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歌う竜の町
チンピラと女騎士
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エルヴィラにそっとキスを落とすと、今度は蕩けきった締まりのない顔で笑い、ぎゅうとしがみつく。
「名乗りを挙げている時とは大違いだ」
「だって」
恥ずかしいと思うのか、しがみつく腕にぐいぐいと力がこもった。
「エルヴィラ、ちょっと苦しい」
そう囁かれて慌ててすぐ腕を緩めて見上げるエルヴィラにくつくつと笑う。キスをしてゆっくり押し倒し、「ん、ふ」と声を漏らすエルヴィラの乳房の先を吸う。
「は、離れちゃ……」
「いつまでもくっついていたいのはわかるんだけどね」
ゆるゆると腰を動かされて身を捩るエルヴィラのあちこちを吸いながら、は、とミーケルは小さく吐息を漏らす。
「ん、あっ」
「くっついてるだけじゃ、いつまでたっても物足りないだろう?」
奥を抉られて、エルヴィラがぎゅうぎゅうと締め付ける。
「う、や……っ」
「っく……君、しめ、すぎ」
「そ……な、だ……って」
いいところに当たっているのか、顔を真っ赤に染めて目を潤ませたエルヴィラに見上げられて、ミーケルはこりゃあまりもたないかも、と思ってしまう。
普段はあんなに雑なのに、どうしてこういう時だけやけにかわいくなるのだ。
しかもなんだこの締め付けは。
「っ、君ね、そんなとこまで馬鹿力なんだから……少し、加減を、覚えなよ」
「っ、う、かげ、ん……って、しらな……やぁ、っ」
容赦なく突かれ、あ、と声をあげてエルヴィラの中がびくびくと震えだした。
頂が近いことを感じ、ミーケルは、きつく蠢く隘路の奥を穿ち、腰を叩きつける。
汗の雫をぽたぽたと垂らしつつ、半開きになったエルヴィラの唇を啄ばみ頬を撫でる。
「あ、ミケ……」
「ほら、いいよ。いって。エルヴィラ」
「……っあ、ああっ!」
ミーケルに囁かれ、エルヴィラは喉を反らし、大きく痙攣しながら達した。
「っ、く」
すぐにミーケルも腰を震わせ、エルヴィラの腹の上に吐き出した。そのまま倒れ込むように抱き締め、荒い息のまま唇を塞ぐ。
どくどくと激しく鼓動を打つ心臓と呼吸が鎮まるまでじっと抱き締めたまま口を吸い、ゆっくりと舌を絡める。
「……動くと、気持ちよすぎて、すぐ終わっちゃうから、やだ」
むうっと眉根を寄せたエルヴィラが、真剣な顔でそんなことを言い出して、ミーケルはぶはっと噴き出した。
「それ、僕に生殺しのまま耐えろって言ってるの?」
「だって……」
「いいじゃないか。そんなにくっつきたいなら、ほら、ずっとくっついてなよ」
「う……」
顰め面を作ったままぺたりと張り付くエルヴィラを抱き締めて、これはこれで生殺しかもしれないなと、ミーケルは考えた。
* * *
翌日、遅い時間に朝食兼昼食を済ませ、いつものように人の集まる市場広場の片隅に陣取った。ぽろりぽろりと軽くリュートを鳴らして調律をして、今日の演奏を始めようとする。
と、そこへ人相の悪い男が現れた。
ひとりではなく、数人ほどの集団のようだ。
「なあ、吟遊詩人のミーケルってあんただろう? ちょっと顔貸せよ。な?」
リーダーらしき男はにやにやと下卑た笑いを浮かべていて、どう見ても堅気ではない。ミーケルが顔を上げるよりも早く、ぴきん、と顔を引き攣らせ眉を顰めたエルヴィラが一歩前へと出た。
「貴様ら、何者だ。いったいどういう用件で現れた」
体格と数で勝ると思ってか、男はエルヴィラを鼻で笑い飛ばす。
「なんだ、女の護衛に守られてるのか?」
男たちがどっと笑う。
どこからどう見ても、ミーケルとエルヴィラを嘲っている。
「もしかして、姉ちゃんがこいつの代わりに来てくれるか? ん?」
「構わんぞ。それでミケに手を出さないというのであればな」
