例え、私が殺した事実に責任を感じようとも。

紅飴 有栖

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「はい。如月さん!」
レジで会計を済ませた神崎君が私にメロンパンを手渡す。
「ありがとう.....」
「どういたしまして!ほら、早く食べて教室いかないと遅刻しちゃうよ~」
神崎君はそう言いながら私が食べるように促してくれる。ああ、私、すっごく幸せ者だな。
メロンパンの袋を開け、パクっとかぶりつく。
「ん、美味しい~!!!」
そのメロンパンは、程よく甘くて、優しくて、やっぱり幸せの味がした。
神崎君の優しさに触れていると、心の中にあったもやもやが、一気になくなっていくのを感じる。本当は忘れちゃダメなのに、幸せになっちゃダメなのに。
分かっていても、今だけはこの幸福感に浸っていたかった。
幸せの味をかみしめながらメロンパンをほおばる私を、神崎君は静かに優しく微笑んで待っていてくれた。
その優しい笑顔も、声も、きっと私が人を殺して生活していると知れば。きっとすべて向けてもらえなくなるのだろう。それでも今こうして笑いあっていられるのが幸せなのだ。
「食べ終わるのまっててくれてありがとうっ!」
「いえいえ~じゃあ、学校行こうか!」
「うん!!」
そう言って私と神崎君は並んで歩きだした。
秋風が頬を撫でる。まだ暑い日のほうが多いけど、最近は少し寒くなってきたな。
そう思いながら、神崎君の顔を見上げる。
きりっとしているけど優しい目、よくとおった鼻筋、サラサラと風で揺れる髪__
かっこいいな。そう思う。だが、私なんかが恋をしてはいけない気がする。手の届かない優しさだと思う。
「如月さん、どうかした??」
私の視線に気が付いたのか、神崎君がこちらを向く。視線が交わる。
「ど、どうもしてないよっ!!ごめんね!?」
「ふふっいいよいいよ。如月さんは面白いね。」
目が合った瞬間、ドキッとしてしまった。
私なんかが恋をしていいはずがないのに、胸の高鳴りは止められなくて。うるさいくらいにあふれる気持ちも、抑えることは難しかった。
口の中に残るメロンパンの風味が、より一層甘くなったような気がした。
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