なんでも探偵部!

きとまるまる

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30話「爪と鼻の伸ばしすぎにはご注意を②」

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 茶色の土が目一杯に広がるグラウンドでは、野球部員の元気で熱い声がそこかしこから響き渡っている。


今本「お~い、悠也ゆうや~!」


 今本は、ベンチの側で女子マネージャーと会話をしていた背の高い男へ呼びかける。悠也と呼ばれた男ーーー鈴田 悠也すずた ゆうやはくるりと振り向き、視界に今本を映すと、一つ大きなため息を吐き出す。


鈴田「やっと来た...。どこ行ってたんだよ、キャプテン?」

今本「探偵部に顔出してた。」

鈴田「あぁね。だからこいつらがここにいるのか。」

関「やぁやぁ、こんにちわ。」

間宮「こんにちわ。」

張間「こんちわぁぁぁっす!!」

間宮「張間さん、うるさいんだけど。」

今本「ふっ...! ふふふふ...! 挨拶、野球部みたいになってる...! 張間ちゃんは、ホント元気...ふふふっ...!」

間宮「あの、今本さん...笑える要素は一ミリもないと思うんですけど...。」

関「彼の笑いをき止めていたダムは、先程崩壊してしまいましたからね。今日一日、ちょっとしたことで笑いますよ。」

鈴田「おいゆき、面倒臭い状態にして持ってくるなよ...。ところで、この子は?」

張間「私は、なんでも探偵部に所属してやす! 一年の張間 彩香と申します! よろしくおねしゃぁぁぁすっ!!」

鈴田(可愛い。とても可愛い。)

今本「ちなみに張間ちゃん、こいつは鈴田 悠也すずた ゆうやっていってね、の鈴田って呼ばれてるから気をつけてね。」

張間「きょ、狂犬!? こんな優しそうな顔立ちをしていらっしゃるお方が、狂犬なんですか!? 人は見かけだけじゃわかりませんね~。」

鈴田「強い肩って書いて強肩だからね? 狂った犬じゃないからね?」

今本「ぶははは~! おもしろっ! めちゃくちゃおもしろ!!」

鈴田「おい健斗けんと、少し黙ってろ。んで、幸たちは何しに来たんだよ?」

関「生意気な一年ルーキーがいるから、その子と勝負してほしいって頼まれましてね。」

鈴田「生意気? あぁ、大賀のことか?」

間宮「その子、今どこにいるんですか?」

鈴田「大賀なら、向こうにあるブルペンで投げ込んでるよ。」

今本「おっけ~。よーし、いくぞ張間ちゃん!」

張間「あいあいさー!!」

間宮「あっ、ちょっ、張間さん! 迷惑かけちゃダメだからね!」

関「あはは~! うちの子たちも、野球部に負けず元気ですね~!」

鈴田「んで、勝負ってなんなの?」

関「ゴールデンルーキーの長っ鼻をへし折ってほしいって言われましてね。」

鈴田「なるほどね。お前、打てるの?」

関「打てる打てない以前に、勝負を断られそうな気がします。健ちゃんは、なにか策があるんでしょうかね~?」

鈴田「なにもないと思うぞ。あいつ、バカだし。」

関「ですよね。とりあえず、私たちも行きましょうか。」
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