すうっと目を細めるエルヴィラに、「そりゃあいい」と男たちはまた笑い声を上げた。
「ええと、僕に用件のはずなのに、どうして僕抜きで話を進めるのかな?」
は、と溜息をひとつ吐いて、リュートを片手にミーケルが立ち上がる。
「顔を貸すのは構わないけど、僕の護衛をほっとくわけにいかないんだよ。寂しがるからね。だから、一緒でもいいかな?」
「構わねえよ。こっちに来な」
にっこり笑うミーケルとエルヴィラを男たちが囲み、追い立てるように裏通りのほうへと連れ出した。
「――つまり、貴様らは私とミケをボコボコにするために現れたと言うのだな」
八人か、と自分とミーケルを囲む男たちの数と立ち居振る舞いを確認しながら、エルヴィラは頷いた。
「いやいや、まあ、そこの兄さんには少し痛い目を見てもらう予定だが……あんたには、そうだな、女ってことでいい思いでもしてもらおうか」
気の利いた冗談でも言ったかのようにげらげらと再度笑い出す男たちに、エルヴィラはふんと鼻を鳴らす。
「それが貴様らの用件ならば、相手をするのは、このエルヴィラ・カーリスの仕事だ。
戦神の猛き御名と天空輝ける太陽、詩人のリュートにかけて、貴様らごときの汚い手など、指の一本たりともミケに触れさせはせん」
平然と言い切るエルヴィラを、男たちはにやにや笑いのまま眺めた。相手にはしていない、というあからさまな態度でだ。
ミーケルは苦笑混じりに肩を竦める。
「なんか、立ち位置が逆な気がするんだけど」
「何がだ。私はミケの護衛騎士なんだぞ。これが正しい立ち位置だ」
ミーケルを背に庇う位置に進み出て、エルヴィラはパン、と手を打ち合わせ、ぐっと拳を握りしめた。
男たちは、女ひとりで何をするつもりかと、今度は失笑を漏らす。
「──仕方ない。姉ちゃんにはちょっとだけ痛い目見てもらってからだな」
「チンピラ風情が、私を女だと侮るか。ならばその身に教訓を叩き込んでやろうではないか。ひとを見た目で判断することの愚かさをな!」
くくく、と低い笑い声を上げ始めるエルヴィラに、全員が訝しむような顔を向けた。
「名乗りを挙げている時とは大違いだ」
「だって」
恥ずかしいと思うのか、しがみつく腕にぐいぐいと力がこもった。
「エルヴィラ、ちょっと苦しい」
そう囁かれて慌ててすぐ腕を緩めて見上げるエルヴィラにくつくつと笑う。キスをしてゆっくり押し倒し、「ん、ふ」と声を漏らすエルヴィラの乳房の先を吸う。
「は、離れちゃ……」
「いつまでもくっついていたいのはわかるんだけどね」
ゆるゆると腰を動かされて身を捩るエルヴィラのあちこちを吸いながら、は、とミーケルは小さく吐息を漏らす。
「ん、あっ」
「くっついてるだけじゃ、いつまでたっても物足りないだろう?」
奥を抉られて、エルヴィラがぎゅうぎゅうと締め付ける。
「う、や……っ」
「っく……君、しめ、すぎ」
「そ……な、だ……って」
いいところに当たっているのか、顔を真っ赤に染めて目を潤ませたエルヴィラに見上げられて、ミーケルはこりゃあまりもたないかも、と思ってしまう。
普段はあんなに雑なのに、どうしてこういう時だけやけにかわいくなるのだ。
しかもなんだこの締め付けは。
「っ、君ね、そんなとこまで馬鹿力なんだから……少し、加減を、覚えなよ」
「っ、う、かげ、ん……って、しらな……やぁ、っ」
容赦なく突かれ、あ、と声をあげてエルヴィラの中がびくびくと震えだした。
頂が近いことを感じ、ミーケルは、きつく蠢く隘路の奥を穿ち、腰を叩きつける。
汗の雫をぽたぽたと垂らしつつ、半開きになったエルヴィラの唇を啄ばみ頬を撫でる。
「あ、ミケ……」
「ほら、いいよ。いって。エルヴィラ」
「……っあ、ああっ!」
ミーケルに囁かれ、エルヴィラは喉を反らし、大きく痙攣しながら達した。
「っ、く」
すぐにミーケルも腰を震わせ、エルヴィラの腹の上に吐き出した。そのまま倒れ込むように抱き締め、荒い息のまま唇を塞ぐ。
