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しおりを挟む馬の声がして馬車が止まるその振動で目を覚ました。
あれから気がついたら眠ってしまっていたようだ。ウトウトと顔を上げるとオスカーさんがひょこりと顔をだし、眠たげな僕をみて苦笑いした。
「やぁ、今日はもう結構走ったからここで休もうか。」
そう言いながら近くの宿を指を指すオスカーさんだが僕はもちろんこの世界のお金なんて1銭も持っていない。
「あ、僕はお金ないので野宿で大丈夫です」
「は?いい理由ないでしょ!君はけが人なんだぞ??ほらおぶるから乗って!」
そう有無も言わさず僕を宿の1室に運んだ。
「俺はちょっと買い物行くけど、絶対部屋から出たらダメだからね!」
そう言い残して出ていった……
……人に迷惑をかけてばかりだな僕は。
この世界に来た時からずっと誰かに……いや、来る前からもそうだった。
昔から誰かの足を引っ張り迷惑をかける。
もう余り背中も痛まないから、立ち上がって窓際に座り込む。
窓から両足を出してパタパタと揺らす。この光景を見ればカイルさんに怒られそうだ。あの人結構過保護だから。
……そんなカイルさんに、生意気な態度を取ってしまった。
「…………っ、」
あぁ本当に僕は最低な人間だ。
何故まだのうのうと生きているのだろうか。
ふ、と下を見る。
五階分位の高さは無いが、下には鋭利な柵がある。恐らく死ねるだろう。
ぼー、と下にある柵を見つめもはや本当に飛んでしまおうか本気で検討し始めた時、下の方から幼い子の悲鳴が聞こえてはっ、と我に返る。
声の主を見やれば、子供が馬車に轢かれて大怪我をしていた。
あんな小さな子が……
両親らしき人達が悲痛な叫びを上げて一生懸命子供に声をかけて止血を試みるが血は一向に止まらない。
僕は気がつけば走り出していた。
「すいません!僕にやらせてください!」
この前レイが僕に治癒魔法が使えると教えて貰った。
実践した事がないから確信は無いが幸せな家族が崩壊するその瞬間を見たくなくて、僕は必死になっていた。
両親も半信半疑に子供から少し離れる。多分藁にもすがる思いなのだろう。
ぐ、と地面に手を当てると子供の周りに大きな白く輝く魔法陣が浮かぶ。
カッ、と眩い光が発生し、収まる頃には顔色も戻り穏やかな寝息をたてる子供がいた。
対して僕は血の気が失せて体に力が入りにくくなる。
母親が泣きながら子供に抱きつき何度も頭を下げてきてお礼に何かと言われたが疲れきって立つのもしんどいから丁重に断って宿に戻った。
怪我をしているから部屋から出るなと言われたし、勇者の事もオスカーさんに知られたくなかったため何事も無かったように布団に潜り込み少し眠る事にした。
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