前々前世オンライン 〜前世スピノサウルスだった私、ラスボス扱いされてて泣きたいけど鳴くしかできないから代わりに全プレイヤーを泣かしてやる

虎戸リア

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【VerΑ編第3章〜大竜星祭】

71話「サーベラスのオンラインオフ会」

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 あれから一週間。

 私とミリーは東京駅で待ち合わせをした。

「こんにちは」
「ミリー! 初めまして? かな?」
「散々オンラインで会ってますしそんな感じしないです」

 それから私達はキャッキャしながら東京の観光名所を練り歩いた。最初はぎこちない敬語を使っていたミリーだけど、途中からいつもの関西弁になっていた。
 ミリーは東京が初めてらしく、目をキラキラさせているのが可愛かった。

「受験やけど、東京の大学にしよかなあ思ってて。今回はキャンパス見学ついでの旅行なんや」

 そう言いながら、目の前でパフェを食べるミリー。
 観光を終えた私達は銀座近くの喫茶店に入って、私達は携帯デバイス使用可の席に座った。

「じゃあ来年は東京?」
「受かったらやけどなあ」
「受かったらいいねー。部屋探しとか引っ越し手伝うよ」
「受かったらやけどな! 勉強全然してへん……」
「ゲームばっかりだったしね」

 私達は少し無言になったあと、時間を確認した。
 約束の時間まで後5分。

「結局、オンラインでのオフ会かー。オンなのかオフなのかわからんな」
「仕方ないよ、蔵人さんは大会? で北海道にいるし、ユーナちゃんは頑なにリアルでの接触はNGって言ってきかないし」
「まあそうなんやけど…【前世】も無期限メンテという名のサービス終了説もあるしなあ……」
「どうなるんだろうね【前世】」
「まあ良い機会だから勉強してるんやけど」
「偉い」

 そうして話しているうちに、16時になった。

「じゃあ、インしよっか」
「うん」

 携帯デバイスをサングラス型に変化させそれをかけた。こうする事でVRオンライン空間へと視覚だけをインさせる事ができるのだ。
 視界の隅には、デバイスに内蔵されたカメラで自身の360度を網羅した映像が映り、完全に周りが見えなくなる訳ではないので、安心だ。

 私達がVRオンライン空間にインして向かってのは【前々前世オンライン】の運営が出店しているVRカフェ【前世カフェ】だ。

 一応ここはまだやっているらしく、【前世】プレイヤーはよくここで集まっているのだとか。

「よお、久しぶりだな」

 見ると、既に蔵人さんとユーナちゃんが店の奥の席に座っていた。蔵人さんが手を上げて、こちらへと声をかけてくれた。

「二人とも久しぶり!」
「おっす!」

 こうして、あのイベントぶりに【サーベラス】が全員集合したのだった。

「じゃあ、祝1位で乾杯!」
「乾杯!」

 私達はそれからそれぞれの近況報告やリアルの話で盛り上がった。

「古武術の大会? 通りで身体動かすの上手やおもたわ」
「VRでの動きとリアルの動きは微妙に違うんだけどな。慣れるとどうってことない」
「結局は脳の動し方だからにゃん。リアルで出来る事はVRでも出来るにゃん」
「ユーナちゃんVR機器とかに詳しいよね~」
「お仕事がそっち系だからにゃん」
「はえ~」

 それから、少しずつ話題は前々前世オンラインへと移っていった。

「早く再開せんかなあ。脳が鈍るわ」
「俺も翼の動かし方を忘れてしまいそうだ。こればっかりはあのゲームでないとな」
「スピちゃんに会いたいなあ」
「……みんな……絶対にここだけの話に出来るにゃん?」

 急に声を潜ませたユーナちゃんがそう言ってきた。
 その言葉に私達3人は訝しながらも頷いた。

 ユーナちゃんが、私達を囲むようにプライベートエリアを張った。
 バリアみたいなのが私達を覆う。こうすることで、外部に情報が漏れないのだ。

「これは……まだ発表されてない情報で、まあリークみたいなもんにゃん。ユーナもに聞いたから、信憑性については保証は出来ないけど……ほぼ間違いない情報があるにゃん」
「絶対誰にも言わへんわ」
「私も!」
「俺も誓おう」
「にゃ。前々前世オンラインだけど……サービス再開の目処は立ってるにゃん。光過敏症発作については再発防止策をハード側ソフト側でかなりやり取りをして、今はもう問題なさそうだにゃん。外部AIアシストツールについても作成者の協力もあって解決しそうだにゃん」

