27 / 70
第3章 万能王女と四角関係
8 騎士とヒロイン3
しおりを挟む
カレンデュラ伯爵令嬢は、たっぷりと頭を悩ませた後にパッと顔を上げました。
「――思ったんだけどさ、エヴァンシュカに愛されヒロインの座を奪われたせいで、なし崩し的に私が悪役令嬢にされちゃったって事なんじゃあないの? この世界に「愛されヒロイン」は1人までしか存在出来ないのよ……だって言うのに何かのバグでハイドが生まれて、しかもエヴァンシュカの味方についちゃったから――それが原因で、何も知らない私1人が酷い目に遭ったって事なんじゃない!?」
この世の真理に到達した、とでも言わんばかりの閃き顔のカレンデュラ伯爵令嬢に、わたくしはひっそりとため息を吐き出しました。
確かに彼女の言う通り、わたくしの存在は些かイレギュラーなものなのでしょう。しかし、それとこれとは全くの別問題な気がしてなりません。
何せご令嬢の言動に一つも非がないのかと問われれば、答えは「それはどうかな」だからです。
ご自身の事を棚に上げて、やれエヴァ王女が、やれわたくしが――なんて非難されては困ってしまいます。
――ですが、そのような事を指摘したところでそう簡単に人は変わらないでしょう。
熟成された19年物の「傲慢さ」は、わたくしの手に負えるものではございません。
……とは言え、ひとつ間違えばエヴァンシュカ王女も「こう」なっていたのかも知れないと考えると――けんもほろろに突き放すのも、些か気が引けます。
人様の価値観、考えを矯正しようなんて傲慢な考えは持ち合わせておりませんが……一応は年長者ですからね。
未来ある若者を少しでも良い方向へ導くことが、何よりも重要な務めかと存じます。
「――カレンデュラ伯爵令嬢は、スキルに頼り過ぎなのではありませんか」
「えっ……?」
「スキルというのは、決して便利なだけの力ではありません。あくまでも「補助」ツールとして使う程度に留めるのがよろしいかと思いますよ」
「で、でも、だって……せっかくスキルがあるのに、使わない手はないじゃない? 「愛されまなこ」が使えなかったら、相手にどう思われてるかも分からないし――」
「……普通は、自身の言動によって相手がどう感じるなど分からないものです。カレンデュラ伯爵令嬢なら、きっとそのような力に頼らずとも殿方を「攻略」出来るでしょう」
「でも、ゲームでは「好感度」と「反応」を見ないと……!」
「――ここはゲームの世界などではありません、いい加減「現実」に目を向けなさいアレッサ・フォン・カレンデュラ」
多少きつい物言いになってしまったかも知れませんが――カレンデュラ伯爵令嬢もエヴァ王女に負けず劣らず、身近な大人に甘やかされて生きてきた匂いがプンプンいたします。
ここは堅固たる態度で接するのが良いでしょう。
カレンデュラ伯爵令嬢は、まさかここまで責められると思っていなかったのか……悔し気な表情を浮かべて、大きな瞳に涙を溜められました。
神秘的な金色の瞳が揺らぎ、それは吸い込まれそうな魅力を発しています。
――しかしその表情は見る見るうちに変化して、いつの間にやら頬は紅く染まり、まるで熱に浮かされたようなお顔になられました。
……そのような反応をされるとは全くの予想外で、わたくしは面食らって目を瞬かせます。
「――わ、分かった……! 分かったわよ、「愛されまなこ」なしで攻略しろって言うのね!?」
「え? ……ええ、そうですね。ご令嬢はスキルなしでも十分魅力的ですから、普通にしていればそれで――」
「ええ、分かった……そんなに私にハイドを攻略させたいなら、お望み通り攻略してあげるわ!!」
「……………………おっと……? ――なるほど、そう転びますか……本当に一筋縄ではいかないご令嬢ですね――」
またしても思いもよらぬ発言を受けて、わたくしは遠く――それこそ「遠視」と「地獄耳」を使って、遠く離れたエヴァ王女とジョーの和やかな茶会の様子を眺めて、気分を落ち着かせました。
……どうやら、手指の消毒に使うアルコールの製造について本腰を入れて着手すべき! なんて、色っぽいお話をされているご様子です。
もっとこう、見合いの雰囲気にはならないものでしょうかね。
そうしてわたくしが現実から逃避している間にも、カレンデュラ伯爵令嬢がズズイと詰め寄って参ります。
「覚悟しなさいよハイド! 私が本気を出したら、ヒロインアイを使わなくてもアンタなんかイチコロなんだからね! すぐに私に惚れさせて、エヴァンシュカの護衛じゃなくて私の旦那になりたいって言わせてやるんだから!!」
「うぅ~~ん…………は~い、頑張ってください。応援しています」
「何よ、その雑な反応は! おかしいでしょう!? ――さ、早速だけど、好きなタイプを教えなさいよ! 食べ物は何が好き? 趣味は? 例えばデートならどこに行くのが好きなの? ……し、仕方ないから、この私が全部アンタの好みに合わせてあげるわ! ――その、本当に何でもしてあげるから……だから私の事ハイドのお嫁さんにして! いいや、しなさい!!」
口調こそどこまでも傲慢で上から目線ですが、いきなり尽くしまくりの奴隷女のような発言を始めたカレンデュラ伯爵令嬢に、わたくしは新たな懸念を抱きました。
どうしてこの方、こんなに残念なのでしょうか――今までもまともに生きておられなかったようですが、これからもこうして雑に生きて行くのでしょうか。
……そもそも生きて行けるのでしょうか?
どうにか更生させて差し上げたい。エヴァ王女と同じで、来年成人ですからね、この方――。
しかし会話した感じ、わたくし1人の手に負えるような容易い相手ではございません。
あまり構って粘着されるのも困りますし、直接的なアプローチよりも、もっと……遠回しで長期的な手段の方が良いのでしょうか。
散々悩んだ結果わたくしが導き出した苦肉の策は、「そうだ、エヴァ王女に何とかしてもらおう」でした。
「……そうですね、わたくし、エヴァンシュカ王女のような方がタイプです」
「――――――――えっ」
「聡明でお話していて飽きない、面白い方が良いですね。わたくし人とお話するのが好きでして、いちいち「それはなんだ」「どういう意味だ」と説明で会話を中断させられるのは好みません。少なくともエヴァ王女よりも賢い方でなければ、食指が動きません」
「ちょ、待っ……」
「――王女は本当に凄い方なのですよ。レスタニアにいらっしゃったご令嬢はご存じないかも知れませんが……このハイドランジア国民全体の学力向上に一役買い、民の生活をより豊かにしようと様々な策を講じ、民衆からも愛される人格者で――」
「ま、待ってって言ってるでしょう!? ……えっ!? 何、ハイドって結局、エヴァンシュカが好きなの!? 友情エンドじゃなくて、とっくに攻略されてる!?」
激しく動揺されていらっしゃるカレンデュラ伯爵令嬢に、わたくしは無言で微笑みました。
――「はい」とも「いいえ」とも明言せずにフワッと濁していれば、あとは令嬢が勝手に面白い方向へ転がって行って下さるはずです。
カレンデュラ伯爵令嬢はわたくしの願い通りに、わなわなと体を震わせていたかと思えば……途端にびしりとわたくしの顔を指差し確認して、声を大に叫びました。
「――いいわ、見てなさいよハイド! 私とエヴァンシュカ、どっちが賢いか分からせてやるんだから……! この世界の学力が前世の義務教育レベルで止まってる事は、もう分かってるんだからね! 前世で大学生だった私を舐めるんじゃないわよ、ぎゃふんと言わせてやるんだから!!」
「……は~い、いっぱい頑張ってくださ~い」
「だから、その反応おかしいでしょうって!?」
ぎゃあぎゃあと騒いでいらっしゃるご令嬢をかわして、わたくしは軽く礼をしました。
エヴァ王女とジョーのお茶会が終わりの時間に近付いて参りましたので、そろそろお迎えに行って差し上げなければ。
カレンデュラ伯爵令嬢は「話はまだ終わってなーい!!」と叫んでいましたが、わたくしが無言のまま笑顔で手を振ればグッと口を噤んで頬を染められました。
――いけませんね、もしかしてカレンデュラ伯爵令嬢、本気でわたくしを旦那にと願っていらっしゃるのでしょうか。
幼気な少女の恋心を弄ぶつもりはございません、やはり早急に――エヴァ王女に何とかして頂かなければ。
わたくしは改めて伯爵令嬢に一礼すると、王女とジョーの居る庭園へ向かう事にいたしました。
「――思ったんだけどさ、エヴァンシュカに愛されヒロインの座を奪われたせいで、なし崩し的に私が悪役令嬢にされちゃったって事なんじゃあないの? この世界に「愛されヒロイン」は1人までしか存在出来ないのよ……だって言うのに何かのバグでハイドが生まれて、しかもエヴァンシュカの味方についちゃったから――それが原因で、何も知らない私1人が酷い目に遭ったって事なんじゃない!?」
この世の真理に到達した、とでも言わんばかりの閃き顔のカレンデュラ伯爵令嬢に、わたくしはひっそりとため息を吐き出しました。
確かに彼女の言う通り、わたくしの存在は些かイレギュラーなものなのでしょう。しかし、それとこれとは全くの別問題な気がしてなりません。
何せご令嬢の言動に一つも非がないのかと問われれば、答えは「それはどうかな」だからです。
ご自身の事を棚に上げて、やれエヴァ王女が、やれわたくしが――なんて非難されては困ってしまいます。
――ですが、そのような事を指摘したところでそう簡単に人は変わらないでしょう。
熟成された19年物の「傲慢さ」は、わたくしの手に負えるものではございません。
……とは言え、ひとつ間違えばエヴァンシュカ王女も「こう」なっていたのかも知れないと考えると――けんもほろろに突き放すのも、些か気が引けます。
人様の価値観、考えを矯正しようなんて傲慢な考えは持ち合わせておりませんが……一応は年長者ですからね。
未来ある若者を少しでも良い方向へ導くことが、何よりも重要な務めかと存じます。
「――カレンデュラ伯爵令嬢は、スキルに頼り過ぎなのではありませんか」
「えっ……?」
「スキルというのは、決して便利なだけの力ではありません。あくまでも「補助」ツールとして使う程度に留めるのがよろしいかと思いますよ」
「で、でも、だって……せっかくスキルがあるのに、使わない手はないじゃない? 「愛されまなこ」が使えなかったら、相手にどう思われてるかも分からないし――」
「……普通は、自身の言動によって相手がどう感じるなど分からないものです。カレンデュラ伯爵令嬢なら、きっとそのような力に頼らずとも殿方を「攻略」出来るでしょう」
「でも、ゲームでは「好感度」と「反応」を見ないと……!」
「――ここはゲームの世界などではありません、いい加減「現実」に目を向けなさいアレッサ・フォン・カレンデュラ」
多少きつい物言いになってしまったかも知れませんが――カレンデュラ伯爵令嬢もエヴァ王女に負けず劣らず、身近な大人に甘やかされて生きてきた匂いがプンプンいたします。
ここは堅固たる態度で接するのが良いでしょう。
カレンデュラ伯爵令嬢は、まさかここまで責められると思っていなかったのか……悔し気な表情を浮かべて、大きな瞳に涙を溜められました。
神秘的な金色の瞳が揺らぎ、それは吸い込まれそうな魅力を発しています。
――しかしその表情は見る見るうちに変化して、いつの間にやら頬は紅く染まり、まるで熱に浮かされたようなお顔になられました。
……そのような反応をされるとは全くの予想外で、わたくしは面食らって目を瞬かせます。
「――わ、分かった……! 分かったわよ、「愛されまなこ」なしで攻略しろって言うのね!?」
「え? ……ええ、そうですね。ご令嬢はスキルなしでも十分魅力的ですから、普通にしていればそれで――」
「ええ、分かった……そんなに私にハイドを攻略させたいなら、お望み通り攻略してあげるわ!!」
「……………………おっと……? ――なるほど、そう転びますか……本当に一筋縄ではいかないご令嬢ですね――」
またしても思いもよらぬ発言を受けて、わたくしは遠く――それこそ「遠視」と「地獄耳」を使って、遠く離れたエヴァ王女とジョーの和やかな茶会の様子を眺めて、気分を落ち着かせました。
……どうやら、手指の消毒に使うアルコールの製造について本腰を入れて着手すべき! なんて、色っぽいお話をされているご様子です。
もっとこう、見合いの雰囲気にはならないものでしょうかね。
そうしてわたくしが現実から逃避している間にも、カレンデュラ伯爵令嬢がズズイと詰め寄って参ります。
「覚悟しなさいよハイド! 私が本気を出したら、ヒロインアイを使わなくてもアンタなんかイチコロなんだからね! すぐに私に惚れさせて、エヴァンシュカの護衛じゃなくて私の旦那になりたいって言わせてやるんだから!!」
「うぅ~~ん…………は~い、頑張ってください。応援しています」
「何よ、その雑な反応は! おかしいでしょう!? ――さ、早速だけど、好きなタイプを教えなさいよ! 食べ物は何が好き? 趣味は? 例えばデートならどこに行くのが好きなの? ……し、仕方ないから、この私が全部アンタの好みに合わせてあげるわ! ――その、本当に何でもしてあげるから……だから私の事ハイドのお嫁さんにして! いいや、しなさい!!」
口調こそどこまでも傲慢で上から目線ですが、いきなり尽くしまくりの奴隷女のような発言を始めたカレンデュラ伯爵令嬢に、わたくしは新たな懸念を抱きました。
どうしてこの方、こんなに残念なのでしょうか――今までもまともに生きておられなかったようですが、これからもこうして雑に生きて行くのでしょうか。
……そもそも生きて行けるのでしょうか?
どうにか更生させて差し上げたい。エヴァ王女と同じで、来年成人ですからね、この方――。
しかし会話した感じ、わたくし1人の手に負えるような容易い相手ではございません。
あまり構って粘着されるのも困りますし、直接的なアプローチよりも、もっと……遠回しで長期的な手段の方が良いのでしょうか。
散々悩んだ結果わたくしが導き出した苦肉の策は、「そうだ、エヴァ王女に何とかしてもらおう」でした。
「……そうですね、わたくし、エヴァンシュカ王女のような方がタイプです」
「――――――――えっ」
「聡明でお話していて飽きない、面白い方が良いですね。わたくし人とお話するのが好きでして、いちいち「それはなんだ」「どういう意味だ」と説明で会話を中断させられるのは好みません。少なくともエヴァ王女よりも賢い方でなければ、食指が動きません」
「ちょ、待っ……」
「――王女は本当に凄い方なのですよ。レスタニアにいらっしゃったご令嬢はご存じないかも知れませんが……このハイドランジア国民全体の学力向上に一役買い、民の生活をより豊かにしようと様々な策を講じ、民衆からも愛される人格者で――」
「ま、待ってって言ってるでしょう!? ……えっ!? 何、ハイドって結局、エヴァンシュカが好きなの!? 友情エンドじゃなくて、とっくに攻略されてる!?」
激しく動揺されていらっしゃるカレンデュラ伯爵令嬢に、わたくしは無言で微笑みました。
――「はい」とも「いいえ」とも明言せずにフワッと濁していれば、あとは令嬢が勝手に面白い方向へ転がって行って下さるはずです。
カレンデュラ伯爵令嬢はわたくしの願い通りに、わなわなと体を震わせていたかと思えば……途端にびしりとわたくしの顔を指差し確認して、声を大に叫びました。
「――いいわ、見てなさいよハイド! 私とエヴァンシュカ、どっちが賢いか分からせてやるんだから……! この世界の学力が前世の義務教育レベルで止まってる事は、もう分かってるんだからね! 前世で大学生だった私を舐めるんじゃないわよ、ぎゃふんと言わせてやるんだから!!」
「……は~い、いっぱい頑張ってくださ~い」
「だから、その反応おかしいでしょうって!?」
ぎゃあぎゃあと騒いでいらっしゃるご令嬢をかわして、わたくしは軽く礼をしました。
エヴァ王女とジョーのお茶会が終わりの時間に近付いて参りましたので、そろそろお迎えに行って差し上げなければ。
カレンデュラ伯爵令嬢は「話はまだ終わってなーい!!」と叫んでいましたが、わたくしが無言のまま笑顔で手を振ればグッと口を噤んで頬を染められました。
――いけませんね、もしかしてカレンデュラ伯爵令嬢、本気でわたくしを旦那にと願っていらっしゃるのでしょうか。
幼気な少女の恋心を弄ぶつもりはございません、やはり早急に――エヴァ王女に何とかして頂かなければ。
わたくしは改めて伯爵令嬢に一礼すると、王女とジョーの居る庭園へ向かう事にいたしました。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる