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9.夢の中
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眠りが浅かった。
目を閉じているのに、意識だけが浮いたまま、現実と夢の境目が曖昧になる。
そんな感覚を恒一は久しぶりに味わっていた。
夢の中で、恒一は会議室にいた。
照明は落ちているのに、不思議と暗くはない。
長机の向こうに直が一人で座っていた。
恒一は向かいの椅子に腰を下ろしている。
「葉山」
名前を呼ぶと、直は顔を上げた。
その表情は職場で見るものよりも柔らかい。
「休みの日は、何をしている」
言葉が先に出て、あとから胸の奥がざわついた。
――これは聞く必要のないことだ。
それでも直は少し考えてから答える。
「……特に。家で過ごすことが多いです」
「一人で?」
直の視線がほんの一瞬だけ逃げた。
「……はい」
直の答えを聞いても、胸の奥が静まらなかった。
「違うのか、誰とだ?」
――あ、これは聞いてはいけない。
そう思ったのに、夢の中の恒一は止まらなかった。
「……お前には、その……誰か、いるのか」
直は答えなかった。
ただ、わずかに視線を伏せる。
その沈黙が言葉よりも多くを含んでいる気がして、恒一は続きを口にできなかった。
次の瞬間、強烈な違和感とともに恒一は目を覚ました。
天井。
見慣れた自室。
心臓が早鐘のように鳴っている。
「……最悪だ。……どうしてこんな夢を……」
低く呟いて、顔を覆う。
そもそも、自分はそういう人間ではなかったはずだ。
これまで男に向けてこんな感情を抱いたことなど、一度もない。
「……何を考えてる」
自嘲気味に息を吐く。
夢だ。
だが、夢を見るほどに意識しているという事実は消えない。
恒一は布団から起き上がり、カーテンを開けた。
もう外は明るい。清々しく晴れたいい天気だった。
少しだけ窓を開けると朝の空気が、冷たく流れ込んでくる。
頭が冷え、冴えてくる。
あんな夢を見るなんてどうかしている。
現実でも、直の一挙一動が気になって仕方がない。
「誰と話していた」と聞いてしまい、ひどく後悔したばかりなのに。
結論はひとつしかなかった。
これ以上、直と必要以上に関わってはならない。
それが上司として取るべき正解だ。
――少なくとも、今の自分はそうでなければ困る。
そう言い聞かせながら、恒一は静かに身支度を始めた。
目を閉じているのに、意識だけが浮いたまま、現実と夢の境目が曖昧になる。
そんな感覚を恒一は久しぶりに味わっていた。
夢の中で、恒一は会議室にいた。
照明は落ちているのに、不思議と暗くはない。
長机の向こうに直が一人で座っていた。
恒一は向かいの椅子に腰を下ろしている。
「葉山」
名前を呼ぶと、直は顔を上げた。
その表情は職場で見るものよりも柔らかい。
「休みの日は、何をしている」
言葉が先に出て、あとから胸の奥がざわついた。
――これは聞く必要のないことだ。
それでも直は少し考えてから答える。
「……特に。家で過ごすことが多いです」
「一人で?」
直の視線がほんの一瞬だけ逃げた。
「……はい」
直の答えを聞いても、胸の奥が静まらなかった。
「違うのか、誰とだ?」
――あ、これは聞いてはいけない。
そう思ったのに、夢の中の恒一は止まらなかった。
「……お前には、その……誰か、いるのか」
直は答えなかった。
ただ、わずかに視線を伏せる。
その沈黙が言葉よりも多くを含んでいる気がして、恒一は続きを口にできなかった。
次の瞬間、強烈な違和感とともに恒一は目を覚ました。
天井。
見慣れた自室。
心臓が早鐘のように鳴っている。
「……最悪だ。……どうしてこんな夢を……」
低く呟いて、顔を覆う。
そもそも、自分はそういう人間ではなかったはずだ。
これまで男に向けてこんな感情を抱いたことなど、一度もない。
「……何を考えてる」
自嘲気味に息を吐く。
夢だ。
だが、夢を見るほどに意識しているという事実は消えない。
恒一は布団から起き上がり、カーテンを開けた。
もう外は明るい。清々しく晴れたいい天気だった。
少しだけ窓を開けると朝の空気が、冷たく流れ込んでくる。
頭が冷え、冴えてくる。
あんな夢を見るなんてどうかしている。
現実でも、直の一挙一動が気になって仕方がない。
「誰と話していた」と聞いてしまい、ひどく後悔したばかりなのに。
結論はひとつしかなかった。
これ以上、直と必要以上に関わってはならない。
それが上司として取るべき正解だ。
――少なくとも、今の自分はそうでなければ困る。
そう言い聞かせながら、恒一は静かに身支度を始めた。
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