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33話「爪と鼻の伸ばしすぎにはご注意を⑤」
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張間はバッターボックスの横まで駆けて行くと、ペコリと礼儀正しくお辞儀をする。
張間「よろしくおねしゃぁぁすっ!!」
甲柱(礼儀正しいな、こいつ。)
鈴田(可愛い。)
野球部員A「頑張ってね、張間ちゃ~ん!」
野球部員B「もし三振しても、僕たちは全然怒らないから、気楽にね~!」
野球部員C「野球は、とっても楽しいスポーツだよ~!」
間宮「僕たちとは、真逆と言っていいほどの反応ですね。」
関「これが男と女の差ですよ。悲しくなってきますね。」
今本「あははは! 面白い! めちゃくちゃ面白い!!」
張間「しゃぁぁ! こいや、おらぁぁ!!」
大賀「うるせぇ! 少し黙れや!!」
張間「てめぇの方が何倍もうるせぇぞ、ゴラァァ!! とっとと棒球投げてこいや!!」
大賀「誰の球が棒球だゴラァァ! ぶつけんぞ、てめぇ!!」
甲柱「おい、雄太。ぶつけたらランナー出したことになるから、負けになるぞ。いいのか?」
大賀「んなこと知ってるわ!! 挑発だよ、わかれや!!」
鈴田「プレイッ!」
張間「しゃぁぁ! かかってこぉぉい!」
甲柱(勢いはいいけど、まぁ打てないだろ。ど真ん中ストレートで。張間ちゃんには悪いけど、力の差を見せつけてやれ。)
大賀(けっ! 女が俺の球を打てるわけねぇだろうが。舐めてんじゃねぇぞ。一発ビビらせてやる...! 無様に...のけ反れやぁぁ!!)
大きく振りかぶった大賀の腕から、ボールが唸りをあげて張間の身体スレスレのコースへ真っ直ぐ伸びていく。
甲柱(バッ...あいつ...!)
張間「どっこい...しょぉぉぉ!!」
インコースへ伸びてくるボールに、張間はビビることなく肘を抜きバットを振り抜く。
甲高い金属音がグラウンドに響き渡ると、金属バットと衝突したボールは、勢いよく張間の左側方向へと飛んでいく。
大賀「...は?」
甲柱「マジかよ...。」
鈴田「えぇ...。」
張間「ちぃ! ファールか...!」
間宮「あ、あの...張間さん、打ったんですけど...。」
関「ファールでしたけど、あの反応はまぐれではなさそうですね。」
今本「あははは!! やっぱり張間ちゃん、最高すぎるわ!! 腹よじれて死にそう!!」
張間「しゃぁぁ! どんどんこいやぁぁ!」
大賀(ま、マジかよ、こいつ...! い、いや、まぐれだ、まぐれ! 俺の球が女に打てるわけねぇだろ! 一回のまぐれで、喜んでんじゃねぇぞぉ!!)
大賀は、二球目を投げ放つ。
張間「よいしょぉぉ!!」
鈴田「ファール!」
三球目。
張間「はいやぁぁ!」
鈴田「ファール!」
四球目。
張間「おりゃぁぁ!!」
鈴田「ファ、ファール!」
五球目。
張間「むっ!」
鈴田「ボール!」
張間「ふぅ、危ない危ない。振るところだった。」
甲柱(マジかよ、こいつ...。)
野球部員A「あ、あの...幸くん? あの子は、何者なの...?」
野球部員B「大賀の真っ直ぐは、MAX140後半出るって話なんだけど...なんで、あの子当てられてるの...?」
野球部員C「ってか、スイングめちゃ綺麗だし...あの子、俺より上手くね?」
関「私も、すごく驚いてますよ。張間くん、野球できる子だったんですね。」
間宮「あれは野球できるってか、野球部ですよ...。なんであの速い球打てるの...? 何でなの...?」
今本「ボール球もちゃんと見極めてるし、すごいな。選手やりたいって言ってただけあるわ。ふっ...ふふふ...! めちゃ面白い...!」
大賀「このっ...!」
張間「むっ!」
大賀の放ったボールが、高めに構えられていた甲柱のミットに収まる。
大賀「よっしゃ、見逃し三ーーー」
鈴田「ボールッ!」
