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あなたは運命のひとだから
後編
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ゆるゆると腰を回しながら、短く息を吐くシリルからは、とても15の子供とは思えないくらいに色気があふれていた。
ロクサーヌの心臓がうるさいほどに激しく鼓動を打ち、どくどくと血液の流れる音が聞こえるようだ。シリル自身を穿たれた場所からは、後から後から快楽が立ち昇り、ロクサーヌの頭をどんどん蕩かしていく。
「あ、シリル様……」
ロクサーヌに呼ばれて、シリルは蕩け切った笑みを返す。ロクサーヌの身体を抱き起こして唇を舐め、キスをして舌を差し込む。腰を揺すりながら舌を絡め、吸われると、身体の芯から幸福感が湧き上がり、ひくひくと奥のほうがわなないてしまう。
「あ……ロクサーヌ、気持ちいいんだね?」
きゅ、と乳首を抓られて、またロクサーヌの中が震えた。シリルが恍惚とした表情で吐息を漏らし、ロクサーヌの身体を抱き締める。揺れる乳房に舌を這わせ、甘く噛んで肌を吸い、赤い花を咲かせる。
ちり、という痛みが走るたびにロクサーヌはぴくりと身体を跳ねて、内を満たすシリルを締め付ける。
堪らずに顎を跳ね上げ、頭を仰け反らせてしまう。
「ん、はぁ……あっ、シリル、さまぁっ!」
「あ、っロクサーヌ、また、こんなに締めたら、出ちゃうよ……」
うわ言のように自分を呼ぶロクサーヌを強く揺すり、シリルは息を荒げた。
早くロクサーヌを手に入れたかった。ロクサーヌに目を付けそうなものに手を回し、どうにか遠ざけてきた。なのに、彼女がどこからか伝手を辿って見合いをするのだと聞いて、慌てて戻ってきたのだ。
けれど、これでやっと……。
「シリルさま、お、おかしく、なってしま……あんっ、おく、おくが……っ」
「ロクサーヌ、おかしくなって? ねえ、このまま、僕に溺れてよ」
突き上げて奥を抉るシリルの楔に、ロクサーヌは身を悶えさせる。脳髄を焼くような快楽に、精神までやられそうだ。
「僕はもう、ロクサーヌに溺れてるよ。だから、ロクサーヌも僕に溺れて」
「あ、ああ……シリル、さまっ!」
「ねえ、ロクサーヌ。ロクサーヌは、もう全部、僕のものでしょう?」
「あ、ひ……っ、シリルさ……あ、だめぇっ」
ぐちゅぐちゅと音を立てて掻き回されて、ロクサーヌの目蓋の裏にチカチカと光がまたたき始める。
「ここだって、こんなにぴったりじゃないか。ロクサーヌが僕をこんなに締め付けて、おいしいって食べてくれてるよ」
「うぁ、あ、ああっ!」
「僕も、ロクサーヌの中にいると、とても気持ちいいんだ」
「ああん、や、あっ、そこ、だめぇっ!」
「ねえ、ロクサーヌ。だから僕に溺れて」
再び長椅子に横たえられて、シリルがガツガツと突き上げる。
ロクサーヌ、ロクサーヌと呼びながら、大きく腰をぶつけるように、ロクサーヌの内襞を擦り上げる。
「ロクサーヌが早く溺れてくれるよう、僕でいっぱいにしてあげるから……あ、っ、ロクサーヌ……っ、は」
「あ、や、あああっ、シリル、さ……ああっ!」
大きく跳ねるように痙攣するロクサーヌにしっかりと腰を押し付けて、シリルは奥深いところへ向けて熱を迸らせた。
どくどくと脈打つシリルの熱い楔を、ロクサーヌがしっかりと抱き締める……まるで、余さず搾り取ろうとでもするように。
「は……ロクサーヌ……」
汗で滑る身体をぎゅうと抱き締めて、シリルはロクサーヌにキスをする。額にいくつもできた汗の筋を指先でゆっくりと拭う。
ぼんやり見つめ返すロクサーヌに、うっとりと笑い返す。
「ロクサーヌ……きれいだ」
「あ……」
シリルはぐちゅりと音を立てて肉茎を引き抜いた。ロクサーヌの蜜口から白く濁った粘液がくぷくぷと溢れ出す。
その淫靡な眺めに、またシリルの背をぞくぞくとした欲望が這い上がる。
「ロクサーヌから、僕の出したものが出てきたよ」
「シリル、様……」
「こんなに溢れちゃったら、また入れてあげないと。ロクサーヌの中を、僕でいっぱいにしなきゃ……」
やや上擦った声で呟いて、シリルはどうにかロクサーヌを抱き上げる。あまり身長も体格も変わらないけれど、少しふらつきながらもしっかりと抱き上げたのは、やはりシリルも男だということなのか。
今度は奥の寝室へと連れ込まれ、ベッドに横たえられた。長椅子とは違うマットの柔らかさと広さに、ロクサーヌはどことなく不安になる。
「ロクサーヌ、さあ、また始めようか」
「あ、え……シリル様、また、って……」
覆い被さるように、シリルがのし掛かった。
身体中が怠い。なのに、脚を抱えられ、熱をあてがわれると、それだけでロクサーヌの腹の中が疼き出してしまう。
もう、自分はシリルのこれがなければ生きていけないんじゃないだろうか。
「あ、あっ……」
切っ先で蜜口を擽りながら、シリルは恍惚と溜息を漏らす。はあはあと荒い息を吐いて、ロクサーヌに蕩けるような笑みを向ける。
「ロクサーヌ、入れてほしい?」
「あ、シリル様……そんな……」
「欲しい? ロクサーヌ、僕のこれ、欲しい?」
羞恥で真っ赤に染まった顔を背けたまま、ロクサーヌは手で顔を覆う。なのに、ゆるゆると撫で回すシリルの楔を追いかけて、ロクサーヌの腰が動いてしまう。
「ねえ、ロクサーヌ、正直になって。僕が、欲しくないの?」
「あ、シリル様、でも……」
「僕は欲しいよ。ロクサーヌに入りたくて堪らない。ロクサーヌは?」
くちゅっと音を立てて擽られ、僅かに入り口を抉られて、電流が背を走る。
「……っ、んっ……シリル様……欲し、い、です」
「ちゃんと、はっきり言って、ロクサーヌ」
途切れ途切れに、掠れた声で囁くように口に出すのでは、シリルは入れてくれなかった。入り口をそっと擦るだけで、入れてくれない。
「それじゃよくわからないよ、ロクサーヌ」
「あ、あっ、そんな……」
「ロクサーヌ……いいこ。だからちゃんと言ってごらん?」
「う……あ、欲しい、です……シリル様が、欲しい……」
今度こそ、ずぶり、といっきに突き立てられて、ロクサーヌはひゅっと息を飲んだ。頭の中の全部がシリルで塗り込められて、他のことが考えられなくなってしまう。ぐちゅりぐちゅりとゆっくり大きく抽送を繰り返しながら、シリルが陶然と溜息を吐く。
「あ、あ、あ……」
はくはくと魚のように口を開け閉めして、ロクサーヌはひゅうひゅうと喉を鳴らした。うまく息ができない。心臓の音ばかりが頭に響いて、シリルが与える快楽に身体中が引き攣って、うまく息が吸えない。
至福といった表情のシリルが、ロクサーヌの中をひときわ大きく掻き混ぜる。
「ひ、あ……シリル様……っ」
「ああ、ロクサーヌ、気持ちいいね……もう、ずっとこのままで居たいくらいだよ。ロクサーヌは?」
「あ、あぅ……は、や、あ、だめ……だめ、いっちゃ……シリル、さま……」
「ふふ、またいっちゃうの? ロクサーヌは敏感なんだね。それとも淫乱なのかな。でも、他に目を向けたりしたらだめだよ。ロクサーヌは僕だけのロクサーヌなんだから……ロクサーヌが欲しいなら欲しいだけ、僕が気持ちよくしてあげるからね」
搔きまわし、小突き、抉り……ゆるゆる動かしながら、乳首を齧り花芽を摘むと、ロクサーヌはたちまちのたうつように震えて達してしまった。シリルも背を震わせて、また熱い白濁を放つ。
身体の奥が熱い。
熱くて熱くて堪らないのに、シリルに穿たれて熱を受けると、ほんの少しだけそれが和らいで……。
身体の上にシリルの重みを感じて、ロクサーヌはとろとろと目を閉じる。
* * *
身体がぎしりと軋むようだ。
普段、それなりに鍛えているし、あれだけ森の中を動き回っているのに、なぜこんなに身体が軋むのだろうと目を開けて、ロクサーヌはぎくりとする。
「ひっ!」
ふかふかのベッドに横たわり、しっかりとシリルに抱き込まれたまま、脚も絡めあったまま寝ていたのだ。
もちろん全裸で。
慌てて起き上がろうとしたが、シリルの腕は、がっちりとロクサーヌの腰を掴んで放さない。
「ん……ロクサーヌ、おはよう?」
まだ少し寝ぼけているのか、ふんわりと微笑んだシリルが薄く目を開ける。
「あ、あの、シリル様、私……」
「ロクサーヌ、まだここでこうしてて?」
抱き締める腕に力がこもる。
昨日、シリルに薬を入れられたお茶を飲んで、それからずっと、あんなに乱れて、ヤリ通して……ふたりとも疲れて気を失うように寝てしまうまで、ひたすら貪っていたことを思い出す。
逃げ出したい。
ロクサーヌは、すぐさまこの場から逃げ出したいという衝動に襲われた。
何と言っても、シリルは主たる公爵家の三男で、まだ15の子供なのだ。成人済のロクサーヌが責任を問われるのは必至だろう。
お役御免で済めばいいが、家族にまで責任が及んでしまったら……いや、及ばないわけがない。成人してもまだ未婚の女なのだ、父の責任問題でもあるだろう。
「し、シリル様、私……」
「だめだよ。ロクサーヌは僕とずっと一緒なんだから、このままここにいて」
「けれど、シリル様……」
そこに、ノックの音が響く。すぐにかちゃりと扉が開き、入ってきたのはシリル付きの侍女だった。
「ひっ」
「シリル様、朝食はいかがいたしますか?」
「部屋で食べるよ。ねえ、湯あみの用意はできてる?」
「はい、用意してございます。ロクサーヌ様の着替えも用意いたしましたが、ご確認なさいますか?」
「ん、君たちに任せるよ。それと、湯浴みはふたりだけでするからね」
「はい」
「父上は?」
「旦那様は、朝食をお召し上がりになっております」
「じゃあ、後で部屋に行くって伝えておいて」
「はい」
ぱたりと扉が閉じて、侍女は出て行った。
「シリル様、その……んっ」
言いかけたところをキスで塞がれる。引こうとすると、頭の後ろに腕を回してしっかりと押さえられ、舌も差し込まれた。
「ロクサーヌ、僕がきれいにしてあげる。さ、お風呂に行こう」
裸のまま、手を引かれて立ち上がる。
浴室に連れ込まれ、シリル自らの手で洗われて、いったい昨日から何が起こっているのか、ロクサーヌは呆然としたままだった。
もう、さっさと逃げ出したくて堪らないのに、シリルのとろとろに蕩けきった微笑みがそれを許さない。
侍女の手によって飾られて、シリルにまるで餌付けでもされているかのように朝食を食べさせられ、手を引かれるままに公爵の執務室へと連れて行かれ……。
「父上、ロクサーヌは僕の妻になります」
公爵は瞠目し……けれど思ったよりも驚いてはいないように見えて、ロクサーヌはさらに混乱した。
公爵は、どことなく諦めたかのような溜息を吐く。
「あ、あの、シリル様、そんな、お戯れは……」
「シリルよ、お前はまだ成人前だが。それにロクサーヌの意思は確認したのか? 彼女も驚いているようにも見えるのだが」
「大丈夫です、父上。ロクサーヌとは合意の上ですから」
「へ? シ、シリル様、その……?」
「そうだよね、ロクサーヌ? 僕が欲しいと言ったよね?」
「え、あ、その……」
ぐるぐると視線を彷徨わせながら、たしかに、そんなことを言った気がして、ロクサーヌは困り果ててしまう。そもそもあんな、コトの最中に口走ったことなのにいいのだろうか。なんだかもう頭の中がぐだぐだになって、媚薬とかなんだとかで、もう……。
シリルの手に力がこもる。ハッとシリルに注意を戻すと、「ロクサーヌ?」とほんのりと目を潤ませたシリルが、小さく首を傾げる。
「ロクサーヌは、もう僕のものだよね? そう、約束したよね?」
「う、あ……はい、シリル様」
たちまち満面に笑みを浮かべ、シリルが抱き付いた。
「あの子がロクサーヌを見て、運命の女だと言い出した時、これはまずいなと思ったんだよ。公爵家にはたまにいるんだ……」
後に、公爵閣下は妻にぽそりと語ったらしい。
ロクサーヌの心臓がうるさいほどに激しく鼓動を打ち、どくどくと血液の流れる音が聞こえるようだ。シリル自身を穿たれた場所からは、後から後から快楽が立ち昇り、ロクサーヌの頭をどんどん蕩かしていく。
「あ、シリル様……」
ロクサーヌに呼ばれて、シリルは蕩け切った笑みを返す。ロクサーヌの身体を抱き起こして唇を舐め、キスをして舌を差し込む。腰を揺すりながら舌を絡め、吸われると、身体の芯から幸福感が湧き上がり、ひくひくと奥のほうがわなないてしまう。
「あ……ロクサーヌ、気持ちいいんだね?」
きゅ、と乳首を抓られて、またロクサーヌの中が震えた。シリルが恍惚とした表情で吐息を漏らし、ロクサーヌの身体を抱き締める。揺れる乳房に舌を這わせ、甘く噛んで肌を吸い、赤い花を咲かせる。
ちり、という痛みが走るたびにロクサーヌはぴくりと身体を跳ねて、内を満たすシリルを締め付ける。
堪らずに顎を跳ね上げ、頭を仰け反らせてしまう。
「ん、はぁ……あっ、シリル、さまぁっ!」
「あ、っロクサーヌ、また、こんなに締めたら、出ちゃうよ……」
うわ言のように自分を呼ぶロクサーヌを強く揺すり、シリルは息を荒げた。
早くロクサーヌを手に入れたかった。ロクサーヌに目を付けそうなものに手を回し、どうにか遠ざけてきた。なのに、彼女がどこからか伝手を辿って見合いをするのだと聞いて、慌てて戻ってきたのだ。
けれど、これでやっと……。
「シリルさま、お、おかしく、なってしま……あんっ、おく、おくが……っ」
「ロクサーヌ、おかしくなって? ねえ、このまま、僕に溺れてよ」
突き上げて奥を抉るシリルの楔に、ロクサーヌは身を悶えさせる。脳髄を焼くような快楽に、精神までやられそうだ。
「僕はもう、ロクサーヌに溺れてるよ。だから、ロクサーヌも僕に溺れて」
「あ、ああ……シリル、さまっ!」
「ねえ、ロクサーヌ。ロクサーヌは、もう全部、僕のものでしょう?」
「あ、ひ……っ、シリルさ……あ、だめぇっ」
ぐちゅぐちゅと音を立てて掻き回されて、ロクサーヌの目蓋の裏にチカチカと光がまたたき始める。
「ここだって、こんなにぴったりじゃないか。ロクサーヌが僕をこんなに締め付けて、おいしいって食べてくれてるよ」
「うぁ、あ、ああっ!」
「僕も、ロクサーヌの中にいると、とても気持ちいいんだ」
「ああん、や、あっ、そこ、だめぇっ!」
「ねえ、ロクサーヌ。だから僕に溺れて」
再び長椅子に横たえられて、シリルがガツガツと突き上げる。
ロクサーヌ、ロクサーヌと呼びながら、大きく腰をぶつけるように、ロクサーヌの内襞を擦り上げる。
「ロクサーヌが早く溺れてくれるよう、僕でいっぱいにしてあげるから……あ、っ、ロクサーヌ……っ、は」
「あ、や、あああっ、シリル、さ……ああっ!」
大きく跳ねるように痙攣するロクサーヌにしっかりと腰を押し付けて、シリルは奥深いところへ向けて熱を迸らせた。
どくどくと脈打つシリルの熱い楔を、ロクサーヌがしっかりと抱き締める……まるで、余さず搾り取ろうとでもするように。
「は……ロクサーヌ……」
汗で滑る身体をぎゅうと抱き締めて、シリルはロクサーヌにキスをする。額にいくつもできた汗の筋を指先でゆっくりと拭う。
ぼんやり見つめ返すロクサーヌに、うっとりと笑い返す。
「ロクサーヌ……きれいだ」
「あ……」
シリルはぐちゅりと音を立てて肉茎を引き抜いた。ロクサーヌの蜜口から白く濁った粘液がくぷくぷと溢れ出す。
その淫靡な眺めに、またシリルの背をぞくぞくとした欲望が這い上がる。
「ロクサーヌから、僕の出したものが出てきたよ」
「シリル、様……」
「こんなに溢れちゃったら、また入れてあげないと。ロクサーヌの中を、僕でいっぱいにしなきゃ……」
