こうしてジェルヴェーズを交えて一緒に考えようとしてくれるところも好きだ。
「わたくし、オーリャ様と結婚してよかったわ」
「僕も、ニナと結婚してよかったと、毎日思っています」
ちゅ、ちゅ、と何度も啄むうちに、吐息に熱がこもり始める。
何を考えているかわからない、恐ろしい魔術師の第二王子は、隣国の姫を娶ったことで随分と丸くなったようだ……などと囁かれるようになっていた。
もともとのその評判が、あの“大魔導師”の作ったものだとしても、アルトゥールの評判は良くなっている。だからこのまま魔術師そのものの評判も良いものにして、なんとかアルトゥールの地位そのものを向上したい、というのがジェルヴェーズの真の野望だった。
だって、アルトゥールはとても素敵な魔術師なのだから。
ゆくゆくは、おとなしい性格であまり表には出たがらないアルトゥールをいかに前に押し出していくかが、ジェルヴェーズの課題でもある。
「オーリャ様、わたくし、オーリャ様ともっと仲良くなりたいわ」
「今でも十分に仲良くなっていると思いますが」
「いいえ。もっとよ。わたくし、オーリャ様のことが大好きなんだもの」
ジェルヴェーズは、アルトゥールを引き寄せながらベッドに倒れ込む。ジェルヴェーズの上にのし掛かるように倒れたアルトゥールは、とたんに顔を真っ赤に染めて「ニナ」と少し咎めるような声を上げた。
しかし、ジェルヴェーズはくすくすと笑うだけだ。
「ねえ、オーリャ様」
「はい?」
「御伽噺は、お姫様と王子様は“結ばれて末永く幸せに暮らしました”で終わるけれど、ほんとうは、そこからが始まりなんだってトーヴァが言ってたの」
アルトゥールは首を傾げて続きを問う。その首に腕を掛けたまま、ジェルヴェーズがいたずらっぽく少し上目遣いに見上げる。
「だって、結ばれる前より、結ばれてからのほうがずっと長いのよ。結ばれて末永く幸せに暮らすには、結ばれる前よりもっとたくさん頑張らないといけないのですって。わたくしも、それはたしかにそうねって思ったの」
「――僕はニナと結ばれて、今、とても幸せなのですが」
「あら、オーリャ様。もちろんわたくしも幸せよ?
でも、わたくしはもっともっとオーリャ様を幸せにしたいもの。だから、もっと頑張らなくちゃって思うの」
アルトゥールがくすりと笑う。まったくもって、ジェルヴェーズという自分の妻は、アルトゥールが考える以上にとてもかわいらしく貪欲だ。
「ニナ。僕も、ニナをもっと幸せにしたいといつも考えています」
「まあ」
ちゅ、とキスをするアルトゥールを、ジェルヴェーズはきゅっと抱き締めた。
「なら、オーリャ様。わたくし、オーリャ様の子をたくさん産みたいわ。オーリャ様にそっくりな子が欲しいの。だから、ね?」
「ニナ……もちろんです」
ジェルヴェーズは、アルトゥールを喜ばせるのはもちろん、煽ることもとても上手だ。これ以上幸せになんて、いったい何が待っているのかまったく想像がつかない。けれど、ジェルヴェーズがいるかぎり、自分が今より不幸になることはあり得ない。
「ニナ」
呼び掛けに、「オーリャ様?」とジェルヴェーズが小さく応える。
微笑んでちょんと額を啄ばむと、ジェルヴェーズは少しくすぐったそうに、そしてふわふわと嬉しそうに笑った。
「わたくし、オーリャ様のことをうんと幸せにするわね」
アルトゥールは思わずじっとジェルヴェーズを見つめ返してしまう。
「ニナ、それは僕があなたに言うべき言葉ではないかと思うのですが?」
「まあ、当然だわ。わたくしはオーリャ様に幸せにしてもらうのだもの。でも、オーリャ様を幸せにするのはわたくしよ」
ジェルヴェーズは何を当たり前のことをとキスを返した。
お互いがお互いを幸せにすることこそが、“末長く幸せに暮らしました”という物語の終わりへ至る道に続くのだ。
「では、僕もニナをもっと幸せにしますね」
ふふ、と笑って、今度はアルトゥールがキスをする。
