30 / 330
30話「爪と鼻の伸ばしすぎにはご注意を②」
しおりを挟む茶色の土が目一杯に広がるグラウンドでは、野球部員の元気で熱い声がそこかしこから響き渡っている。
今本「お~い、悠也~!」
今本は、ベンチの側で女子マネージャーと会話をしていた背の高い男へ呼びかける。悠也と呼ばれた男ーーー鈴田 悠也はくるりと振り向き、視界に今本を映すと、一つ大きなため息を吐き出す。
鈴田「やっと来た...。どこ行ってたんだよ、キャプテン?」
今本「探偵部に顔出してた。」
鈴田「あぁね。だからこいつらがここにいるのか。」
関「やぁやぁ、こんにちわ。」
間宮「こんにちわ。」
張間「こんちわぁぁぁっす!!」
間宮「張間さん、うるさいんだけど。」
今本「ふっ...! ふふふふ...! 挨拶、野球部みたいになってる...! 張間ちゃんは、ホント元気...ふふふっ...!」
間宮「あの、今本さん...笑える要素は一ミリもないと思うんですけど...。」
関「彼の笑いを堰き止めていたダムは、先程崩壊してしまいましたからね。今日一日、ちょっとしたことで笑いますよ。」
鈴田「おい幸、面倒臭い状態にして持ってくるなよ...。ところで、この子は?」
張間「私は、なんでも探偵部に所属してやす! 一年の張間 彩香と申します! よろしくおねしゃぁぁぁすっ!!」
鈴田(可愛い。とても可愛い。)
今本「ちなみに張間ちゃん、こいつは鈴田 悠也っていってね、きょうけんの鈴田って呼ばれてるから気をつけてね。」
張間「きょ、狂犬!? こんな優しそうな顔立ちをしていらっしゃるお方が、狂犬なんですか!? 人は見かけだけじゃわかりませんね~。」
鈴田「強い肩って書いて強肩だからね? 狂った犬じゃないからね?」
今本「ぶははは~! おもしろっ! めちゃくちゃおもしろ!!」
鈴田「おい健斗、少し黙ってろ。んで、幸たちは何しに来たんだよ?」
関「生意気な一年ルーキーがいるから、その子と勝負してほしいって頼まれましてね。」
鈴田「生意気? あぁ、大賀のことか?」
間宮「その子、今どこにいるんですか?」
鈴田「大賀なら、向こうにあるブルペンで投げ込んでるよ。」
今本「おっけ~。よーし、いくぞ張間ちゃん!」
張間「あいあいさー!!」
間宮「あっ、ちょっ、張間さん! 迷惑かけちゃダメだからね!」
関「あはは~! うちの子たちも、野球部に負けず元気ですね~!」
鈴田「んで、勝負ってなんなの?」
関「ゴールデンルーキーの長っ鼻をへし折ってほしいって言われましてね。」
鈴田「なるほどね。お前、打てるの?」
関「打てる打てない以前に、勝負を断られそうな気がします。健ちゃんは、なにか策があるんでしょうかね~?」
鈴田「なにもないと思うぞ。あいつ、バカだし。」
関「ですよね。とりあえず、私たちも行きましょうか。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる