なんでも探偵部!

きとまるまる

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35話「爪と鼻の伸ばしすぎにはご注意を⑦」

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大賀「...嘘...だろ...?」

甲柱「初球で...。」

関「うーん、流石にホームランは無理でしたね。まぁでも、今回は塁に出れば勝ちということでしたし...これで勝負アリですね。」

張間「うおぉぉぉ!! すごい!! すごいですよ、部長~~!!」

今本「あははは! マジで打ったよ! やっぱ、さすがだわ~!」

野球部員A「前から思ってたけどさ...なんであいつ、野球部じゃないの...?」

野球部員B「しらねぇよ...俺に聞くな...。」

野球部員C「これが天才ですか...。」

大賀「ま、まぐれだ、まぐれ! こんなの、まぐれに決まってんだろ! もう一回勝負しろや!」

関「私は別にいいですけど...いくら勝負しても、遊びでしか野球したことない人に、初球痛烈なレフト前ヒット打たれたって記録は、ずっと残りますよ。」

大賀「ぐっ...!」

関「下手したら、もっと酷い経歴が付いちゃうかもしれませんよ? それでもいいんですか?」

大賀「ぐっ...く、くっそぉぉ!」

甲柱「あの、ホントに野球は遊びでしかしたことないんですか...? そうは思えないんですが...?」

関「打てたのには、ちゃんと理由がありますよ。まずは、うちの部員がしっかり何度も粘ってくれたおかげで、球の軌道、速さに目が慣れたこと。あとは...彼は自信家ですし、初球は真っ直ぐで来るってわかってたので。ですから、張間くんが三球三振したり、初球変化球でこられてたら、今の展開も変わってましたよ、きっと。」

甲柱(目が慣れたって...たった数球だぞ...? マジかよ、この人...。)

大賀「くそっ! クソクソクソクソッ!! なんでだよ、クソがぁぁ!!」

今本「おいおい、マウンドに八つ当たりすんなよ。そこは投手にとって大事な場所だろ?」

大賀「わかってるよ、んなこと!」

今本「いや~しかし、綺麗に打たれたな~。ホント綺麗に...ふっ、ふふふ...! スパッーンと...!」

大賀「うるせぇぇ!! 笑ってんじゃねぇぞ!」

今本「まぁでも、これでお前もわかっただろ?」

大賀「なにがだよ!?」

今本「俺が守備についてたら、お前の勝ちだったって。」

大賀「...は?」

今本「ホームランならどうしようもないけど、アレくらいなら捕れたな。つまり、俺がいたらアウトだったってことだ。」

大賀「...あんた、何言ってんだ? あれが捕れるわけねぇだろ。あの打球速度、定位置から届くわけねぇだろうが。デタラメ言ってんな。キャプテンのくせに、そんなこともわかんねぇのかよ。そんなんで、よくキャプテンやってんな。」

今本「なんで捕れないって言い切れるんだ?」

大賀「は? だからーーー」

今本「お前、俺の守備範囲知ってんの?」

大賀「......。」

今本「自分のことばっかりで、俺のことなんも知らねぇだろ? 俺だけじゃない、悠也のことも、あそこでギャーギャー騒いでた先輩たちのことも、何一つ知らないだろ? それなのに人のこと、とやかく言うんじゃねぇよ。」

大賀「......。」

今本「「野球は一人でやるもんじゃない。」お前は一番大事なこれを忘れてるみたいだったから、今回勝負させたんだよ。よくわかっただろ? 守備陣の大切さが。自分の周りを守ってくれてる奴らが、どれだけ心強い奴らなのかってことをさ。」

今本「まぁ、今回は負けたけど...安心しろ。これから先の勝負は、俺たち心強い先輩たちが守備についてるから、どれだけ打たれようが、全部アウトにしてやるからよ!」

大賀「...うるせぇ。」

今本「いや、ここは「ありがとうございます」とか言うところじゃないの? お前はホント...ホントに...生意気な...ふふふっ...!」

大賀「なんで笑ってんだ、てめぇは!? 笑うポイントどこにもなかっただろうが!!」

今本「まぁまぁ、落ち着けよ。つーことで、これからは先輩たちともしっかりちゃんとコミュニケーションとって、甲子園目指して頑張ろうぜ!」

大賀「...あんた、綺麗にまとめようとしてるけど、今回俺に勝負ふっかけた理由、俺の鼻をへし折るとかだっただろうが。なに美談にしようとしてんだよ?」

今本「...あれ? そうだっけ?」

大賀「てめぇが最初に言ったことだろうがぁぁ!! 自分の言葉に責任持ちやがれ!! そんなんでキャプテンしてんじゃねぇぞ! 今すぐ辞めちまえ!!」

今本「だははは~! 俺も辞めた方がいいと思うわ! キャプテンって柄じゃないし! あっはははは~! ひぃ~お腹痛い...!」

大賀「自分で言うなぁぁぁ!!」

関「やれやれ、健ちゃんはいつも通りですね。さてと...やぁやぁ、君たちの未来を守った英雄が帰ってきましたよ~!」

野球部員A「張間ちゃんは、ポジションどこが好き? ちなみに俺は捕手キャッチャーだよ。」

野球部員B「俺は二塁手セカンドだよ。」

野球部員C「俺は一塁手ファーストです。」

張間「ポジションは全部好きですよ! それぞれに良さがありますからね!」

野球部員A(皆、平等に扱ってくれる...!)

野球部員B(可愛いし、優しい心も持ち合わせている...!)

野球部員C(彼女こそ、天使だ...!)

関「あの~私、強大なプレッシャーを跳ね除け頑張ったんですけど? あなたたちのために頑張ったんですけど? 温かい言葉一つもないんですか?」

間宮「先輩、お疲れ様です。」

関「やっぱり、私のことを理解してくれるのは傑くんだけですね。どうです? 友情をもっと深めるためにも、今からキャッチャーボールしまーーー」

間宮「遠慮しておきます。」

関「そんな食い気味で断らなくても...先輩悲しい。」

野球部員A「プロ野球チームはどこが好きなんだい? ちなみに俺は、スパイダーズ。」

野球部員B「俺は、ドルフィンズ。」

野球部員C「モンキーズです。」

張間「うーん...私は、アリゲーターズですかね! お父さんが所属してるチームですから!」

張間以外「「......ん?」」

張間「ん? どうしました?」

大賀「お前、今何つった?」

張間「え? なにが?」

今本「もしかしてなんだけど...張間ちゃんのお父さんって...?」

張間「はい、プロ野球選手ですよ! 今は、もう引退してコーチしてますけど。あっ、野球部の人ならわかりますか!? 張間 彰文はりま あきふみって人なんですけど! まぁ、全然ホームラン打たない地味な選手なんで、印象ないかもしれませんけどね。」

張間以外「「......。」」

張間「あれ、どうしたんですか? やっぱり知りませんか? はぁ、やれやれ...だからあれほどホームランを打てとーーー」

張間以外「「えぇぇぇぇぇ!?!?」」
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