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第十一章 鏡の秘密
101.誤解?
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指で、なんて言われて俺はプライドが傷ついた。ルークからセックスすることを拒絶されたような気持になったのだ。
「くっ……、バカにしやがってっ! そっちはハンナにしか使いたくないってことかよっ!」
ズボン越しのルークの股間を睨みつけながら、俺は叫んだ。
言ってしまった後で一気に恥ずかしくなった。これではルークのことが好きでハンナに嫉妬していると言っているも同然ではないか。
いや違うんだ、と弁解したかったが、狼狽えると余計に格好が悪い。
恐る恐るルークの顔を見ると、目を見開いて驚きの表情でこちらを見ていた。俺が好意を見せたことを驚いているのだろう、そんな顔で見ないでくれと俺は火照るように熱いままの顔を背けた。
「ハンナ……と言いますと、メイドの?」
怒りの籠った俺の口調とは対照的にルークの口調は淡々としていた。
「ああ、そうだ。お前が夢中になっているメイドのハンナだっ!」
「夢中……?」
そうならそうとはっきり言えばいいものを、ルークはこの期に及んでとぼけている様子だった。俺はこの目で二人が中庭でいるのも晩餐会の会場でこそこそはなしているのも見たというのに。
俺にはハンナとのことを隠し通すつもりなのだろうか。
「もう出ていけっ! 貴様なんぞハンナのところに行けばいいっ!」
イライラしてたまらなかった。俺がこんなにも誰かに対して嫉妬したのは生まれて初めてのことだった。国中の誰もがうらやむようなこの俺が、たかがメイド一人にここまで妬くなんて滑稽だろう。
でもルークが俺よりもあのハンナを選ぶと思うと感情をコントロールすることなんてできなかった。こんなの俺らしくない。王太子たるものいつだって何事にも動じずに毅然と振舞わなければならないと、幼い頃から躾けられてきたというのに……。
「シュライフェ様、何か誤解をされていらっしゃるようですが……」
誤解だと? 俺が何をどう誤解しているというのか。
「誤解などではないっ! 俺は中庭でお前たちが密会しているのを見たんだぞっ! 仲睦まじく、顔を寄せあって本を見ていたじゃないか」
あのときのハンナのはにかんだ表情、そしてルークの笑み。それは今思い出しても恋仲の男女のものだった。
「本? それはたぶん下着の図案です」
「え、下着……?」
下着って、まさか俺のあそこが女性器になってから身につけている女性用の下着のことか!?
「ハンナは裁縫の腕前が一流なのです。それで私がシュライフェ様の下着を作ってくれるように依頼しているのです」
「くっ……、バカにしやがってっ! そっちはハンナにしか使いたくないってことかよっ!」
ズボン越しのルークの股間を睨みつけながら、俺は叫んだ。
言ってしまった後で一気に恥ずかしくなった。これではルークのことが好きでハンナに嫉妬していると言っているも同然ではないか。
いや違うんだ、と弁解したかったが、狼狽えると余計に格好が悪い。
恐る恐るルークの顔を見ると、目を見開いて驚きの表情でこちらを見ていた。俺が好意を見せたことを驚いているのだろう、そんな顔で見ないでくれと俺は火照るように熱いままの顔を背けた。
「ハンナ……と言いますと、メイドの?」
怒りの籠った俺の口調とは対照的にルークの口調は淡々としていた。
「ああ、そうだ。お前が夢中になっているメイドのハンナだっ!」
「夢中……?」
そうならそうとはっきり言えばいいものを、ルークはこの期に及んでとぼけている様子だった。俺はこの目で二人が中庭でいるのも晩餐会の会場でこそこそはなしているのも見たというのに。
俺にはハンナとのことを隠し通すつもりなのだろうか。
「もう出ていけっ! 貴様なんぞハンナのところに行けばいいっ!」
イライラしてたまらなかった。俺がこんなにも誰かに対して嫉妬したのは生まれて初めてのことだった。国中の誰もがうらやむようなこの俺が、たかがメイド一人にここまで妬くなんて滑稽だろう。
でもルークが俺よりもあのハンナを選ぶと思うと感情をコントロールすることなんてできなかった。こんなの俺らしくない。王太子たるものいつだって何事にも動じずに毅然と振舞わなければならないと、幼い頃から躾けられてきたというのに……。
「シュライフェ様、何か誤解をされていらっしゃるようですが……」
誤解だと? 俺が何をどう誤解しているというのか。
「誤解などではないっ! 俺は中庭でお前たちが密会しているのを見たんだぞっ! 仲睦まじく、顔を寄せあって本を見ていたじゃないか」
あのときのハンナのはにかんだ表情、そしてルークの笑み。それは今思い出しても恋仲の男女のものだった。
「本? それはたぶん下着の図案です」
「え、下着……?」
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