なんでも探偵部!

きとまるまる

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36話「爪と鼻の伸ばしすぎにはご注意を⑧」

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 放課後、日が落ち辺りは暗闇に包まれている。校門前では、間宮がスマホをイジりながら張間たちを待っている。


間宮「...張間さんたち、遅いなぁ。何してんだろ? もう先帰っていいかな...? ってか、まさかあの後守備練習に付き合わされるなんて思ってもなかったよ...。明日絶対に筋肉痛だよ...。」

今本「おっ、間宮くんじゃん。お疲れさ~ん。」

間宮「あっ、今本さん。お疲れ様です。」

今本「今日はありがとね。急だったのに付き合ってもらって。」

間宮「いやいや、僕はなんにもしてないんで、お礼ならあの二人に言ってください。」

今本「確かに。間宮くん知らないうちに三振してたしね。あははは~!」

間宮「ホント力になれなくて申し訳ないです...。」

今本「いやいや、気にしないでって。アレは普通打てないからさ。いや~一年ながらヤバいよね、あいつ。ありゃ高卒でプロ間違いないぞ。」

間宮「大賀くんがプロ選手か...。今本さんは、プロを目指しているんですか?」

今本「まぁね。野球好きだし、指名してくれるところがあるなら野球で飯食っていきたいな~とは思ってる。」

間宮「そうなんですか。夢があるって凄いです。」

今本「間宮くんはないの? 将来やりたいこととか?」

間宮「うーん...まだよくわかんないですね。」

今本「まぁ、そんなすぐに決めなくてもいいと思うよ。夢なんて、ふとした時に決まるもんだって。」

間宮「はい、そうですね。」

今本「ってかさ、今日はびっくりすることだらけだったなぁ~! あの張間ちゃんのお父さんがプロ選手だったなんて! あっははは~! 通りで上手いわけだわ!」

間宮「皆さんに混じっても、違和感なく守備こなしてましたしね...。それに比べて僕は...。」

今本「まぁまぁ、人には得意不得意があるんだから。そう落ち込まない方がいいぞ。」

間宮「そ、そうですよね。」

今本「......。」

間宮「あ、あの...どうしました?」

今本「間宮くん、やっぱり変わったよね。」

間宮「え?」

今本「君だけじゃなくて、あいつもだけど。変わったってよりは成長したって言ったほうがいいのかな? どうなんだろ?」

間宮「自分自身、実感はないんですけど...そうなんですかね?」

今本「うーん...ごめん、やっぱりわかんないわ! 自分で言ったくせに、何言ってんだろうな? ふっ...ふふふ...!!」

間宮「あ、あははは~...。」

今本「んじゃ、そろそろ俺は帰るわ! 間宮くんも早く帰りなよ~!」

間宮「はい、お疲れ様です。」

今本「あっ、そうだ。一つだけお願いしてもいい?」

間宮「はい、なんですか?」

今本「幸に「最高にカッコよかったぜ。」って伝えといて。」

間宮「それは、自分で伝えた方が...。」

今本「いや、自分で言うのはなんか恥ずかしいじゃん?」

間宮「僕も恥ずかしいんですけど!?」

今本「あははは! でも、間宮くんだってカッコよかったって思うでしょ?」

間宮「...ま、まぁ...少しは。」

今本「んじゃ、君の気持ちも同時に伝えられるチャンス!ってことで、よろしくね~!」

間宮「あっ、ちょっ...! あぁ...どうしよう...? カッコいいとは思ったけどさ...本人には言いたくない...。」

張間「間宮せんぱーい!!」

間宮「あっ、やっときた...って、その大量のお菓子はなに?」

張間「野球部の人たちに、購買部で買ってもらいました! いいでしょう!?」

間宮「よかったね。お礼はちゃんと言った?」

張間「言いましたよ! 頭も、180度くらい下げてきました!」

間宮「下げすぎだよ。もう少し上げろ。」

張間「ところで、さっき一緒にいたのはショートさんですよね!? 何話してたんですか!?」

間宮「別に、何にもないよ。」

張間「教えてください! 教えてくれないなら、お菓子あげませんからね! いいんですか!?」

間宮「いらないので教えません。」

張間「えぇ~! 嫌です嫌です、お菓子あげるから教えてください~!!」

間宮「はぁ...張間さんは、いつになっても元気だな...。」

関「おやおや、楽しそうですね~! 私も混ぜてくださいよ。何を話しているんですか?」

間宮「なんで部室の鍵を返しに行ったはずのあんたが、校門前から現れるんですか?」

関「東咲とうしょう高校、七不思議の一つですよ。」

張間「部長、聞いてくださいよ! 間宮先輩が、ショートさんと話してたことを教えてくれないんです! これはきっと、私たちの良いところを10個、20個...いや、30個言っていたはずです!」

間宮「お前のポジティブ、限界突破しすぎだろ。」

関「それは気になりますね~! さぁ傑くん、恥ずかしがらずに言ってください。」

張間「言ってください! はい、どうぞ!」

間宮「お疲れ様でした、お先に失礼します。」

張間「あっ、ちょっと! 間宮先輩、待ってくださいよ!」

関「ほらほら、逃げずにちゃんと答えてくださ~い!」

間宮「ついてくんな、バカコンビがぁぁ!」
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