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わかる私
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私は生まれつき体が弱かった。だから、お外で遊べなかったの。ずっとお家の中でひとりぼっちだった。でも、ある時、町のお人形屋さんが私によく似たお人形さんを作ってくれたの。それがあなたよ。とっても嬉しかった。友達のいなかった私にとって初めてのお友だちができたんだもの。たとえお人形さんであってもね。だから、私はあなたをたくさん大事にしたわ。一緒におままごとをしたり、お本も読んだ。そんな毎日が楽しかった。でも、どんな楽しい毎日でも私の病気は治まらなかった。むしろ悪くなっているのが私自身でも分かるくらい。動くことも辛くなってきて、だんだん一日中寝て過ごすことも増えてきた時、コックさんが綺麗な果物をデザートに出してくれたの。その果物は、どんな病気も治すと言われているらしいのだけど、私は正直信じてはいなかった。今まで色んなものを試した。東西南北のあらゆるものを試した。でも、変わらなかった。だから、信じてはいなかった。その時の私は、病気が治ることよりもあなたと話したい、そう思っていたの。そう思いながら果物を食べ終えた時、私は今までにないくらい息が苦しくなった。喉が締めつけられて、声もかすれ声しか出せない。まるで誰かの手で喉を握りつぶされているように感じたわ。私はもう…。そう思った時、あなたが光りだしたの。その光がおさまったかと思うと、そこには動くあなたがいたわ。あなたは、
「ねぇ、今日は何をして遊ぶ?」
そう言ってくれた。私は苦しいのか嬉しいのか分からなくなって、
「あなたが私になって、お友だちをたくさん作ってね。」
って。そう言ったつもりだったのだけど、声にならなかったみたい。私は死んでしまった。一緒に“本当の意味で”遊びたかったなぁ。あなたはなんで私が動かなくなってしまったのか不思議そうだった。命に終わりが来ることなんてあなたは分からないから。でも、私の想いが伝わったのか、あなたは私を部屋の奥のお庭に置いた。そこに石を置いてね。あなたなりの弔いなのかしらね。でも私は幽霊になってしまったから、そこにはいないわよー。なんて、聞こえてるわけないわね。
それから、あなたはお友だちを作るようになった。あの光る果物のおかげなのかしら。病気を治す、ではなく願いを叶える、なのかもしれないわね。あなたは、町のみんなとお友だちになった。でも、私は心配だわ。このままだと、悪い人ともお友だちになってしまいそう。私たちのお家はお屋敷だから、もしもの事があるかもしれない。でも、私は幽霊だからあなたを助けてあげられない。誰か助けに来てくれないかしら。って、さすがに心配しすぎよね。
「ねぇ、今日は何をして遊ぶ?」
そう言ってくれた。私は苦しいのか嬉しいのか分からなくなって、
「あなたが私になって、お友だちをたくさん作ってね。」
って。そう言ったつもりだったのだけど、声にならなかったみたい。私は死んでしまった。一緒に“本当の意味で”遊びたかったなぁ。あなたはなんで私が動かなくなってしまったのか不思議そうだった。命に終わりが来ることなんてあなたは分からないから。でも、私の想いが伝わったのか、あなたは私を部屋の奥のお庭に置いた。そこに石を置いてね。あなたなりの弔いなのかしらね。でも私は幽霊になってしまったから、そこにはいないわよー。なんて、聞こえてるわけないわね。
それから、あなたはお友だちを作るようになった。あの光る果物のおかげなのかしら。病気を治す、ではなく願いを叶える、なのかもしれないわね。あなたは、町のみんなとお友だちになった。でも、私は心配だわ。このままだと、悪い人ともお友だちになってしまいそう。私たちのお家はお屋敷だから、もしもの事があるかもしれない。でも、私は幽霊だからあなたを助けてあげられない。誰か助けに来てくれないかしら。って、さすがに心配しすぎよね。
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