だから、この道は間違いなく“ふたりが末永く幸せに暮らす”道へと続いている。
アルトゥールもジェルヴェーズも、そう、確信している。
そもそも、便利な魔道具は使うくせに、魔術師は恐れて遠ざけるというのが変な話なのだ。魔道具を作り出すのは、魔術師なのだから。
呼ばれたお茶会ではさりげなく魔術の良い点をアピールして、善良な魔術師たちがいかに素晴らしいかを説いて……少し呆れられることもあるが、どうにかして魔術師だからなどと短絡的に判断することはやめさせたいと、あちこちで魔術師の広報活動に勤しんでいる。
「でも奥様、とても時間がかかって大変なことですよ」
「まあ、わたくしがその程度で音を上げると思っているの?」
結婚してからも側付きを続けているトーヴァが、少し呆れた顔をする。
だって、魔術師というだけでアルトゥールが忌避されるなんて、我慢できないんだからしかたない。
「だからわたくし……そうね、外から魔術師をたくさん招聘しようかしら。お父様のコネも使って……そうだわ、トーヴァの親戚にも魔術師がいると言っていたわね? どんどんこちらへ招待するといいわ」
「え、まあ……そうですね」
むやみに外から高位の魔術師を呼んだりしては逆効果ではないか……とトーヴァは考えるのだが、ジェルヴェーズはそうと考えないのだろうか。
「“大災害”からだって、もう百五十年は経つのよ。そろそろ“魔術は怖いもの”から脱したっていいはずだわ。
それに、剣も魔術も同じで、力なんて要は使う者次第なのだって師長様もいってたし、オーリャ様が魔術を悪いことに使うなんてあり得ないもの」
「そうですね」
力説するジェルヴェーズに、トーヴァは思わず苦笑を浮かべる。
何のことはない、アルトゥールへの世間一般の評価が気に入らなくて仕方がないだけなのだ。ジェルヴェーズは言い出したら聞かないところがある。きっと、今度も周りを巻き込んで大騒ぎをしながら完遂してしまうのだろう。
「それでね、オーリャ様。西の都の魔術師協会に、トーヴァの従姉がいるのですって。だから、その伝手でこちらに高名な魔術師を招待できないかしらと思ったの」
「そうでしたか」
夜、帰宅したアルトゥールを迎えながら、ジェルヴェーズは思いついたことをあれこれと喋り出す。
毎日、ほとんどの時間を屋敷で過ごしている割に、ジェルヴェーズの話の種は本当に尽きない。
離宮にいた頃よりも、社交であちこちに呼ばれて出かけることは増えた。けれど、アルトゥールと話すのは婦人同士の噂話のようなものより、日々ジェルヴェーズが考えていることのほうがずっと多かった。
「他にも、魔術師以外の者に魔術を知ってもらう機会を作ったらどうかしらって。以前、オーリャ様がお花を作ってくださったみたいに、皆に怖いのではなくて素敵な魔術を知ってもらうのよ」
「――それは良い案かもしれませんね」
この国は、とにかく魔術師への偏見が強い。
“魔術とは恐ろしいもの”という価値観に凝り固まってしまっている。
それゆえに魔術師があまり居着かず、この国は、魔術という面で他国から相当に遅れてしまったほどだ。
先王の治世あたりからその傾向は目立ってきていたし、王家もどうにか変えなければと考えてはいた。
けれど、どうにも手を付けあぐねていたのだ。
「兄上……王太子殿下を通して、国王陛下にも進言してみましょう。ニナも相談に乗ってくれますか?」
「もちろんだわ」
ふふっと笑って、ジェルヴェーズはきゅっとアルトゥールに抱き着いた。
「オーリャ様、大好き」
「ニナ、僕もですよ」
アルトゥールが軽く唇を啄むと、ジェルヴェーズの顔は幸せに蕩けていく。
ジェルヴェーズの思い付きを馬鹿にせず、ちゃんと最後まで聞いてくれるアルトゥールが大好きだ。
それが納得できるものなら、こうしてジェルヴェーズを交えて一緒に考えようとしてくれるところも好きだ。
「わたくし、オーリャ様と結婚してよかったわ」
「僕も、ニナと結婚してよかったと、毎日思っています」
ちゅ、ちゅ、と何度も啄むうちに、吐息に熱がこもり始める。
何を考えているかわからない、恐ろしい魔術師の第二王子は、隣国の姫を娶ったことで随分と丸くなったようだ……などと囁かれるようになっていた。
もともとのその評判が、あの“大魔導師”の作ったものだとしても、アルトゥールの評判は良くなっている。だからこのまま魔術師そのものの評判も良いものにして、なんとかアルトゥールの地位そのものを向上したい、というのがジェルヴェーズの真の野望だった。
だって、アルトゥールはとても素敵な魔術師なのだから。
ゆくゆくは、おとなしい性格であまり表には出たがらないアルトゥールをいかに前に押し出していくかが、ジェルヴェーズの課題でもある。
「オーリャ様、わたくし、オーリャ様ともっと仲良くなりたいわ」
「今でも十分に仲良くなっていると思いますが」
「いいえ。もっとよ。わたくし、オーリャ様のことが大好きなんだもの」
ジェルヴェーズは、アルトゥールを引き寄せながらベッドに倒れ込む。ジェルヴェーズの上にのし掛かるように倒れたアルトゥールは、とたんに顔を真っ赤に染めて「ニナ」と少し咎めるような声を上げた。
しかし、ジェルヴェーズはくすくすと笑うだけだ。
「ねえ、オーリャ様」
「はい?」
「御伽噺は、お姫様と王子様は“結ばれて末永く幸せに暮らしました”で終わるけれど、ほんとうは、そこからが始まりなんだってトーヴァが言ってたの」
アルトゥールは首を傾げて続きを問う。その首に腕を掛けたまま、ジェルヴェーズがいたずらっぽく少し上目遣いに見上げる。
「だって、結ばれる前より、結ばれてからのほうがずっと長いのよ。結ばれて末永く幸せに暮らすには、結ばれる前よりもっとたくさん頑張らないといけないのですって。わたくしも、それはたしかにそうねって思ったの」
「――僕はニナと結ばれて、今、とても幸せなのですが」
「あら、オーリャ様。もちろんわたくしも幸せよ?
でも、わたくしはもっともっとオーリャ様を幸せにしたいもの。だから、もっと頑張らなくちゃって思うの」
アルトゥールがくすりと笑う。まったくもって、ジェルヴェーズという自分の妻は、アルトゥールが考える以上にとてもかわいらしく貪欲だ。
「ニナ。僕も、ニナをもっと幸せにしたいといつも考えています」
「まあ」
ちゅ、とキスをするアルトゥールを、ジェルヴェーズはきゅっと抱き締めた。
「なら、オーリャ様。わたくし、オーリャ様の子をたくさん産みたいわ。オーリャ様にそっくりな子が欲しいの。だから、ね?」
「ニナ……もちろんです」
ジェルヴェーズは、アルトゥールを喜ばせるのはもちろん、煽ることもとても上手だ。これ以上幸せになんて、いったい何が待っているのかまったく想像がつかない。けれど、ジェルヴェーズがいるかぎり、自分が今より不幸になることはあり得ない。
「ニナ」
呼び掛けに、「オーリャ様?」とジェルヴェーズが小さく応える。
微笑んでちょんと額を啄ばむと、ジェルヴェーズは少しくすぐったそうに、そしてふわふわと嬉しそうに笑った。
「わたくし、オーリャ様のことをうんと幸せにするわね」
アルトゥールは思わずじっとジェルヴェーズを見つめ返してしまう。
「ニナ、それは僕があなたに言うべき言葉ではないかと思うのですが?」
「まあ、当然だわ。わたくしはオーリャ様に幸せにしてもらうのだもの。でも、オーリャ様を幸せにするのはわたくしよ」
ジェルヴェーズは何を当たり前のことをとキスを返した。
お互いがお互いを幸せにすることこそが、“末長く幸せに暮らしました”という物語の終わりへ至る道に続くのだ。
「では、僕もニナをもっと幸せにしますね」
ふふ、と笑って、今度はアルトゥールがキスをする。
だから、この道は間違いなく“ふたりが末永く幸せに暮らす”道へと続いている。
アルトゥールもジェルヴェーズも、そう、確信している。
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