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1話「日本支部は問題児だらけ」
しおりを挟む*度々登場する[サンタクロース!]は、場面の転換合図だと思ってください。
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4月上旬のとある暖かい日。桜が舞い散り、小鳥たちが楽しげに歌う道を、スーツに袖を通した一人の女性が、穏やかな風に髪を靡かせながら堂々と歩いている。
女性ーーー園原 小雪は、目的地であるビル前に到着すると、足を止めて顔を上げる。自分より何倍も何倍も背の高いビルを見上げながら、ニッと口角をあげ微笑む。
園原「ふっふっふ...! 今日からついに...ついに始まるんだ!!」
園原「私の、サンタクロース生活が!!」
園原(M)みなさん、こんにちは! 園原 小雪22歳でっす! ついに私も、大学を卒業して社会人となります! 今「大学卒業できたんだね!」って思ったやつにはローキックかましに行くんで、よろしくぅ!
園原(M)え? 小雪ちゃんはどこに就職したのって? んもぉ~! 気になっちゃう? 気になっちゃうよね!! 今から教えてあげるから、まぁ待て待て。
園原(M)...え? 気になんない? いや、気になるでしょ? 気にしろよ。私に興味持てよ。私に興味持って、色々そこからハッピーなイベントが始まるかもしれないでしょ?
園原(M)え? 私とハッピーなイベントを起こしたくないって? そんなこと思った、そこの君!! そこ動くんじゃねぇぞー。今すぐ地獄に叩き落としてやるからなー。
園原(M)げふんげふん。えっとですね...私、園原 小雪は「サンタクロース協会、日本支部」に入社することになったのです。察しの良い方はお気づきでしょう...そう、私はサンタクロースになるのです。あのサンタクロースになるのです。
園原(M)え? サンタクロースって実在するの? そう思った、そこの君。私も、最初はそう思ってたよ。でも、大学で企業説明会に参加した時、隠すことなく堂々と「サンタクロース協会」って看板掲げた会社があったんだもん。説明聞いたら、マジもんのサンタだったんだもん。あれは夢ではなく、ちゃんとしたお仕事だったみたいです。ちなみに、このことは小さい子どもには絶対に言わないでください。小さい子たちの夢は壊さないでください。
園原(M)さてさて、そんなこんな話してる間に、私は会議室に到着! ここから私の社会人第一歩が始まるのだ!! と、言う予定だったのですが...。
日本支部社内の廊下。園原が一人、廊下の真ん中にポツンと立っている。
園原「...やべっ、迷った。」
園原「あれれ? おっかしいなぁ...。確か面接の時に来た第一会議室って、三階にあったはずなんだけど...あれ? 今日の説明会って第一会議室だっけ? 第二会議室だっけ? それとも第三? やばっ、何にも覚えてない。」
園原「誰かに聞いた方がいいんだけども...誰ともすれ違う気配がない。というか、人がいる気配がない。私、今日ここに来るであってるよね? 不安になってきたんだけど...。だ、大丈夫だよね? たまたまいないだけだよね...?」
数ヶ月前、大学院内の食堂。電話を終えた園原が、友の待つ席へとスキップしながら向かっていく。
友人A「おかえり。」
友人B「どうだったの?」
園原「はっはっは! 就職、決まりました~!!」
友人A「おぉ、やったじゃねぇか園原!」
友人B「あんたみたいなバカを雇ってくれるところ、あったんだねぇ。」
園原「おいこら、てめぇ。」
友人C「落ち着けよ。んで、どこに決まったんだよ?」
園原「サンタクロース協会、日本支部です!」
友人達「......。」
園原「あれ? どうしたの?」
友人A「園原、今まで楽しかったよ。ありがとな。」
園原「え?」
友人B「食べられないように気をつけてね。」
園原「え?」
友人C「あそこには、サンタじゃなくてサタンがいるって噂だぞ。お前の人生、お先真っ暗だな。」
園原「......え?」
園原「あぁ...不安になりすぎて思い出したくないこと思い出してしまった...。だ、大丈夫大丈夫! サンタクロースは夢と希望を届ける存在! サタンもブラックサンタもどこにもいないはず! ホワイトな会社、メリークリスマス万歳!!」
園原「あっ、そうだ! 入社のご案内見れば集合場所書いてあるよね! うっかりうっかり! えっと、入社のご案内は~~っと! あったあった!! んっと、集合場所はーーー」
「メェ~!」
園原「ん?」
鞄から入所案内の紙を取り出した園原は、手にした紙よりも下に視線を落とす。毛並みがとても艶々しているヤギが、ジッと園原を見つめている。
ヤギ「メェ~!」
園原「おぉ、ヤギさんじゃないか! こんにちは!!」
ヤギ「メェ~!」
園原「元気にご挨拶ありがとうありがとう! 私は今日からここで働く、園原 小雪っていいます! よろしくお願いします!」
ヤギ「メェ~!」
園原(ん? なんで社内にヤギがいるんだ? トナカイなら、まだわからなくもないけどーーー)
ヤギ「ウメェ~!」
園原「ん? なにがウメェ~の? って、どあぁぁぁ!?!? ちょっ、私の入社のご案内!! こらっ! 吐き出しなさい!! めっ! ぺっ!! 私、まだ集合場所確認してないんだから!!」
ヤギ「サワンナボケェ~!!」
園原「今、触んなって言った!? ボケって言った!? ヤギだよね!? あなたヤギだよね!? あぁぁぁぁ! そんなこんな言ってる間に美味しくいただかれたぁぁ!?」
ヤギ「メェ~!」
園原「待ちやがれ、こんちくしょうがぁぁ!! てめぇだけは許さねぇぇ!!」
「あら?」
園原「ん?」
園原の背後には、スタイル抜群、お胸ボインの美人なお姉さんが立っており、園原を静かに見つめている。美人なお姉さんーーー野薔薇 美礼は園原と目が合うと、ニコッと微笑み軽く頭を下げる。
野薔薇「こんにちは。」
園原「こ、こんにちは!!」
園原(うわぁ...すっごく美人な人だ! スタイル抜群だし、すっごぉい...!)
野薔薇「あなた見ない顔だけど、どなたかしら?」
園原「あ、はい! 私、今日からここで働くことになりました、園原 小雪と申します!! よろしくーーー」
野薔薇「え? 働く?」
園原「え? はい、働きます。」
野薔薇「本当に?」
園原「は、はい。」
野薔薇「はじめまして、園原さん! 私はここで働いてる、野薔薇 美礼よ! これからよろしくね!」
園原「は、はい! よろしくお願いします!!」
園原(M)この時、私は野薔薇さんががっちり握手してきたのは、熱烈な歓迎だと思っていたが...私を逃がさないためであることだと知るのは、後ほどのことである。
園原[サンタクロース!]
野薔薇「ついたわ。ここが今日の集合場所よ。」
園原「ありがとうございます!」
野薔薇「お礼なんていいのよ。可愛い後輩のためなら、なんでもしてあげるわ。これから困ったことがあったら、遠慮なく頼ってね。」
園原「は、はい! ありがとうございます!」
園原(はぁ~! 野薔薇さんって、綺麗だし優しいしスタイルいいし...! この人こそ、パーフェクト女子だよ! 素敵! 最高! なんだけど...。)
園原「あの、野薔薇さん...。」
野薔薇「なにかしら?」
園原「そろそろ、手を離していただいてもよろしいでしょうか...?」
野薔薇「え? あら、ごめんなさい! 後輩ができたのが嬉しくて、つい...うふふ~。」
園原(とか言いつつ、離してくれる気配が全くないんだけど...まぁいいや。)
園原(この扉を開けば、私の社会人生活が...サンタクロース生活が始まるんだ...!)