やや上擦った声で呟いて、シリルはどうにかロクサーヌを抱き上げる。あまり身長も体格も変わらないけれど、少しふらつきながらもしっかりと抱き上げたのは、やはりシリルも男だということなのか。
今度は奥の寝室へと連れ込まれ、ベッドに横たえられた。長椅子とは違うマットの柔らかさと広さに、ロクサーヌはどことなく不安になる。
「ロクサーヌ、さあ、また始めようか」
「あ、え……シリル様、また、って……」
覆い被さるように、シリルがのし掛かった。
身体中が怠い。なのに、脚を抱えられ、熱をあてがわれると、それだけでロクサーヌの腹の中が疼き出してしまう。
もう、自分はシリルのこれがなければ生きていけないんじゃないだろうか。
「あ、あっ……」
切っ先で蜜口を擽りながら、シリルは恍惚と溜息を漏らす。はあはあと荒い息を吐いて、ロクサーヌに蕩けるような笑みを向ける。
「ロクサーヌ、入れてほしい?」
「あ、シリル様……そんな……」
「欲しい? ロクサーヌ、僕のこれ、欲しい?」
羞恥で真っ赤に染まった顔を背けたまま、ロクサーヌは手で顔を覆う。なのに、ゆるゆると撫で回すシリルの楔を追いかけて、ロクサーヌの腰が動いてしまう。
「ねえ、ロクサーヌ、正直になって。僕が、欲しくないの?」
「あ、シリル様、でも……」
「僕は欲しいよ。ロクサーヌに入りたくて堪らない。ロクサーヌは?」
くちゅっと音を立てて擽られ、僅かに入り口を抉られて、電流が背を走る。
「……っ、んっ……シリル様……欲し、い、です」
「ちゃんと、はっきり言って、ロクサーヌ」
途切れ途切れに、掠れた声で囁くように口に出すのでは、シリルは入れてくれなかった。入り口をそっと擦るだけで、入れてくれない。
「それじゃよくわからないよ、ロクサーヌ」
「あ、あっ、そんな……」
「ロクサーヌ……いいこ。だからちゃんと言ってごらん?」
「う……あ、欲しい、です……シリル様が、欲しい……」
今度こそ、ずぶり、といっきに突き立てられて、ロクサーヌはひゅっと息を飲んだ。頭の中の全部がシリルで塗り込められて、他のことが考えられなくなってしまう。ぐちゅりぐちゅりとゆっくり大きく抽送を繰り返しながら、シリルが陶然と溜息を吐く。
「あ、あ、あ……」
はくはくと魚のように口を開け閉めして、ロクサーヌはひゅうひゅうと喉を鳴らした。うまく息ができない。心臓の音ばかりが頭に響いて、シリルが与える快楽に身体中が引き攣って、うまく息が吸えない。
至福といった表情のシリルが、ロクサーヌの中をひときわ大きく掻き混ぜる。
「ひ、あ……シリル様……っ」
「ああ、ロクサーヌ、気持ちいいね……もう、ずっとこのままで居たいくらいだよ。ロクサーヌは?」
「あ、あぅ……は、や、あ、だめ……だめ、いっちゃ……シリル、さま……」
「ふふ、またいっちゃうの? ロクサーヌは敏感なんだね。それとも淫乱なのかな。でも、他に目を向けたりしたらだめだよ。ロクサーヌは僕だけのロクサーヌなんだから……ロクサーヌが欲しいなら欲しいだけ、僕が気持ちよくしてあげるからね」
搔きまわし、小突き、抉り……ゆるゆる動かしながら、乳首を齧り花芽を摘むと、ロクサーヌはたちまちのたうつように震えて達してしまった。シリルも背を震わせて、また熱い白濁を放つ。
身体の奥が熱い。
熱くて熱くて堪らないのに、シリルに穿たれて熱を受けると、ほんの少しだけそれが和らいで……。
身体の上にシリルの重みを感じて、ロクサーヌはとろとろと目を閉じる。
* * *
身体がぎしりと軋むようだ。
普段、それなりに鍛えているし、あれだけ森の中を動き回っているのに、なぜこんなに身体が軋むのだろうと目を開けて、ロクサーヌはぎくりとする。
「ひっ!」
ふかふかのベッドに横たわり、しっかりとシリルに抱き込まれたまま、脚も絡めあったまま寝ていたのだ。
もちろん全裸で。
慌てて起き上がろうとしたが、シリルの腕は、がっちりとロクサーヌの腰を掴んで放さない。