 カクテルを飲んで一息つけたユーナちゃんがまた口を開いた。

「多分、近々日程が発表されるにゃん。ただ、しばらくはイベントみたいな大きな動きは出来ないと思うにゃん」
「そっか……【Day2】とか【Day3】とか楽しみだったのになあ」
「噂によると、イベントではなく新フィールドとして開放されるらしいにゃん」
「なるほど。データはもう作ってあるだろうしな」
「新フィールド! 私達って結局鉱山から先、進んでないもんね」

 なんせ【古竜の寝所】がレベル上げに最適だったので、そこばっかり使っていたのだ。

「のんびり攻略するのも悪くないな! あかんめっちゃ楽しみになってきた!」
「ミリーは勉強もしなきゃダメだよ?」

 私の言葉にミリーが悲しそうな顔をしてうつ伏せになった。

「受験にゃん? どこ狙うにゃん?」
「んーM大学やけど」
「そこ程度ならユーナが勉強教えられるにゃん。蔵人ちゃんも確か大学生だったにゃん?」
「ああ、俺はK義塾大だ。勉強はそれなりにした。というかしないと大会に出させて貰えないからな……」
「賢い!」
「ユーナはどこ大なん?」
「T工大にゃん」
「すご! めっちゃ賢いやん!」
「理数は任せろにゃん。ラノアは……高校生じゃないよね?」
「私は社会人だよ~S女子大卒」

 私の言葉に全員が固まった。あれ?

「おお……もしかして……あの超お嬢様しか入る事が許されないあのS女子大学? 挨拶はごきげんようと噂の!」
「……金持ちか、T大レベルの学力がないと入れないと噂のあそこか」
「全然お金持ちじゃないよ~。勉強は結構得意かも」
「意外すぎるにゃん……いやそうでもないか。多分、脳の使い方が人より上手いんだと思うにゃん」

 ユーナちゃん曰く、勉強もVRも頭の使い方らしい。

「あたし以外みんな賢くてショックや……勝手に同類やと思ってたのにラノアに裏切られた! JKちゃうし!」
「裏切ってないしJKだって言ってないもん! というか気にしなくていいってば~。それとゲームの上手さは別だし。逆に言えばVRであれだけ動かせるんだからきっとミリーも勉強出来るよ」
「……せやな!」
「空き時間に勉強をみんなで教えればいいにゃん」
「お願いします!」

 相変わらず元気なミリーにほっとする。

 何より、前々前世オンラインをまたやれる事に嬉しさがこみ上げてきた。

「よーしじゃあ、私達の再会と、前々前世オンラインの再開を願って、もっかい乾杯!」

 こうして私達は時間が許すまで、オフ会を楽しんだのだった。


☆☆☆

【サービス】前々前世オンライン【再開】 Part877

512 名前:前世は負け犬
サービス再開告知キタ━(゜∀゜)━┥ラ│ノ│ア│  │  │  │万│歳│発│中│中│中│北┝┥北┝━(゜∀゜)━!!!!

513 名前:前世は負け犬
うおおおおおおおおおしかもイベントフィールドを新フィールドとして実装だと!?

514 名前:前世は負け犬
クラゲショックはもういいのか?

515 名前:前世は負け犬
>>514
Vステ公式でも出てるが、ガチガチに制限掛けたからもう起きる要素はないらしい

516 名前:前世は負け犬
>>またサービス再開と共に新フィールドとして新たに、
・【所在地不明の古戦場】
・【デザート・ナイト・フライト】
・【宙に沈みし神の山城】
の3つのフィールドとそれに付随する新要素を実装致します。これに伴いイベント【大竜星祭】は公平性を尊重し【Day1】のみで終了とさせていただきます。第2回も開催を検討しておりますので、ご期待ください。

だとよ。新フィールド3つはやべえな。新要素も気になりすぎる。

517 名前:前世は負け犬
またあの空中戦艦に怯える日々がはじまるのか……

518 名前:前世は負け犬
まじかよ……あのフィールド、イベントだけにしては作り込んでて勿体ないと思ってたんだよなあ

519 名前:前世は負け犬
デザートナイトフライトだけ予想できないな?
砂漠の夜の飛行?

520 名前:前世は負け犬
神の山城で和風系モンス出そうだな。

521 名前:前世は負け犬
イベントはあれで終わりか。まあしゃあないな。

………………

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