園原「こんにちは! 私、本日からお世話になるーーー」
「あっ♡ ダメェ♡ こんなところでぇ...♡」
園原「...ん?」
扉を開けた先では、園原の先輩になるであろう男三人組ーーー江野沢 淳太、黒澤 義則、ジェイニー・ノリサワが椅子に座り、目の前に置かれたパソコンをジッと見つめている。
江野沢「くるぞ。こっからが激しいぞ。」
黒澤「いいですねぇ...! この子、なんて名前でしたっけ?」
ジェイニー「ニッポン女子、可愛クて最高デーースッ!!」
園原は、静かに扉を閉めた。
野薔薇「あら、どうしたの? 中に入らないの?」
園原「野薔薇さん、集合場所って本当にここですか?」
野薔薇「ここよ。」
園原「職場内で堂々とAVを見る男三人組がいたんですけど...本当にここであってるんですか?」
野薔薇「見間違いじゃない?」
園原「そ、そうですよね!! 職場で堂々とAVを見るバカなんていないですよね!! では、改めて...。」
園原(この扉を開けば、私の社会人生活が...サンタクロース生活が始まるんだ...!)
園原「こんにちは! 私、本日からお世話になるーーー」
「あぁぁ~~ん♡ ダメぇぇ~♡」
江野沢「いい...!」
黒澤「いいですね...!」
ジェイニー「最高デース...!」
園原はもう一度、静かに扉を閉めた。
野薔薇「園原ちゃん、入らないの?」
園原「園原 小雪、本日をもって退職させていただきます。」
野薔薇「ダーメ♡ 逃がさないんだから♡」
園原「離してぇぇぇ!! こんなところにいたら、なにが起こるかわかったもんじゃありませんよぉぉ!! 今すぐ退職させてくださいぃぃぃ!!」
江野沢「おい、うるせぇぞ。静かにしろ...って、誰だお前?」
野薔薇「江野沢さん、今日からここで働く子ですよ。」
園原「退職します!!」
江野沢「おぉ、そうなのか! よろしくな、新人!!」
園原「私の話を聞いてください!!」
江野沢「しかし、うちのチームに女がくるなんて珍しいな。」
黒澤「えっ!? 女!?」
ジェイニー「大和撫子ハどこデスカ!?」
江野沢を押しのけて勢いよく前へ飛び出してきた黒澤とジェイニーは、マジマジと園原(主に胸)を見つめている。
園原「な、なんですか...?」
黒澤「はぁ...。」
ジェイニー「oh...。」
園原「なんであの人たちは、私を見てため息吐いてるんですか? なんでですか?」
江野沢「というか、新人が来るなら言ってくれよ。知ってれば、こんな出迎えしなかったによ。すまねぇな、いきなり刺激が強すぎるもん見せちまって...おい。」
黒澤「優しい系なら、幼馴染ものはどうです?」
ジェイニー「女子高校生ものモ、なかなか良いデスヨ。」
園原「内容の問題じゃねぇよ! あんたらに問題があるんだよ!!」
園原「はっ!? も、も、もしかして...!」
野薔薇「どうしたの?」
園原「ゆ、友人が言ってたんです...! 日本支部に行ったら、食べられないように気をつけてって...! も、もしかして私は、この人たちに...!?」
江野沢「安心しろよ、新人。お前には、なにもしやしねぇよ。」
園原「本当ですか!? 信じていいんですか!?」
江野沢「おう。だって俺たち、」
黒澤「ちっぱいには、」
ジェイニー「興味アリマセーンッ!」
野薔薇[サンタクロース!]
日本支部の社員である柳 薫は、新入社員の園原が待つ第三会議室へと資料を携えながら歩みを進めている。
第三会議室前へと辿り着くと、中から鈍い音が何度も何度も聞こえてくるのだが、柳は躊躇うことなくスッと扉を開ける。
柳「おーい、そろってるかー? 今日は新人がーーー」
柳の視線に飛び込んできたのは、口や鼻から血を流し、床に倒れ込みピクピクと身体を震わせている江野沢とジェイニー・ノリサワ。
黒澤に馬乗りになり、容赦なく拳の雨を無言で降らせている園原 小雪。
その光景を、止めることなくニコニコと眺めているだけの野薔薇 美礼。
黒澤「ちょっ! 落ち着いぐぼっ!? お願いだからぶぅ!? た、たすけばぶぅ!?」
江野沢「いてぇ...いてぇよ...。」
ジェイニー「に、日本ジョシ...怖くテ恐ろシイ...デェス...。」
柳「...なに、これ?」
野薔薇「あ、柳さん。こんにちは。」
柳「挨拶はいいから、これについて説明してくれる?」
黒澤「ご、ごめんって! げふっ!? ごめんなさっ...あぎゃぁぁ!?」
柳「なんで女の新人が、この時間になってもいるの?」
野薔薇「え? そっち?」
江野沢[サンタクロース!]
第三会議室に集まった六名は、席に座り顔合わせをしている。
野薔薇は園原の隣に座り、手を未だに握りしめ、ニコニコニコニコと園原を見つめている。
園原は、対面に座っている馬鹿な男三人組を冷ややかな目で見つめている。
馬鹿な男三人組は、鼻にティッシュを詰め、園原を冷ややかな目で見つめている。
両サイドの間に腰を下ろしている柳は一つ大きな咳払いをし、ゆっくりと口を開く。
柳「えー、新人がまだここにいてくれている奇跡に感謝して...自己紹介していくぞー。」
園原「すみませんが退職させてください。」
野薔薇「ダーメ♡」
園原「野薔薇さん、いい加減に手を離してください。」
柳「ほら、自己紹介すんぞ。俺は柳 薫だ。よろしくな。」
園原「よ、よろしくお願いします!」
黒澤「よし、次は俺だな。俺は、黒澤 義則。趣味はAV鑑賞だ。よろしーーー」
園原「帰れ。」
黒澤「なんでだ!? 自分に正直で何が悪い!?」
江野沢「バカだな、お前。そんなこと言ったら、女の子がひくってことがわからんのか? いい大人が情けない...。手本を見せてやるよ。」
江野沢「江野沢 淳太、29歳! 特技は、乳首当てーーー」
前方から音もなく飛んできた鞄が江野沢の顔面に衝突する。ドスッという鈍い音を響かせながら、江野沢は椅子ごと後方へと転がり倒れていく。
黒澤「江野沢さぁぁん!!」
園原「すみません。手が滑りました。」
ジェイニー「やれやれデス。あのオ馬鹿たちハ、放っておきマショウ!」
ジェイニー「こんニチハ! 私ノ名前ハ、ジェイニー・ノリサワでース!! 好きナ日本語ハ「ジョシコウコウセイ」デースッ! よろしくお願いシマース!!」
園原「......。」
ジェイニー「Why? なぜ私ハ、ゴミヲ見るような目デ見つめられてるのデスカ?」
黒澤「なんでわかんねぇんだよ、お前。」
江野沢「気持ち悪さしか伝わってねぇぞ。」
園原「野薔薇さん。」
野薔薇「なに?」
園原「なんであの人たちは、大学生のノリなんですか? もしかして、ここは大学だったんですか?」
野薔薇「園原ちゃん、男はいつまでもガキのままなのよ。」
園原「もうやだ、ここ...。まともな男は、柳さんだけ...。」
黒澤とジェイニーはスッと園原の背後に立つと、優しく肩に手を置く。
黒澤「おいおい、そんなこと言うなよ新人。」
