なんでも探偵部!

きとまるまる

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7話「かわいいお花はトゲだらけ②」

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 四人は椅子に座り、新沼の話に耳を傾けている。


間宮「えっと、話をまとめると...一週間くらい前から学校帰りに誰かにつけられていて、でも自分の思い違いだったらって思うと恥ずかしくて誰にも相談できなかった、と?」

新沼「は、はい...。」

張間「いやいや、新沼ちゃんのような可愛い女の子が道を歩いていたら、誰だって声かけたくなるよ。それくらいの可愛さよ? きっと思い違いなんかじゃ...はっ!? 間宮先輩!!」

間宮「え、なに? どうしたの?」

張間「お口ミッフィーモード、解除していいですか?」

間宮「いや、もう喋ってんじゃん。」

張間「おっと、私としたことが! 黙りまーす! ガチャコンッ!」

間宮「......。」

関「新沼くん、誰かに後をつけられるようなことをした...あっ、傑くん。」

間宮「なんですか?」

関「お口ミッフィーモード、解除していいですか?」

間宮「だから、もう喋ってんじゃん。」

関「おっとっと! 私としたことが!! 黙りまーす! ガチャコンッ!」

間宮「...で、話を戻すけど、アホが言っていたようにつけられるような心当たりは...まぁ、あったらこんなところ来てないよね。」

新沼「ごめんなさい、さっぱりわからなくて...。」

間宮「学校の帰りだし、もしかしたら今日もつけてくるかもね。いつも何時くらいに学校を出てるの?」

新沼「部活が終わってからなので、7時近くです。」

関「なるほどなるほど。まぁ何かあってからでは困りますからね。私たちが、あなたの後ろをつけてる奴の後ろをつけてやりましょうか。後ろからつけられるのが、どれだけ怖いことなのかをわからせてあげましょう。」

新沼「ありがとうございます! とても心強いです!」

間宮「部活終わったら、またここに来てくれる?」

新沼「はい、本当にありがとうございます! あっ、で、でも...。」

間宮「もし何もなかったら、何もなかったねで終わるだけだよ。それに、ここの部活暇だから、なにも気にしなくていいよ。新沼さんの困った顔が笑顔に変わるんだったら、僕らなんでもするから。ね?」

新沼「間宮先輩...!」

関「「新沼さんの困った顔が笑顔に変わるんだったら、僕らなんでもするから。ね?」ですって。あ~甘酸っぱいセリフですね~! よくそんなセリフがスラスラと出てきますよね? 張間くん、どうします? あのまま恋が始まってしまったら?」

張間「私、眩しくて見てられません。うぅ...!? め、目が...目がぁぁ!!」

関「張間くん、落ち着きなさい。恋が始まるわけがないじゃないですか。傑くんが好きなのは、二年Cクラスーーー」


 少女マンガが物凄い勢いで関の両の目に向かって飛んでいく。マンガはそのまま凶器と化し、ドスッと鈍い音をたてて目標にぶつかる。関は凶器の勢いに押され、そのまま床へと倒れていく。


張間「部長ぅぅぅ!? しっかりしてくださいぃぃ!!」

新沼「ぶ、部長さんは、大丈夫なんですか...?」

間宮「あの程度じゃ死なないから大丈夫。心配しないで。」

新沼「は、はい...。間宮先輩、本当にありがとうございます。」

間宮「まだお礼を言われるようなことは何もしてないよ。」

新沼「いえ、私の思い違いかもしれない話を真剣に聞いてくださいましたし、優しく接してくれて、嬉しい言葉もかけてくれて...。」

間宮「いやいや、これくらいはーーー」

新沼「...可愛いし...。」

間宮「ん?」

新沼「...あぁ、いぢめたい...♡」

間宮「新沼さん、何か言った?」

新沼「へ? あ、い、いえ! なんでもありません!! で、では、部活が終わったらまた来ます!! 失礼しました!!」


 新沼はぺこりと頭を下げると、慌てるように部室を後にする。


間宮「どうしたんだろ? 大丈夫かな?」

張間「間宮先輩! こちらは大丈夫ではありませんよ!! ほら、見てくださいよ!!」


 関は目を押さえながら、痛みを紛らわそうと必死にゴロゴロと床を転がり回っている。


間宮「5分もしたら何事もなかったかのように起き上がるから、大丈夫大丈夫。」

張間「あぁぁぁ!? ま、間宮先輩ぃぃ!!」

間宮「え、な、なに!? ま、まさか、ちょっとやりすぎたとかーーー」

張間「いえ、お口ミッフィーモード、解除してもいいですか?」

間宮「だーかーらー! もう喋ってんだろうがぁぁぁ!!」

張間「あだだだだ!? ほっぺ引っ張らないでくださいぃぃぃ!!」
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