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第3章 万能王女と四角関係
9 王女の気付き
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――エヴァ王女専用の庭園から、やや離れた建物の影。
わたくしはお2人の邪魔にならぬよう姿を隠して、「遠視」と「透視」、「地獄耳」のスキルをフル活用して様子を窺いました。
これなら離れていても、まるで目の前で見聞きしているかのような臨場感を味わえます。これらのスキルを持って生まれて、本当に助かりましたね。
増長しやすいカレンデュラ伯爵令嬢には「スキルは補助ツールとして使うに留めるべき」と提言いたしましたが、こんなもの使ってナンボでございますよ。だって便利ですから。
エヴァ王女とジョーは、最近庭園に増設された「お茶会セット」――2人掛けのテーブル、イス、日差しを防ぐ大きなパラソルの3点――に向かい合って座り、楽しそうに談笑しておられます。どちらも笑顔が可愛らしいので、見ているだけで和んでしまいますね。
一応未婚の男女を2人きりには出来ないと思っているのか、50メートルほど離れた位置に侍女のアメリが立っているのも見えました。
――わたくし今までエヴァ王女について可愛い、可愛いとしか思っておりませんでしたが……最近カレンデュラ伯爵令嬢の口から、「悪役」と聞かされ過ぎた弊害なのでしょうか?
言われてみれば確かに、「悪役顔」のような気もして参りました。やはりスキル「決議者」は凄まじい。
発する言葉に力が籠るので、あまり耳を傾けすぎるとつい意見に流されやすくなってしまうんですよ……洗脳じみていて恐ろしいですね。
うーん、しかし気の強そうなつり目といい、ツンと顎を逸らしてナチュラルに人を見下す顔の角度といい、「悪役王女」っぽいです。
――いや、まあ、王女ですし……少しくらい人を睥睨したって良いでしょう、ええ。今日も偉そうで可愛いですね。
ジョーは何やら、正方形に切った自作の紙をいくつか庭園に持ち込んだらしく……「プラムダリア孤児院出身の子供なら出来て当然ッス!」らしい『オリガミ』なる技を王女に披露しておられるようです。
ただの1枚の紙きれが繰り返し折られ、かと思えば広げられ、また別の方向に折られ――小さく小さく折り畳まれた紙切れは、瞬く間に立体的な鳥に姿を変えました。
「まあ、ジョー! 手先が器用なのね、1枚の紙から鳥を作るだなんて凄いですわ! なんていう鳥なの?」
「これは鶴ッスよ」
「ツル? 恥ずかしながらわたくし、初めて耳にしましたわ……どちらの大陸に生息する鳥なのかしら」
「ずっと遠い所ッスよ。俺も本物は見た事ないんスよねー、「黄金郷」になら居るのかも」
「黄金郷――まだ見ぬ新大陸ね、つまりツルは想像上の生き物という事?」
「……そうッスねえ」
そう答えたジョーは、いつもの無邪気な笑みではなく、どこか影のある笑みを湛えていらっしゃいます。……何やら郷愁のような念を感じますね。
エヴァ王女も彼の変化に目敏く気付いたのか、パッと口を噤みました。そして何事か逡巡したのち、まるで内緒話をするように声を潜めて、テーブル越しにジョーに顔を近づけます。
「えっと……ジョー。恥ずかしいのでこれは秘密にしていて欲しいのですけれど、実はわたくし、黄金郷の存在を信じておりますのよ」
「…………アデルが、黄金郷を?」
ジョーは瞬時に影のある笑みをしまい込むと、悪戯っぽく瞳を緩めました。
そして王女と同じように声を潜めて、互いの声が聞き取りやすいように顔を近づけます。
――パラソルに隠れているので城内から見られるような事はないでしょうが、アレ下手すると口づけでもしているのかと勘違いしてしまいますね。
