クソイケメンな吟遊詩人にはじめてを奪われて無職になったので、全力で追いかけて責任取らせます

ぎんげつ

文字の大きさ
89 / 152
歌う竜の町

チンピラと女騎士

しおりを挟む
 エルヴィラにそっとキスを落とすと、今度は蕩けきった締まりのない顔で笑い、ぎゅうとしがみつく。

「名乗りを挙げている時とは大違いだ」
「だって」

 恥ずかしいと思うのか、しがみつく腕にぐいぐいと力がこもった。

「エルヴィラ、ちょっと苦しい」

 そう囁かれて慌ててすぐ腕を緩めて見上げるエルヴィラにくつくつと笑う。キスをしてゆっくり押し倒し、「ん、ふ」と声を漏らすエルヴィラの乳房の先を吸う。

「は、離れちゃ……」
「いつまでもくっついていたいのはわかるんだけどね」

 ゆるゆると腰を動かされて身を捩るエルヴィラのあちこちを吸いながら、は、とミーケルは小さく吐息を漏らす。

「ん、あっ」
「くっついてるだけじゃ、いつまでたっても物足りないだろう?」

 奥を抉られて、エルヴィラがぎゅうぎゅうと締め付ける。

「う、や……っ」
「っく……君、しめ、すぎ」
「そ……な、だ……って」

 いいところに当たっているのか、顔を真っ赤に染めて目を潤ませたエルヴィラに見上げられて、ミーケルはこりゃあまりもたないかも、と思ってしまう。
 普段はあんなに雑なのに、どうしてこういう時だけやけにかわいくなるのだ。
 しかもなんだこの締め付けは。

「っ、君ね、そんなとこまで馬鹿力なんだから……少し、加減を、覚えなよ」
「っ、う、かげ、ん……って、しらな……やぁ、っ」

 容赦なく突かれ、あ、と声をあげてエルヴィラの中がびくびくと震えだした。
 いただきが近いことを感じ、ミーケルは、きつく蠢く隘路の奥を穿ち、腰を叩きつける。
 汗の雫をぽたぽたと垂らしつつ、半開きになったエルヴィラの唇を啄ばみ頬を撫でる。

「あ、ミケ……」
「ほら、いいよ。いって。エルヴィラ」
「……っあ、ああっ!」

 ミーケルに囁かれ、エルヴィラは喉を反らし、大きく痙攣しながら達した。

「っ、く」

 すぐにミーケルも腰を震わせ、エルヴィラの腹の上に吐き出した。そのまま倒れ込むように抱き締め、荒い息のまま唇を塞ぐ。
 どくどくと激しく鼓動を打つ心臓と呼吸が鎮まるまでじっと抱き締めたまま口を吸い、ゆっくりと舌を絡める。

「……動くと、気持ちよすぎて、すぐ終わっちゃうから、やだ」

 むうっと眉根を寄せたエルヴィラが、真剣な顔でそんなことを言い出して、ミーケルはぶはっと噴き出した。

「それ、僕に生殺しのまま耐えろって言ってるの?」
「だって……」
「いいじゃないか。そんなにくっつきたいなら、ほら、ずっとくっついてなよ」
「う……」

 顰め面を作ったままぺたりと張り付くエルヴィラを抱き締めて、これはこれで生殺しかもしれないなと、ミーケルは考えた。


 * * *


 翌日、遅い時間に朝食兼昼食を済ませ、いつものように人の集まる市場広場の片隅に陣取った。ぽろりぽろりと軽くリュートを鳴らして調律をして、今日の演奏を始めようとする。

 と、そこへ人相の悪い男が現れた。
 ひとりではなく、数人ほどの集団のようだ。

「なあ、吟遊詩人のミーケルってあんただろう? ちょっと顔貸せよ。な?」

 リーダーらしき男はにやにやと下卑た笑いを浮かべていて、どう見ても堅気ではない。ミーケルが顔を上げるよりも早く、ぴきん、と顔を引き攣らせ眉を顰めたエルヴィラが一歩前へと出た。

「貴様ら、何者だ。いったいどういう用件で現れた」

 体格と数で勝ると思ってか、男はエルヴィラを鼻で笑い飛ばす。

「なんだ、女の護衛に守られてるのか?」

 男たちがどっと笑う。
 どこからどう見ても、ミーケルとエルヴィラを嘲っている。

「もしかして、姉ちゃんがこいつの代わりに来てくれるか? ん?」
「構わんぞ。それでミケに手を出さないというのであればな」

 すうっと目を細めるエルヴィラに、「そりゃあいい」と男たちはまた笑い声を上げた。

「ええと、僕に用件のはずなのに、どうして僕抜きで話を進めるのかな?」

 は、と溜息をひとつ吐いて、リュートを片手にミーケルが立ち上がる。

「顔を貸すのは構わないけど、僕の護衛をほっとくわけにいかないんだよ。寂しがるからね。だから、一緒でもいいかな?」
「構わねえよ。こっちに来な」

 にっこり笑うミーケルとエルヴィラを男たちが囲み、追い立てるように裏通りのほうへと連れ出した。



「――つまり、貴様らは私とミケをボコボコにするために現れたと言うのだな」

 八人か、と自分とミーケルを囲む男たちの数と立ち居振る舞いを確認しながら、エルヴィラは頷いた。

「いやいや、まあ、そこの兄さんには少し痛い目を見てもらう予定だが……あんたには、そうだな、女ってことでいい思いでもしてもらおうか」

 気の利いた冗談でも言ったかのようにげらげらと再度笑い出す男たちに、エルヴィラはふんと鼻を鳴らす。

「それが貴様らの用件ならば、相手をするのは、このエルヴィラ・カーリスの仕事だ。
 戦神の猛き御名と天空輝ける太陽、詩人のリュートにかけて、貴様らごときの汚い手など、指の一本たりともミケに触れさせはせん」

 平然と言い切るエルヴィラを、男たちはにやにや笑いのまま眺めた。相手にはしていない、というあからさまな態度でだ。
 ミーケルは苦笑混じりに肩を竦める。

「なんか、立ち位置が逆な気がするんだけど」
「何がだ。私はミケの護衛騎士なんだぞ。これが正しい立ち位置だ」

 ミーケルを背に庇う位置に進み出て、エルヴィラはパン、と手を打ち合わせ、ぐっと拳を握りしめた。
 男たちは、女ひとりで何をするつもりかと、今度は失笑を漏らす。

「──仕方ない。姉ちゃんにはちょっとだけ痛い目見てもらってからだな」
「チンピラ風情が、私を女だと侮るか。ならばその身に教訓を叩き込んでやろうではないか。ひとを見た目で判断することの愚かさをな!」

 くくく、と低い笑い声を上げ始めるエルヴィラに、全員が訝しむような顔を向けた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...