どくどくと激しく鼓動を打つ心臓と呼吸が鎮まるまでじっと抱き締めたまま口を吸い、ゆっくりと舌を絡める。
「……動くと、気持ちよすぎて、すぐ終わっちゃうから、やだ」
むうっと眉根を寄せたエルヴィラが、真剣な顔でそんなことを言い出して、ミーケルはぶはっと噴き出した。
「それ、僕に生殺しのまま耐えろって言ってるの?」
「だって……」
「いいじゃないか。そんなにくっつきたいなら、ほら、ずっとくっついてなよ」
「う……」
顰め面を作ったままぺたりと張り付くエルヴィラを抱き締めて、これはこれで生殺しかもしれないなと、ミーケルは考えた。
* * *
翌日、遅い時間に朝食兼昼食を済ませ、いつものように人の集まる市場広場の片隅に陣取った。ぽろりぽろりと軽くリュートを鳴らして調律をして、今日の演奏を始めようとする。
と、そこへ人相の悪い男が現れた。
ひとりではなく、数人ほどの集団のようだ。
「なあ、吟遊詩人のミーケルってあんただろう? ちょっと顔貸せよ。な?」
リーダーらしき男はにやにやと下卑た笑いを浮かべていて、どう見ても堅気ではない。ミーケルが顔を上げるよりも早く、ぴきん、と顔を引き攣らせ眉を顰めたエルヴィラが一歩前へと出た。
「貴様ら、何者だ。いったいどういう用件で現れた」
体格と数で勝ると思ってか、男はエルヴィラを鼻で笑い飛ばす。
「なんだ、女の護衛に守られてるのか?」
男たちがどっと笑う。
どこからどう見ても、ミーケルとエルヴィラを嘲っている。
「もしかして、姉ちゃんがこいつの代わりに来てくれるか? ん?」
「構わんぞ。それでミケに手を出さないというのであればな」
すうっと目を細めるエルヴィラに、「そりゃあいい」と男たちはまた笑い声を上げた。
「ええと、僕に用件のはずなのに、どうして僕抜きで話を進めるのかな?」
は、と溜息をひとつ吐いて、リュートを片手にミーケルが立ち上がる。
「顔を貸すのは構わないけど、僕の護衛をほっとくわけにいかないんだよ。寂しがるからね。だから、一緒でもいいかな?」
「構わねえよ。こっちに来な」
にっこり笑うミーケルとエルヴィラを男たちが囲み、追い立てるように裏通りのほうへと連れ出した。
「――つまり、貴様らは私とミケをボコボコにするために現れたと言うのだな」
八人か、と自分とミーケルを囲む男たちの数と立ち居振る舞いを確認しながら、エルヴィラは頷いた。
「いやいや、まあ、そこの兄さんには少し痛い目を見てもらう予定だが……あんたには、そうだな、女ってことでいい思いでもしてもらおうか」
気の利いた冗談でも言ったかのようにげらげらと再度笑い出す男たちに、エルヴィラはふんと鼻を鳴らす。
「それが貴様らの用件ならば、相手をするのは、このエルヴィラ・カーリスの仕事だ。
戦神の猛き御名と天空輝ける太陽、詩人のリュートにかけて、貴様らごときの汚い手など、指の一本たりともミケに触れさせはせん」
平然と言い切るエルヴィラを、男たちはにやにや笑いのまま眺めた。相手にはしていない、というあからさまな態度でだ。
ミーケルは苦笑混じりに肩を竦める。
「なんか、立ち位置が逆な気がするんだけど」
「何がだ。私はミケの護衛騎士なんだぞ。これが正しい立ち位置だ」
ミーケルを背に庇う位置に進み出て、エルヴィラはパン、と手を打ち合わせ、ぐっと拳を握りしめた。
男たちは、女ひとりで何をするつもりかと、今度は失笑を漏らす。
「──仕方ない。姉ちゃんにはちょっとだけ痛い目見てもらってからだな」
「チンピラ風情が、私を女だと侮るか。ならばその身に教訓を叩き込んでやろうではないか。ひとを見た目で判断することの愚かさをな!」
くくく、と低い笑い声を上げ始めるエルヴィラに、全員が訝しむような顔を向けた。
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