今度それとなく注意しておきましょう……いや、わざわざ指摘するのも野暮なのでしょうか。
「黄金郷を信じてるなんて言ったら、貴族のお嬢はバカにされるんじゃねえッスか? アレ、子供の空想――夢物語だって言われてるぐらいッスよ」
「だから秘密なのですわ! こんな事がへい――いえ、お父様の耳に入ったら、これ以上ファンタジーの住人にならないでくれと泣きつかれてしまうもの。でも黄金郷はありますわ、わたくし信頼できる筋から聞きましたの。ですから間違いありません」
「ああ~! 何か、スゲー分かるッスわ~……アデルちょっと浮いてんもんな~、そりゃ親父さんも心配になるッスよ……」
「ちょ、ちょっと! 浮いてるってどういう事ですの!? 余計なお世話ですわ、本当にジョーって失礼ね! ……最近、似なくて良いところまでハイドみたいになってますわ、わたくし女性をからかうような人は嫌いよ!!」
憤慨されたエヴァ王女は、ほっそりとした手を伸ばしてジョーの左頬をギュッと抓りました。
しかし大した力が入っていないのか、ジョーはおかしそうに笑いながら彼女の手首を掴みます。
そしてジョーはとろりと目元を緩ませると、何でもない事のようにシレッと問題発言をなさいました。
「――俺はアデルの事好きッスけどねえ」
「………………ふぇっ」
「俺が何言っても本気で怒んないんだもん。優しくて可愛いから超好き――……ダメッスか?」
「だ、だめって……何が、ですの……?」
「うん? いや、俺孤児院出身だし、まともな貴族じゃないし……ただ友達としてアデルを好きでいるだけで、迷惑になったりすんのかなって」
「あ、ああ、そういう…………。――――――ダメではありませんけれど、貴方の方からわたくしに触るのはダメ! そもそも顔が近いですわよ!! 最低! 本当に変態さんですわね!!!」
「えぇっ、アデルが先に近付いて来たんじゃねえッスか!?」
途端にお顔を真っ赤に染めたエヴァ王女は、ジョーに掴まれた方の手首をブンブンと振り回しておられます。
――もしかすると、ジョーに「好きだ」と告白されたのかと期待してしまわれたのかも知れませんね。
それが「友達として」なんて言われた事で激しく落胆、落胆からの羞恥……と言ったところでしょう。
……そうして落胆した事により、王女もご自身の気持ちに気付かれたのではないでしょうか。
だいぶ日も傾いて参りましたし、王女をお迎えに上がろうかと思っておりましたが――もう少し2人きりにしておきましょう。
まるで手塩にかけて育てた娘がどこか遠くへ行ってしまうような寂寞の思いを胸に、わたくしはそっとスキルで覗き見するのをやめました。
わたくしはお2人の邪魔にならぬよう姿を隠して、「遠視」と「透視」、「地獄耳」のスキルをフル活用して様子を窺いました。
これなら離れていても、まるで目の前で見聞きしているかのような臨場感を味わえます。これらのスキルを持って生まれて、本当に助かりましたね。
増長しやすいカレンデュラ伯爵令嬢には「スキルは補助ツールとして使うに留めるべき」と提言いたしましたが、こんなもの使ってナンボでございますよ。だって便利ですから。
エヴァ王女とジョーは、最近庭園に増設された「お茶会セット」――2人掛けのテーブル、イス、日差しを防ぐ大きなパラソルの3点――に向かい合って座り、楽しそうに談笑しておられます。どちらも笑顔が可愛らしいので、見ているだけで和んでしまいますね。
一応未婚の男女を2人きりには出来ないと思っているのか、50メートルほど離れた位置に侍女のアメリが立っているのも見えました。
――わたくし今までエヴァ王女について可愛い、可愛いとしか思っておりませんでしたが……最近カレンデュラ伯爵令嬢の口から、「悪役」と聞かされ過ぎた弊害なのでしょうか?
言われてみれば確かに、「悪役顔」のような気もして参りました。やはりスキル「決議者」は凄まじい。
発する言葉に力が籠るので、あまり耳を傾けすぎるとつい意見に流されやすくなってしまうんですよ……洗脳じみていて恐ろしいですね。
うーん、しかし気の強そうなつり目といい、ツンと顎を逸らしてナチュラルに人を見下す顔の角度といい、「悪役王女」っぽいです。
――いや、まあ、王女ですし……少しくらい人を睥睨したって良いでしょう、ええ。今日も偉そうで可愛いですね。
ジョーは何やら、正方形に切った自作の紙をいくつか庭園に持ち込んだらしく……「プラムダリア孤児院出身の子供なら出来て当然ッス!」らしい『オリガミ』なる技を王女に披露しておられるようです。
ただの1枚の紙きれが繰り返し折られ、かと思えば広げられ、また別の方向に折られ――小さく小さく折り畳まれた紙切れは、瞬く間に立体的な鳥に姿を変えました。
「まあ、ジョー! 手先が器用なのね、1枚の紙から鳥を作るだなんて凄いですわ! なんていう鳥なの?」
「これは鶴ッスよ」
「ツル? 恥ずかしながらわたくし、初めて耳にしましたわ……どちらの大陸に生息する鳥なのかしら」
「ずっと遠い所ッスよ。俺も本物は見た事ないんスよねー、「黄金郷」になら居るのかも」
「黄金郷――まだ見ぬ新大陸ね、つまりツルは想像上の生き物という事?」
「……そうッスねえ」
そう答えたジョーは、いつもの無邪気な笑みではなく、どこか影のある笑みを湛えていらっしゃいます。……何やら郷愁のような念を感じますね。
エヴァ王女も彼の変化に目敏く気付いたのか、パッと口を噤みました。そして何事か逡巡したのち、まるで内緒話をするように声を潜めて、テーブル越しにジョーに顔を近づけます。
「えっと……ジョー。恥ずかしいのでこれは秘密にしていて欲しいのですけれど、実はわたくし、黄金郷の存在を信じておりますのよ」
「…………アデルが、黄金郷を?」
ジョーは瞬時に影のある笑みをしまい込むと、悪戯っぽく瞳を緩めました。
そして王女と同じように声を潜めて、互いの声が聞き取りやすいように顔を近づけます。
――パラソルに隠れているので城内から見られるような事はないでしょうが、アレ下手すると口づけでもしているのかと勘違いしてしまいますね。
今度それとなく注意しておきましょう……いや、わざわざ指摘するのも野暮なのでしょうか。
「黄金郷を信じてるなんて言ったら、貴族のお嬢はバカにされるんじゃねえッスか? アレ、子供の空想――夢物語だって言われてるぐらいッスよ」
「だから秘密なのですわ! こんな事がへい――いえ、お父様の耳に入ったら、これ以上ファンタジーの住人にならないでくれと泣きつかれてしまうもの。でも黄金郷はありますわ、わたくし信頼できる筋から聞きましたの。ですから間違いありません」
「ああ~! 何か、スゲー分かるッスわ~……アデルちょっと浮いてんもんな~、そりゃ親父さんも心配になるッスよ……」
「ちょ、ちょっと! 浮いてるってどういう事ですの!? 余計なお世話ですわ、本当にジョーって失礼ね! ……最近、似なくて良いところまでハイドみたいになってますわ、わたくし女性をからかうような人は嫌いよ!!」
憤慨されたエヴァ王女は、ほっそりとした手を伸ばしてジョーの左頬をギュッと抓りました。
しかし大した力が入っていないのか、ジョーはおかしそうに笑いながら彼女の手首を掴みます。
そしてジョーはとろりと目元を緩ませると、何でもない事のようにシレッと問題発言をなさいました。
「――俺はアデルの事好きッスけどねえ」
「………………ふぇっ」
「俺が何言っても本気で怒んないんだもん。優しくて可愛いから超好き――……ダメッスか?」
「だ、だめって……何が、ですの……?」
「うん? いや、俺孤児院出身だし、まともな貴族じゃないし……ただ友達としてアデルを好きでいるだけで、迷惑になったりすんのかなって」
「あ、ああ、そういう…………。――――――ダメではありませんけれど、貴方の方からわたくしに触るのはダメ! そもそも顔が近いですわよ!! 最低! 本当に変態さんですわね!!!」
「えぇっ、アデルが先に近付いて来たんじゃねえッスか!?」
途端にお顔を真っ赤に染めたエヴァ王女は、ジョーに掴まれた方の手首をブンブンと振り回しておられます。
――もしかすると、ジョーに「好きだ」と告白されたのかと期待してしまわれたのかも知れませんね。
それが「友達として」なんて言われた事で激しく落胆、落胆からの羞恥……と言ったところでしょう。
……そうして落胆した事により、王女もご自身の気持ちに気付かれたのではないでしょうか。
だいぶ日も傾いて参りましたし、王女をお迎えに上がろうかと思っておりましたが――もう少し2人きりにしておきましょう。
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