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人生をかけたすべてどうでもよくなるくらい【1】
なんかさあ、なんか。絶対、思ってたんと違うんだよ。
次にエドが来たときにはつるつるすべすべの白玉肌になってようと固く決意してたんだけど、いままで荒れに荒れまくったおれの表皮がこんな悪環境で簡単に復活するはずもなくて、まあそれはそうか、当たり前か、ってことで良かったんだ、問題はそれじゃない。
問題ってのは今回は来るなりおれの服をペイって剥ぎ取ったエドが、おれをベッドに押し倒して、からだじゅうにキスしてくるいまの状況な。
え、何これ。まじで何これ。何か言ってくださいお客さん。無言怖いです。
「あの~、エド…?」
獣が怪我したとこを舐めるみたいにキスしてくる。首を絞められた痕、腕を縛られた痕、鞭で打たれた痕、エトセトラエトセトラ。
「ふやけちゃうよぉ。なに、今日は甘えたい気分なん?」
茶化したら何かしら否定の言葉を発するかなと思ったのにそれも無し。無言。
むしろ一瞬おれの顔を見ると、れぇ、と舌を見せつけるように乳首を舐めてきた。そんでちょっと吸われた。心臓がエドの顔の真下できゅーんって鳴った。
「…お疲れのご様子のエドさんに、ミミくんが特別ゴホーシ♡いたしましょーかー?」
なんかもういろいろ耐えられなくなって、そりゃないだろ…ってすぐ後悔するふざけ方をしてしまった。案の定エドからは「何言ってんだこいつ…」って顔されるし。撃沈。
…って思ってたら。
「何してくれんだ」
いつも通りのしずかな声で、まじめな無表情がじっと見つめてくる。なんか、謎に、かあっと顔が熱くなる。
「へ」
「だから、何してくれるんだって」
おれの胸の上から見上げてくる。うわあ。ツラが良い。緩いウェーブのかかった黒髪、きりっとした眉からまっすぐ通った鼻筋、眼ははっきりと鋭くて、透き通って深い、夜明け前の空の青だ。
「え、えと…くちで、しようか…?」
すこし考えるそぶりをしてから、エドは首を振った。くっつけていたからだを起こして、シャツの首元をもうひとつゆるめる。ひらいたところからすげえ色香が立ち昇った。
「それよか、抱きてえ」
はいよろこんでぇ!!!
いかん、おれ、馬鹿になってる。もとから馬鹿だけど。もっと馬鹿になっちまった。
ぜんぶエドのせい。
なんか絶対、思ってたんと違うんだって。カネを払って寝るのって、もっとこう、がっとやって出したら終わり、みてーな。適当にきもちよくなったらいっか、みたいな。カネ払ってんのこっちなんだから売りもんの相手のことなんか道具みたいに使っていいし、みたいな。
この世界に来てからこんなやさしーセックスしてくる奴にはじめて会ったから、なんか謎に感動したんだよな。ほら、なんつーか、すげえ山奥の秘境に民家見つけた、みたいな。でもってそこの民家のひとが謎におれに大御馳走振舞ってくる、みたいな。感じ。
え、なんで?って。若干怖い。
優しくしてくれるんだから何も不都合はないはずなのに、何だろうこの不快感っていうか、いや不快感っていう言葉は強すぎて、何つーか、違和感?
もったいないよ。おれなんか道具みたいに扱っていいのに。エドみたいな、かっこよくて身分も高くて、知らないけどたぶんすげー頭良くて強いんだろうな、からだ鍛えてるし。そういうひとが、おれに優しくする理由がないじゃんか。
エドはすごくちゃんとしてる。セックスは眼線で促してやわこいキスから始めるし、前戯もかなり時間かけるし、いれるときも「痛くないか」「怖くないか」って眼を見て確認してくれるし、余計な力が入ってたら優しくキスして安心させてくれる。
こういうセックスはコイビトどうしでやるもんなのに、セックスってのは誰とやろうがこういうもんだと思ってるんだ。
ちゃんとしてるひとは、ここには向いてない。おれがおかしくなる。
「あっあっ…っあ、はあっ!っもう出るぅっ」
「まだいれただけだぞ」
「らってぇ、っきもちいすぎてっ…っあっ、そこ、やっ、おかしくなっちゃうっ~~~!」
いやとっくにおかしいわ。
だって思ってたんと違うんだもん。がっとやってさっさと出して終わろうぜ。こんなにからだのいろんなとこがくっつく必要ねーじゃん。殴らないにしてもこんなにいっぱいキスする必要なくねえ?
初回は何が何やらって感じで気がついたらめちゃくちゃにきもちよくさせられて半分死にながら「ありゃ何だったんだ…」って呆然となった思い出だけど、抱かれるの二回目になると身構えてたからいちいち深く感じちゃってもう、やばい。しぬ。
次にエドが来たときにはつるつるすべすべの白玉肌になってようと固く決意してたんだけど、いままで荒れに荒れまくったおれの表皮がこんな悪環境で簡単に復活するはずもなくて、まあそれはそうか、当たり前か、ってことで良かったんだ、問題はそれじゃない。
問題ってのは今回は来るなりおれの服をペイって剥ぎ取ったエドが、おれをベッドに押し倒して、からだじゅうにキスしてくるいまの状況な。
え、何これ。まじで何これ。何か言ってくださいお客さん。無言怖いです。
「あの~、エド…?」
獣が怪我したとこを舐めるみたいにキスしてくる。首を絞められた痕、腕を縛られた痕、鞭で打たれた痕、エトセトラエトセトラ。
「ふやけちゃうよぉ。なに、今日は甘えたい気分なん?」
茶化したら何かしら否定の言葉を発するかなと思ったのにそれも無し。無言。
むしろ一瞬おれの顔を見ると、れぇ、と舌を見せつけるように乳首を舐めてきた。そんでちょっと吸われた。心臓がエドの顔の真下できゅーんって鳴った。
「…お疲れのご様子のエドさんに、ミミくんが特別ゴホーシ♡いたしましょーかー?」
なんかもういろいろ耐えられなくなって、そりゃないだろ…ってすぐ後悔するふざけ方をしてしまった。案の定エドからは「何言ってんだこいつ…」って顔されるし。撃沈。
…って思ってたら。
「何してくれんだ」
いつも通りのしずかな声で、まじめな無表情がじっと見つめてくる。なんか、謎に、かあっと顔が熱くなる。
「へ」
「だから、何してくれるんだって」
おれの胸の上から見上げてくる。うわあ。ツラが良い。緩いウェーブのかかった黒髪、きりっとした眉からまっすぐ通った鼻筋、眼ははっきりと鋭くて、透き通って深い、夜明け前の空の青だ。
「え、えと…くちで、しようか…?」
すこし考えるそぶりをしてから、エドは首を振った。くっつけていたからだを起こして、シャツの首元をもうひとつゆるめる。ひらいたところからすげえ色香が立ち昇った。
「それよか、抱きてえ」
はいよろこんでぇ!!!
いかん、おれ、馬鹿になってる。もとから馬鹿だけど。もっと馬鹿になっちまった。
ぜんぶエドのせい。
なんか絶対、思ってたんと違うんだって。カネを払って寝るのって、もっとこう、がっとやって出したら終わり、みてーな。適当にきもちよくなったらいっか、みたいな。カネ払ってんのこっちなんだから売りもんの相手のことなんか道具みたいに使っていいし、みたいな。
この世界に来てからこんなやさしーセックスしてくる奴にはじめて会ったから、なんか謎に感動したんだよな。ほら、なんつーか、すげえ山奥の秘境に民家見つけた、みたいな。でもってそこの民家のひとが謎におれに大御馳走振舞ってくる、みたいな。感じ。
え、なんで?って。若干怖い。
優しくしてくれるんだから何も不都合はないはずなのに、何だろうこの不快感っていうか、いや不快感っていう言葉は強すぎて、何つーか、違和感?
もったいないよ。おれなんか道具みたいに扱っていいのに。エドみたいな、かっこよくて身分も高くて、知らないけどたぶんすげー頭良くて強いんだろうな、からだ鍛えてるし。そういうひとが、おれに優しくする理由がないじゃんか。
エドはすごくちゃんとしてる。セックスは眼線で促してやわこいキスから始めるし、前戯もかなり時間かけるし、いれるときも「痛くないか」「怖くないか」って眼を見て確認してくれるし、余計な力が入ってたら優しくキスして安心させてくれる。
こういうセックスはコイビトどうしでやるもんなのに、セックスってのは誰とやろうがこういうもんだと思ってるんだ。
ちゃんとしてるひとは、ここには向いてない。おれがおかしくなる。
「あっあっ…っあ、はあっ!っもう出るぅっ」
「まだいれただけだぞ」
「らってぇ、っきもちいすぎてっ…っあっ、そこ、やっ、おかしくなっちゃうっ~~~!」
いやとっくにおかしいわ。
だって思ってたんと違うんだもん。がっとやってさっさと出して終わろうぜ。こんなにからだのいろんなとこがくっつく必要ねーじゃん。殴らないにしてもこんなにいっぱいキスする必要なくねえ?
初回は何が何やらって感じで気がついたらめちゃくちゃにきもちよくさせられて半分死にながら「ありゃ何だったんだ…」って呆然となった思い出だけど、抱かれるの二回目になると身構えてたからいちいち深く感じちゃってもう、やばい。しぬ。
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