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第三章 シエラの能力と呪い

17.レベッカの正体

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「呪いのせいで俺の人生は散々だ。昔いた孤児院じゃ貞操帯を付けさせられたり、悪魔の呪いを見せろって大人たちに強引脱がされたり、嫌な思いの連続だった」

 以前、脱衣所を覗いたことがバレた時に彼がやたらムキになった理由がわかった。

 私は彼をどうにか励ましたいのに、言葉が見つからない。



 その時、コンコンっと小屋の入口を叩く音がした。こんな夜更けに誰だろうか。

 返事をしないでいるともう一度ノックされるので、シエラが小屋の扉に近づいた。

「どなたですか」

「わしじゃ。薬を持ってきたぞ」

 しわがれた声がした。
 ドアを開けると顔に深いしわとイボがある背の低い老婆が立っていた。

「レベッカさん、わざわざすみません。明日学校の帰りに取りに寄ろうと思っていたのですが」

 レベッカさんというと、昼間の若い魔女と同じ名前ではないか。

「なに、満月の集会で近くまで来たでのう、ついでじゃ」

 袋を手渡した老婆は不気味に濁った瞳で私をじっと見て、

「今までの性欲抑制剤の効き目が弱くなるはずじゃ。一緒にいるだけでムラムラすると言うからどんな娘さんかと思えば」

 とニヤニヤした。

「レベッカさん、アイネの前で言わなくてもっ!」

 とシエラは頬を赤くして慌てたが、レベッカさんは続けた。

「若い巨乳魔女の姿のわしにちっとも興奮しないと思ったら、お前さんはこういう清楚系が好みだったんじゃな」

「ああ、もう……」

 シエラは恥ずかしそうに顔を背けた。

 そういうことだったのか。私は昼間の彼女の件が杞憂だったことに安堵した。



 レベッカさんが帰った後、

「ねえ、シエラ。あなたの呪いの件は私が必ずなんとかするから、どうか両親に復讐するなんて気持ちは持たないで」

 とお願いした。

 シエラは驚いていたが、すぐに肩をすくめた。

「はは、必ず何とかするってどうやって? 俺の呪いはどうやら特殊らしくて、この辺りで悪魔の呪いに一番詳しいレベッカさんですら解くことが出来ないんだ。まあ、さっきみたいに性欲が暴走しかけたら発散するのを手伝ってもらえるのは助かるけどね」

「ええ、とりあえずはその役割を引き受けるわ」

 でも呪いを解いて彼を根本から楽にしてあげたい、と私は強く決意していた。
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