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80話「好きと好き③」
しおりを挟むお昼休憩となり、ザワザワと騒がしくなり始めた1-Bの教室内。
西田「......よし。は、張間さん!」
結局、いい案は思い浮かばず、狗山から伝授されたパワープレーを実行するため、西田は不安になりながらも張間に声をかける。
張間は予想通り、呼びかけに応えることなく、目を合わせることなく、スッと立ち上がりスタスタと教室を出て行く。
狗山「あいつら、大丈夫っすかね...?」
張間を追いかけて教室を出ていった西田の背を見つめながら、狗山は心配そうにボソリと呟いた。
ーーー
西田「張間さん、待ってよ!」
人通りのない廊下に、西田の声が響く。張間は呼びかけに応えることなく、足早に廊下を歩いていく。
西田「張間さんってば!」
張間「...こないで。」
西田「張間さん!」
張間「こないで!!」
立ち止まり、背を向けたまま言い放つ。想像もしていなかった大きな声に、西田は慌ててその場に立ち止まる。
張間「お願いだから、話しかけてこないで...。」
西田「...僕、何かしちゃったかな?」
張間「......。」
西田「気づかないうちに、張間さんを傷つけちゃったのかな...? だから、避けられてるのかなって...。そうだったのなら、ごめん...。」
張間「...西田くんは、なにも悪くないよ。ごめん...少しの間、話しかけないで。」
西田「張間さん...。な、なにか困ってることがあるなら、相談に乗るよ! なんでもいいからさ! 僕にできることがあればーーー」
張間「ごめん。私...どうしたらいいか、わかんない。」
西田「......悔しいな。僕じゃ、何にもできないのかよ...。」
目を合わせることなく、足早に去っていく張間を見つめながら、何もできない自分の無力さにイライラし始める。拳をギュッと握りしめ、その場に立ち尽くす。
西田「一体、誰が張間さんを...?」
西田の頭の中に、笑顔の張間が浮かび上がる。楽しそうに、嬉しそうに、わーわーとはしゃいでいる張間の姿。
西田「......もしかして...?」
張間の横に現れた、よく知らない二人の男。なんでも探偵部という、わけのわからない部活の先輩たち...西田はポケットからスマホを取り出すと、サッカー部の先輩にメッセージを飛ばした。
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