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34話「爪と鼻の伸ばしすぎにはご注意を⑥」
しおりを挟む大賀「ぶっ! だはははは!! ダッセェ~!! てめぇの負けだ、バーーカッ!!」
張間「てめぇ、こんちくしょうがぁぁ!! 真っ直ぐで勝負しろや、真っ直ぐで!!」
大賀「負け犬がキャンキャン吠えてんじゃねぇぞ!! とっとと帰れ!!」
張間「うるせぇぇ!! もう一打席勝負しろやゴラァァ!!」
大賀「するわけねぇだろ、バーカ! とっとと帰れ、負け犬!!」
今本「あらら、張間ちゃん負けちゃった。」
関「傑くん、彼女を連れ戻してきてください。」
間宮「はいはい...。」
関「いや~それにしても、鋭い落ち方しましたね。」
今本「だろ? あれはわかってても、なかなか打てねぇよ。」
関「しかもまだ一年生...先が恐ろしいですね~。」
今本「なぁ~。同じチームでマジで良かったわ、俺。」
野球部員A「呑気に話してる場合か、お前らぁぁ!!」
野球部員B「あとワンアウトでゲームセットだぞ!? 俺たちの人生もゲームセットだぞ!?」
野球部員C「幸ぃぃぃ! アウトになった瞬間に、お前の人生もゲームセットにしてやるからなぁぁ!!」
関「応援するなら、もうちょっと温かい言葉をかけてくれませんか?」
間宮「先輩、連れ戻してきましたよ。」
張間「ガルルルルゥ!!」
関「ありがとう、傑くん。張間くんも、お疲れ様でした。」
張間「部長、すんませんでした! この張間 彩香、一生の不覚...! 煮るなり焼くなり、好きにしてください...!」
間宮「三振した罪、重すぎるだろ。」
関「いやいや、張間くんがいっぱいファールして粘ってくれたおかげで、目が慣れましたよ。ありがとうございます。では、行ってきます。」
関は張間の頭をポンポンと軽く叩くと、金属バットを手にして、ゆっくりとバッターボックスに向かっていく。
張間「部長~! 頑張ってください~! 仇とってくださ~い!」
野球部員A「幸ぃぃぃ!! わかってんだろうなぁぁ!?」
野球部員B「打てよぉぉぉ!! 絶対に打てよぉぉぉ!」
野球部員C「打ってもアウトになったら、張り倒すからなぁぁぁ!!」
関「あははは~! あなたたちの全裸が見たいので、三振しちゃいましょうかね~?」
野球部員たち「「火炙りにすんぞ、てめぇぇぇ!!」」
張間「よーし! 部長が打てるように、大きな声で応援しましょう! 間宮先輩も、応援しますよ!」
間宮は張間の言葉に反応することなく、ジッと関の背中を見つめている。
張間「間宮先輩? どうしたんですか?」
間宮「え? あっ、いや、なんでもない!」
張間「なんでもないなら、応援しますよ! さぁ、皆さんも一緒に! 声出していきましょ~!」
野球部員たち「「はーい!!」」
大賀「あいつら、もうすぐ全裸になるってのに呑気なもんだぜ。んじゃまぁ、パパッと終わらせて、先輩たちのアホ面でも拝みましょうかね~!」
関「よろしくお願いします。」
関はバッターボックス前でぺこりとお辞儀をし、打席に立ちバットを構え、大賀を真っ直ぐ見つめる。
甲柱(この人、雰囲気あるな...。ホントに素人なのか? 一度様子見するか...? いや、ダメだダメだ、飲み込まれるな。強気でいけ。あいつも落ち着いてきたし、ガンガン攻めてった方がいい。)
二人はサインを確認し合う。確認が終わると、甲柱は一度ミットを拳で叩き、気合を入れ直す。
甲柱(張間ちゃんに粘られたのは予想外だったが、おかげで温まっただろ? 初球からガンガン飛ばしていけ...!)
大賀(三球三振で、仕留めてやるよっ...!)
大賀は勢いよく腕を振り下ろす。ボールは唸りをあげながら、真っ直ぐミットへと吸い込まれていく。
大賀「...は?」
金属の甲高い音が耳に届くと、大賀が反応できないほどの速度でボールが右横を抜けていく。
目を大きく見開いた大賀が、ゆっくりと打球の後を追うように後ろを振り向く。三遊間を抜けたボールは、勢いよくレフト奥へゴロゴロと転がっていった。
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