「ん……ロクサーヌ、おはよう?」
まだ少し寝ぼけているのか、ふんわりと微笑んだシリルが薄く目を開ける。
「あ、あの、シリル様、私……」
「ロクサーヌ、まだここでこうしてて?」
抱き締める腕に力がこもる。
昨日、シリルに薬を入れられたお茶を飲んで、それからずっと、あんなに乱れて、ヤリ通して……ふたりとも疲れて気を失うように寝てしまうまで、ひたすら貪っていたことを思い出す。
逃げ出したい。
ロクサーヌは、すぐさまこの場から逃げ出したいという衝動に襲われた。
何と言っても、シリルは主たる公爵家の三男で、まだ15の子供なのだ。成人済のロクサーヌが責任を問われるのは必至だろう。
お役御免で済めばいいが、家族にまで責任が及んでしまったら……いや、及ばないわけがない。成人してもまだ未婚の女なのだ、父の責任問題でもあるだろう。
「し、シリル様、私……」
「だめだよ。ロクサーヌは僕とずっと一緒なんだから、このままここにいて」
「けれど、シリル様……」
そこに、ノックの音が響く。すぐにかちゃりと扉が開き、入ってきたのはシリル付きの侍女だった。
「ひっ」
「シリル様、朝食はいかがいたしますか?」
「部屋で食べるよ。ねえ、湯あみの用意はできてる?」
「はい、用意してございます。ロクサーヌ様の着替えも用意いたしましたが、ご確認なさいますか?」
「ん、君たちに任せるよ。それと、湯浴みはふたりだけでするからね」
「はい」
「父上は?」
「旦那様は、朝食をお召し上がりになっております」
「じゃあ、後で部屋に行くって伝えておいて」
「はい」
ぱたりと扉が閉じて、侍女は出て行った。
「シリル様、その……んっ」
言いかけたところをキスで塞がれる。引こうとすると、頭の後ろに腕を回してしっかりと押さえられ、舌も差し込まれた。
「ロクサーヌ、僕がきれいにしてあげる。さ、お風呂に行こう」
裸のまま、手を引かれて立ち上がる。
浴室に連れ込まれ、シリル自らの手で洗われて、いったい昨日から何が起こっているのか、ロクサーヌは呆然としたままだった。
もう、さっさと逃げ出したくて堪らないのに、シリルのとろとろに蕩けきった微笑みがそれを許さない。
侍女の手によって飾られて、シリルにまるで餌付けでもされているかのように朝食を食べさせられ、手を引かれるままに公爵の執務室へと連れて行かれ……。
「父上、ロクサーヌは僕の妻になります」
公爵は瞠目し……けれど思ったよりも驚いてはいないように見えて、ロクサーヌはさらに混乱した。
公爵は、どことなく諦めたかのような溜息を吐く。
「あ、あの、シリル様、そんな、お戯れは……」
「シリルよ、お前はまだ成人前だが。それにロクサーヌの意思は確認したのか? 彼女も驚いているようにも見えるのだが」
「大丈夫です、父上。ロクサーヌとは合意の上ですから」
「へ? シ、シリル様、その……?」
「そうだよね、ロクサーヌ? 僕が欲しいと言ったよね?」
「え、あ、その……」
ぐるぐると視線を彷徨わせながら、たしかに、そんなことを言った気がして、ロクサーヌは困り果ててしまう。そもそもあんな、コトの最中に口走ったことなのにいいのだろうか。なんだかもう頭の中がぐだぐだになって、媚薬とかなんだとかで、もう……。
シリルの手に力がこもる。ハッとシリルに注意を戻すと、「ロクサーヌ?」とほんのりと目を潤ませたシリルが、小さく首を傾げる。
「ロクサーヌは、もう僕のものだよね? そう、約束したよね?」
「う、あ……はい、シリル様」
たちまち満面に笑みを浮かべ、シリルが抱き付いた。
「あの子がロクサーヌを見て、運命の女だと言い出した時、これはまずいなと思ったんだよ。公爵家にはたまにいるんだ……」
後に、公爵閣下は妻にぽそりと語ったらしい。
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