大賀「はぁ!?」
張間「ふぅ、危ない危ない。」
大賀「おい、クソ審判! 今のどこがボールなんだよ!? 目ん球腐ってんのか!? 女だからって甘い判定してんじゃねぇぞ!」
鈴田「黙れぇ! 俺がルールブックだ!! つべこべ言うんじゃねぇ!!」
大賀「ぐっ...! こ、このぉ...!」
野球部員A「いいぞ、張間ちゃーーん! いけいけー!」
野球部員B「可愛すぎる野球少女として、全国お茶の間のアイドルになれるよー! トップスターだよー!」
野球部員C「野球の神様とは、君のことだよー! うちのチームにも、僕にも振り向いてー!」
大賀「うるせぇぞ、外野!! 気ぃ散るから黙ってろや!!」
野球部員A「んだとてめぇ、大賀このやろうがぁぁ! 先輩に向かって黙ってろとはどういうことだぁぁ!!」
野球部員B「それに、俺たちは内野だバカやろぉぉ!」
野球部員C「先輩たちのポジションくらい覚えとけや、この野郎がぁぁ!!」
間宮「今の外野はポジションのことではないと思いますよ!?」
甲柱(あのバカ、完全に頭に血が上ってるな...。落ち着かないと、マジでヤバイぞ。)
甲柱(ってか、張間ちゃんすごいな。振り遅れてるとはいえ、バットには当ててるし、際どい球もしっかり見極めてる...。女だからって舐めてた。)
甲柱(...はぁ、なにやってんだ俺は? 相手を舐めるなんて、何様だよ? いつの間にか、俺も調子乗ってたな...。ありがとう、張間ちゃん。大切なこと、思い出させてくれて。)
大賀(ん? ...はぁ!? マジかよ!? 女相手に投げるわけねぇだろうが! 真っ直ぐ一本で大丈夫だわ!)
甲柱から出されたサインに、大賀はブンブン首を横に振るが、甲柱はピクリとも動くことなく、サインを出し続けている。
大賀(だぁぁ! もう、わかったってぇの! 投げりゃいいんだろ、投げりゃ!)
甲柱(どんどんタイミングもあってきてるし、あいつは頭に血が上ってるし...一度打たれた方がいいのかもしれないが...あいつの負けは俺の負けでもある。悪いけど、俺は負けたくはない...!)
大賀「無様に...空振れぇぇ!!」
張間(キタキタァァ!!)
張間「絶好ーーー」
張間は地面を踏みしめ、勢いよくバットを振るう。が、ボールは張間が振ると同時にググッと地面に向かって鋭く落ちていく。
バットは見事に空を切り、張間は勢いを殺しきれずに「きゅぅぅううぁぁぁぁ!?!?」と言いながらその場でグルグルと回転し、大きく尻もちをついて倒れ込む。
張間「よろしくおねしゃぁぁすっ!!」
甲柱(礼儀正しいな、こいつ。)
鈴田(可愛い。)
野球部員A「頑張ってね、張間ちゃ~ん!」
野球部員B「もし三振しても、僕たちは全然怒らないから、気楽にね~!」
野球部員C「野球は、とっても楽しいスポーツだよ~!」
間宮「僕たちとは、真逆と言っていいほどの反応ですね。」
関「これが男と女の差ですよ。悲しくなってきますね。」
今本「あははは! 面白い! めちゃくちゃ面白い!!」
張間「しゃぁぁ! こいや、おらぁぁ!!」
大賀「うるせぇ! 少し黙れや!!」
張間「てめぇの方が何倍もうるせぇぞ、ゴラァァ!! とっとと棒球投げてこいや!!」
大賀「誰の球が棒球だゴラァァ! ぶつけんぞ、てめぇ!!」
甲柱「おい、雄太。ぶつけたらランナー出したことになるから、負けになるぞ。いいのか?」
大賀「んなこと知ってるわ!! 挑発だよ、わかれや!!」
鈴田「プレイッ!」
張間「しゃぁぁ! かかってこぉぉい!」
甲柱(勢いはいいけど、まぁ打てないだろ。ど真ん中ストレートで。張間ちゃんには悪いけど、力の差を見せつけてやれ。)
大賀(けっ! 女が俺の球を打てるわけねぇだろうが。舐めてんじゃねぇぞ。一発ビビらせてやる...! 無様に...のけ反れやぁぁ!!)
大きく振りかぶった大賀の腕から、ボールが唸りをあげて張間の身体スレスレのコースへ真っ直ぐ伸びていく。
甲柱(バッ...あいつ...!)
張間「どっこい...しょぉぉぉ!!」
インコースへ伸びてくるボールに、張間はビビることなく肘を抜きバットを振り抜く。
甲高い金属音がグラウンドに響き渡ると、金属バットと衝突したボールは、勢いよく張間の左側方向へと飛んでいく。
大賀「...は?」
甲柱「マジかよ...。」
鈴田「えぇ...。」
張間「ちぃ! ファールか...!」
間宮「あ、あの...張間さん、打ったんですけど...。」
関「ファールでしたけど、あの反応はまぐれではなさそうですね。」
今本「あははは!! やっぱり張間ちゃん、最高すぎるわ!! 腹よじれて死にそう!!」
張間「しゃぁぁ! どんどんこいやぁぁ!」
大賀(ま、マジかよ、こいつ...! い、いや、まぐれだ、まぐれ! 俺の球が女に打てるわけねぇだろ! 一回のまぐれで、喜んでんじゃねぇぞぉ!!)
大賀は、二球目を投げ放つ。
張間「よいしょぉぉ!!」
鈴田「ファール!」
三球目。
張間「はいやぁぁ!」
鈴田「ファール!」
四球目。
張間「おりゃぁぁ!!」
鈴田「ファ、ファール!」
五球目。
張間「むっ!」
鈴田「ボール!」
張間「ふぅ、危ない危ない。振るところだった。」
甲柱(マジかよ、こいつ...。)
野球部員A「あ、あの...幸くん? あの子は、何者なの...?」
野球部員B「大賀の真っ直ぐは、MAX140後半出るって話なんだけど...なんで、あの子当てられてるの...?」
野球部員C「ってか、スイングめちゃ綺麗だし...あの子、俺より上手くね?」
関「私も、すごく驚いてますよ。張間くん、野球できる子だったんですね。」
間宮「あれは野球できるってか、野球部ですよ...。なんであの速い球打てるの...? 何でなの...?」
今本「ボール球もちゃんと見極めてるし、すごいな。選手やりたいって言ってただけあるわ。ふっ...ふふふ...! めちゃ面白い...!」
大賀「このっ...!」
張間「むっ!」
大賀の放ったボールが、高めに構えられていた甲柱のミットに収まる。
大賀「よっしゃ、見逃し三ーーー」
鈴田「ボールッ!」
大賀「はぁ!?」
張間「ふぅ、危ない危ない。」
大賀「おい、クソ審判! 今のどこがボールなんだよ!? 目ん球腐ってんのか!? 女だからって甘い判定してんじゃねぇぞ!」
鈴田「黙れぇ! 俺がルールブックだ!! つべこべ言うんじゃねぇ!!」
大賀「ぐっ...! こ、このぉ...!」
野球部員A「いいぞ、張間ちゃーーん! いけいけー!」
野球部員B「可愛すぎる野球少女として、全国お茶の間のアイドルになれるよー! トップスターだよー!」
野球部員C「野球の神様とは、君のことだよー! うちのチームにも、僕にも振り向いてー!」
大賀「うるせぇぞ、外野!! 気ぃ散るから黙ってろや!!」
野球部員A「んだとてめぇ、大賀このやろうがぁぁ! 先輩に向かって黙ってろとはどういうことだぁぁ!!」
野球部員B「それに、俺たちは内野だバカやろぉぉ!」
野球部員C「先輩たちのポジションくらい覚えとけや、この野郎がぁぁ!!」
間宮「今の外野はポジションのことではないと思いますよ!?」
甲柱(あのバカ、完全に頭に血が上ってるな...。落ち着かないと、マジでヤバイぞ。)
甲柱(ってか、張間ちゃんすごいな。振り遅れてるとはいえ、バットには当ててるし、際どい球もしっかり見極めてる...。女だからって舐めてた。)
甲柱(...はぁ、なにやってんだ俺は? 相手を舐めるなんて、何様だよ? いつの間にか、俺も調子乗ってたな...。ありがとう、張間ちゃん。大切なこと、思い出させてくれて。)
大賀(ん? ...はぁ!? マジかよ!? 女相手に投げるわけねぇだろうが! 真っ直ぐ一本で大丈夫だわ!)
甲柱から出されたサインに、大賀はブンブン首を横に振るが、甲柱はピクリとも動くことなく、サインを出し続けている。
大賀(だぁぁ! もう、わかったってぇの! 投げりゃいいんだろ、投げりゃ!)
甲柱(どんどんタイミングもあってきてるし、あいつは頭に血が上ってるし...一度打たれた方がいいのかもしれないが...あいつの負けは俺の負けでもある。悪いけど、俺は負けたくはない...!)
大賀「無様に...空振れぇぇ!!」
張間(キタキタァァ!!)
張間「絶好ーーー」
張間は地面を踏みしめ、勢いよくバットを振るう。が、ボールは張間が振ると同時にググッと地面に向かって鋭く落ちていく。
バットは見事に空を切り、張間は勢いを殺しきれずに「きゅぅぅううぁぁぁぁ!?!?」と言いながらその場でグルグルと回転し、大きく尻もちをついて倒れ込む。
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