48 / 48
第六章 本音
48.僕の本音(最終話)
しおりを挟む
僕は再び森の中の小さな小屋でシャンと二人きりのスローライフを満喫していた。
やることと言えば相変わらず、トリュフや薪を探して森を歩いたり、畑仕事をしたり、自分たちの食べるものを作ることぐらいだ。
台所のカレンダーには数日後に再び満月が近づいていることが記されている。
お腹の傷もすっかり治った。僕はある決意をしていた。
満月の一日前、シャンはこそこそとカバンに荷物を詰めていた。
前回と同様に一晩どこかへ出かけようと思っていたのだろう。
「ねえ、シャン……」
畑で収穫した野菜を持って裏口からそっと入って来た僕に気付いていなかったシャンはビクッと肩を震わせて振り返った。
「タクヤ……」
「明日の夜、またどこかへ行くつもりなんだね?」
きまり悪そうに彼が目を泳がせた。
「俺だって好きでそうするわけじゃないんだ。……でも、一人にならないといけない」
シャンは満月を見て狼化して僕を傷つけたくないのだ。そんな優しい彼を責めるつもりなんてない。
僕は意を決し、彼に本音を言うことにした。
「シャン、僕はね……君が狼になってしまう満月の夜を密かに楽しみにしているんだ……」
狂暴になったシャンに乱暴に抱かれるのが気持ちよくて好きだなんて、こんな恥ずかしいことを面と向かって言ってしまうなんて僕はどうかしている。
顔がかあっと熱くなった。火が出そうだ。
シャンは目を丸くして僕を見ている。
もう穴があったら入りたい。
「タクヤは……狼になった俺が怖くないの?」
こうなったら勢いだ、と僕は心の中に隠していた気持ちを全て吐き出してしまうことにした。今更取り繕ったってどうにもならないし。
「怖くないって言ったら嘘だけど、でも普段の優しいシャンと同じくらい狼になったシャンも好きなんだ。シャンの全てが好きなんだ。だから本当は普段からもっとちゃんと、シャンとセックスしたいんだ」
変だとか気持ち悪いとか思われるだろうか。そんな不安から言えなかった言葉を僕は初めて言えた。
頬を染めて驚いていたシャンがニコッと笑った。
「実は俺も、同じ気持ちだよ……。嫌われるのが怖くて言えなかったけど、狼化してタクヤを襲うように抱くのも好きなんだ」
シャンの瞳が狼化したときみたいにぎらっと光って、僕の胸はキュンとときめいた。
おわり
やることと言えば相変わらず、トリュフや薪を探して森を歩いたり、畑仕事をしたり、自分たちの食べるものを作ることぐらいだ。
台所のカレンダーには数日後に再び満月が近づいていることが記されている。
お腹の傷もすっかり治った。僕はある決意をしていた。
満月の一日前、シャンはこそこそとカバンに荷物を詰めていた。
前回と同様に一晩どこかへ出かけようと思っていたのだろう。
「ねえ、シャン……」
畑で収穫した野菜を持って裏口からそっと入って来た僕に気付いていなかったシャンはビクッと肩を震わせて振り返った。
「タクヤ……」
「明日の夜、またどこかへ行くつもりなんだね?」
きまり悪そうに彼が目を泳がせた。
「俺だって好きでそうするわけじゃないんだ。……でも、一人にならないといけない」
シャンは満月を見て狼化して僕を傷つけたくないのだ。そんな優しい彼を責めるつもりなんてない。
僕は意を決し、彼に本音を言うことにした。
「シャン、僕はね……君が狼になってしまう満月の夜を密かに楽しみにしているんだ……」
狂暴になったシャンに乱暴に抱かれるのが気持ちよくて好きだなんて、こんな恥ずかしいことを面と向かって言ってしまうなんて僕はどうかしている。
顔がかあっと熱くなった。火が出そうだ。
シャンは目を丸くして僕を見ている。
もう穴があったら入りたい。
「タクヤは……狼になった俺が怖くないの?」
こうなったら勢いだ、と僕は心の中に隠していた気持ちを全て吐き出してしまうことにした。今更取り繕ったってどうにもならないし。
「怖くないって言ったら嘘だけど、でも普段の優しいシャンと同じくらい狼になったシャンも好きなんだ。シャンの全てが好きなんだ。だから本当は普段からもっとちゃんと、シャンとセックスしたいんだ」
変だとか気持ち悪いとか思われるだろうか。そんな不安から言えなかった言葉を僕は初めて言えた。
頬を染めて驚いていたシャンがニコッと笑った。
「実は俺も、同じ気持ちだよ……。嫌われるのが怖くて言えなかったけど、狼化してタクヤを襲うように抱くのも好きなんだ」
シャンの瞳が狼化したときみたいにぎらっと光って、僕の胸はキュンとときめいた。
おわり
82
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
ルティとトトの動画を作りました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
本編、両親にごあいさつ編、完結しました!
おまけのお話を、時々更新しています。
本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる