セーブとロードを操る王女、婚約者の勇者が死ぬと同時にループする~クズ勇者が支援係を追放した後死ぬので全力で食い止めざまぁする~

鉄人じゅす

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 ※10回目


「ユート様、ちょっとわたくしとお話しませんか?」

「えっ!? ぼぼぼぼ僕とですか!」

 もはや手段を選んではいられない。

 勇者達がセーブ後1日は王国内で休暇を取るという話を聞いたのでメイド使って呼び出した。

 邪魔が入らないよう私室で私とユート、側にはメイドのソフラを待機させる。
 外がよく見えるテラスに美味しいお茶を用意する。

 緊張して震えているユートに笑顔で話しかける。

「ふふ、緊張なさらなくてもいいですよ。今日は将来の夫である勇者様のことについてお聞きしたかったのです」

「か、カッシュのことですか? 本人に聞けば……」

「そんな本人に聞くだなんてはしたないことできません。ですので同性で仲間であるユート様にお話を聞きたいと思い、お呼びしました」

「そそそ、そういうことですか」

 これでいい。
 ユートは手をもじもじとさせ、顔を紅くし、両目を髪で隠している。
 まったく王国始まって以来の最高の美姫の私相手に照れちゃって……、仕方ないわね。

「ユート様と勇者様の関係はいかがですか? 仲は良いのですか?」

「はい! 僕とカッシュは幼馴染で同じ村で生まれ、育ちました。何というか心が通じ合っているっていうんですよね。魔王討伐する最後まで一緒に戦い抜くと思います。仲良いので追放されることも絶対無いですしね!」

 そんなこと言うユートはすでに10回は追放されているという事実。
 あまりに純真に言うから拍子抜けしてしまった。

「ほんとに、本当に追放されることないんですか? 何か最近不穏なことを言うとか」

「いや、ないですよ。まぁ、旅始まってからあ~! ハーレムパーティ作りてぇ! ユート追い出して女レンジャー欲しいって冗談を言いまくってたくらいです」

「答え出てんじゃねーですか」

「えっ」

 ごほん、言葉が悪くなってしまいました。
 なるほど……勇者はハーレムを作りたいがためにユートを追い出したということね。

 あの勇者バカか。

「わたくしがいるのにハーレムだなんて」

「王女様もハーレム要員にカウントしてるみたいです」

 勝手にするんじゃない!!
 度重なる死とループで勇者に対する愛情が目減りし、憎しみに変わろうとしてるというのに。

 そんな裏側の話を聞かされて……でも次の対策の案は浮かんだわ。
 でも……気になることがある。

「わたくし……勇者様に避けられている気がするのですよね」

 私自身も避けているが勇者も避けている気がする。
 王国始まって以来の最高の美姫の私にもっとがっついてもいいと思うんだけど。

「あはは……」

 ユートはその理由が分かるようで苦笑いをしている。

「理由が分かるのであれば教えて頂けると嬉しいです。夫のことですし……」

「でも、さすがに失礼ですし……」

「ふふ、わたくしは王女ですから。言ってくださいな! 絶対怒らないですから」

「……カッシュはその……巨乳好きなんです」

 怒らないけど殺すか。

 王国始まって以来の最高の美姫の私の唯一の弱点、亡くなった母はそこそこあったのに……なぜ私にはまったくない!
 思えば勇者パーティの3人の女は皆巨乳だったわ。

 私が巨乳でないから愛す気がないっていうの!? あの勇者殺した方がいいか。

「で、でも僕は……王女様がとても魅力的だと思います」

「へぇ、あなた貧乳好きなんですね」

「ち、違います! そういうことじゃなくてぇ」

 ユートはまたもじもじし始めた。
 まったくどいつもこいつも胸で人を判断して……。
 この人だって前髪で目を隠そうとするからいつまで経っても陰湿な感じがするのよ。

 私はテーブルを乗り出し、ユートに近づいた。

「ユート様こそもっと男らしくあるべきです。こう!」

 ユートの前髪をくいっと上へ向けた。

「これっ!?」

 そう……ユートの翠色の瞳はとてもキラキラしていて、大きかった。
 前髪を上げていると幼さを残しつつもとても顔立ちが整っている。

 これは……つまり。

 私好みの美少年だった。

「ユート様の瞳……キラキラして綺麗……。結構好きかも」

「えっ!?」


 ちょっときゅんとしちゃっかも。


 そして時は遡る。
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