ジェイニー「今日カラ、私たちハ仲間デス。楽しくやって行きマショウ。」
園原「触らないでください。汚れます。」
ジェイニー「黒澤サーン、言われテマスヨ。」
黒澤「いや、お前だよ。」
園原「お前らだよ!!」
江野沢「おい新人、お前に一つ教えておいてやろう」
園原「なんですか?」
江野沢「さっきお前は、柳はまともだと言ったな? 柳も俺たちと一緒だぞ。」
柳「お前らと一緒にすんな。」
園原「そうですよ! 柳さんをあなたたちと一緒にしないでください!!」
黒澤「落ち着いて話を聞けって。柳さんにはな、妻と娘がいるんだがな。」
園原「それがどうしたんですか?」
ジェイニー「このヨウニ、娘ノ写真ヲ見せるトーーー」
柳「あぁぁ!! 愛しの蘭ちゃぁぁん!! 愛してるよぉぉぉ!!」
園原「...え?」
江野沢「このように、写真に飛びつきます。」
園原「へ、へぇ...。む、娘思いのいいお父さんですねぇ!」
黒澤「ちなみに、このあとは...。」
柳「ぁぁぁ!! かわいい! かわいいぃぃぃ!! お前は世界一...いや、宇宙一可愛いよぉぉ!! すりすり~♡」
黒澤「このように、写真に頬を擦りつけます。」
園原「む、娘さんのことが、とっっても好きなんですねぇ! いいお父さんだ!!」
ジェイニー「ちなみニ、この後ハ...。」
柳「蘭、愛してるよ...チュ~ッ♡」
ジェイニー「写真ニ、キスをしーーー」
園原「あぁぁ!! それはダメだよ、柳さぁぁん!! それは庇いきれないよ、柳さぁぁぁん!!」
柳「娘の写真見たら、会いたくなった。野薔薇、後は任せた。」
野薔薇「えぇ...。」
園原「ちゃんと仕事してよ、柳さぁぁぁん!!」
園原「もうやだよぉぉぉ!! この職場、まともな人は野薔薇さんしかいないよぉぉぉ!! 野薔薇さぁぁぁん!!」
野薔薇「よしよし。可愛い後輩は、私が守ってあげるからね。」
江野沢「気をつけろよ、新人。そいつも俺らと一緒だぞ。」
園原「野薔薇さんをてめぇらと一緒にするなぁぁぁ!!」
黒澤「そうだな、俺たちよりもヤバイもんな。」
園原「...え?」
野薔薇「ちょっと、変なこと言わないでください。」
ジェイニー「野薔薇ハ男ヲ食いまクル、恐ろしイ女だゼ。」
園原「え?」
江野沢「俺たちも、何度か襲われかけている。」
ジェイニー「でモ、私たちハ野薔薇とはヤッてまセーン!」
黒澤「これからも、ヤりませーん!」
江野沢「なぜなら...俺たちにもプライドがあるからだ!!」
ジェイニー「男ヲ、性欲ヲ満たすためノ道具トしか思ってない奴なんかトハ、絶対ニヤリまセーン!!」
園原「の、野薔薇さん...?」
野薔薇「大丈夫だよ、園原ちゃん。私、どっちもいける人だから♡」
園原「なにが大丈夫なんですか!? 不安しかないんですけど!!」
野薔薇「ねぇ、小雪ちゃんって呼んでもいい? ってか、会った時から思ってたんだけど、すごく可愛いよね。ねぇ、今晩空いてる? 空いてるよね? 空いてなくても、先輩の誘いを断るなんてことするはずないよね? 先輩の命令は絶対だからね。それが社会のルールだからね。うふっ! うふふふふ♡」
園原「嫌だぁぁぁ!! 手を離してぇぇぇ!!」
野薔薇「ダーメ♡ 逃がさないんだから♡」
園原「助けてぇぇぇぇ!!!」
江野沢「おい、野薔薇。新人をいじめるな。」
黒澤「離してやれ。」
ジェイニー「お前ノせいデ新人ガ辞めてしマッタラ、ドウ責任ヲとるンダ?」
園原「いや、野薔薇さんよりもあんたたちの方が辞める理由としては上だからね!?」
野薔薇「邪魔しないでくれる? それとも、あんたたちが私の欲を満たしてくれるの?」
江野沢「誰がビッチのてめぇなんかとヤるか、ボケが!!」
黒澤「俺たちのプライド舐めてんじゃねぇぞ!!」
ジェイニー「舐めるならナァ!! オット、コレ以上ハ止めてオイテあげまスヨ!! ハッハッハ!!」
野薔薇「ち●こも言えないようなナヨナヨ男なんてこっちから願い下げよ。とっとと消えろ、エセ外国人。」
ジェイニー「エ、エセェェェェ!?!? このアバズレ女が!! 言っていいことと悪いことがあるのをしらねぇのかぁ!? 私はエセ外国人ちゃうわ、ボケェェ!!」
江野沢「ジェイニー落ち着け!! 落ち着けよ!!」
黒澤「興奮して日本語が流暢になってるぞ!! 外人とは思えないぞ!!」
ジェイニー「え!? ほんまに!? 嘘やろ!? やばっ!!」
園原「な、なんなんだよ、ここ...問題児ばっかりじゃんか...。友人たちの言う通りだったよ...。ヤバイ奴らばっかり...こんなところ、やめてやーーー」
「失礼します。」
扉をノックする音が室内に響き渡り、全員が扉へと視線を送る。扉が開かれると、そこには白衣に身を包んだ小学生くらいの男の子が姿を現し、ペコリと六人に向かって頭を下げる。
柳「ん? どうした、菊竹?」
菊竹「資料が一冊机の上に置いてあったので、もしかして忘れていったのかなと思いまして、届けに来ました。」
柳「ん? あれ? いち、に、さん...あ、ホントだ。すまん助かる。」
菊竹「どういたしまして。」
菊竹と呼ばれた男の子は軽くぺこりと頭を下げると、園原へと顔を向けてニッコリと微笑む。
菊竹「あなたが、新人の園原さんですね?」
園原「え!? あ、は、はい!! 園原 小雪です!!」
菊竹「はじめまして。僕は菊竹 旬と申します。もし分からないことがありましたら、遠慮せず僕に聞いてくださいね。」
園原「あ、は、はい!」
菊竹「では、僕はまだ仕事があるので。この辺で失礼します。」
菊竹は園原に軽く頭を下げると、背を向けて扉へと歩いていく。扉の前へと辿り着くと、六人に向き直り、もう一度ペコリと頭を下げて、音が鳴らないように静かに扉を閉めて帰っていく。
園原「...え、え!? あ、あの小さい子は誰ですか!? 誰なんですか!?」
江野沢「あの子は、ここで働いてる子だ。」
園原「働いてる!?」
黒澤「色々とわけがあってな。」
ジェイニー「ちなみニ歳ハ、10歳デース。」
園原「10!? 10歳が働いてる...!? 10歳が...!」
江野沢「まぁ、驚くのも無理ないよな。」
黒澤「俺たちも、働くってなった時はビビりましたもんね。」
ジェイニー「10歳ガ働いててもイイナラ、ジョシコウコウセイもココデ働いてイインジャないデスカ?」
園原「か、か、か、か...!!」
柳「ん? どうした?」
園原「かわいいぃぃ~~♡」
江野沢「ん?」
黒澤「え?」
ジェイニー「Wow。」
園原「え!? あんな可愛い子が働いてるんですか!? なんて最高な職場なんですか!? いや、ここは職場じゃない...天国です!! 私は、最高に最高な場所に来てしまった!! やったぁぁぁ! 最高! 日本支部最高!! ショタ最高!! ふぅぅぅぅ!! あぁぁぁぁ!! 可愛すぎて、舐めまわしたいぃぃ~♡」
柳・江野沢・黒澤(ヤバイ奴来たな、おい。)
ジェイニー(やばい奴来たな、オイ。)
野薔薇(M)日本支部は、問題児ばかりです。
応援ありがとうございます!
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