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しおりを挟むいつだ……いつだっけ。
前セーブしてからあれして、これして、どうして、4日!
4日遡ってしまったのだ。今回は1日じゃないのでサーロインステーキ地獄が起こることはないが……この4日やってきたことが全てパーになったのは痛い。
悔いている暇はない。
「勇者様、これからどちらへ向かわれるのですか?」
「あはは、王女様、心配されているのでしょうか? 俺達を信じてください」
「言え」
「は、はい。南国の港街の近くに海底遺跡があるという情報を得たのでそこへ行こうかと」
南国の港街。そう遠い所ではない。ここから1日もかからない距離だ。
でもその海底遺跡で殺されてしまうのか。
まずは千里眼で情報収集しないと……ユートを追放するかどうか。それも大事なことだ。
これからセーブするたびにループしちゃうの? 私の精神イカれてしまいそう。
「勇者様、必ず5人。5人揃って帰ってきてくださいね! 誰一人として欠けていけませんよ!」
「暖かいお言葉……。王女様、前のセーブの時より随分疲れているように見えます。何かあったのですか? 俺は勇者です。王女様の悩みを晴らしてあげたい」
「じゃあ死なないでください」
「え」
「ほんと、わたくしが望んでるのはそれだけなので! ほんとですよ!」
「当然です。ですが……魔王討伐は過酷な旅。魔王を倒すために命を落とす可能性もあるでしょう。でもその時は魂を王女」
「だから死ぬなって言ってんでしょうーがぁぁ!」
「アッハイ」
※9回目
「今までの冒険を記録致しました」
「ありがとうございます、王女」
「やっぱ死んだじゃないですか、ヤダーーーーッ!」
「な、何の話ですか!?」
驚いた顔を見せる勇者達。前回の会話を蒸し返す気にもならない。
これ以上勇者達と会話しても無駄なのでさっさと旅に行かせることにした。
だけど……1つだけ条件をつけたの。
海底遺跡に行く前に城へ寄ってセーブしてから行けとお願いした。
やはり4日のループは長すぎる。
そのために1日のループに変更するため、勇者を呼ぶことにした。
我ながらナイス案だ。
「王女様、ただいま参りました。勇者カッシュ、武道家ミナ、魔法使いアリス、聖女カーラ、レンジャースミレの5名です」
「メンバー変わってるじゃないですか!?」
ユートがいない!?
レンジャーのスミレさんって誰だよ!
私は困惑したまま勇者に問いかける。
「ユ、ユート様はどこへ行ったのですか」
「ユートは俺が置いてきました。修行はしたがハッキリ言ってこの戦いについてこれそうにありません」
何言ってんだコイツ。
ユート無しだと死にまくるくせに何をイキっているのか。
「では王女様、セーブをお願いします」
「はぁ……勇者様お願いがあります」
「はい」
「死んでください」
「この前は死ぬなって言ったのに!?」
セーブすると詰みそうだったのでこのまま追い出すことにした。
案の定海底遺跡に向かった5人はそのまま死んでしまい、ループした。
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