なんでも探偵部!

きとまるまる

文字の大きさ
上 下
88 / 330

88話「カッコいいにも色々ある①」

しおりを挟む



・登場人物

 間宮 傑まみや すぐる:♂ 二年生。なんでも探偵部の部員。

 口車 幹雄くちぐるま みきお:♂ 二年生。バドミントン部の部員。

 山本 吉晴やまもと よしはる:♂ 二年生。陸上部の部員。



ーーーーー



口車「はぁ.......。」


 昼休憩となった2-Aの教室。騒がしい教室内でもはっきりと聞こえるほどの大きなため息を吐き出した男ーーー口車 幹雄くちぐるま みきおは、チラリと目の前で昼食を食べている友を見つめる。間宮と山本は、気にすることなく昼食を食べている。


口車「...おい。」

間宮「なに、どうしたの?」

山本「やめろ、間宮。どうせ、しょうもないこと言うだけだから。聞くだけ無駄だよ。」

口車「おい、テメェ! しょうもないだと!? 無駄だと!? お前はそれでいいのか、山本! 友が悩んでいるのに放っておいて、そのまま見殺しにするのか!?」

山本「え? 死ぬほどの悩み抱えてるの?」

間宮「なにがあったの?」

口車「聞いてくれるか、お前たち...。俺は今、悩みに悩んでいてな...。」

山本「早く言えよ。」

口車「まず一つは、目の前の山本とかいうブサイクな男を、どう始末してやろうかということだ。」

山本「誰がブサイクだ、テメェ!!」

口車「お前以外に誰がいる!? 今すぐに鏡を見てこいや!!」

間宮「あの、喧嘩しないで...落ち着いてください...。口車くん、話の続きをお願いします。」

口車「俺は今、悩みに悩んでいてな...。その悩みというのは......どうして、俺に彼女がいないのだろうか?と、いうことだ。」

間宮「......。」

山本「......。」

口車「どうした、お前たち?」

間宮「いや、その...。」

山本「いつもの、無くならない悩みだな~と思いまして。」

口車「山本、今すぐに腹を切るがよい。」

山本「誰が切るか。」

口車「なぁ間宮、どうしてだと思う? どうしてこの俺様に、彼女がいないんだと思う? 頭も良くて、運動もできて...何より、かっこいいのに...。どうしてなんだ...?」

山本「頭良くて運動できるは否定しないけど、かっこいいは否定させてくれ。」

口車「うるせぇぞ、山本! お前には聞いてねぇ!! なぁ間宮、どうしてだと思う...?」

間宮「な、なぜなんでしょうか...? 僕にはわかりません...。」

口車「だよなぁ...俺様のような天才の悩みを、凡人の間宮くんがわかるわけないよなぁ...。」

山本「間宮、遠慮しなくてもいいんだぞ? 殴りたかったら殴ってもいいんだぞ? それが友達ってもんだ。」

口車「おい。」

山本「あとな、時にはハッッキリと言ってやるのも、友としてやらねばいけないことだぞ。はっきり言ってやれ、残念な性格だってな。」

口車「テメェェェ! 俺のどこが残念な性格なんだよ!? おい間宮、言ってみろ!!」

間宮「えぇぇ!? なんで僕!?」


 突如、教室内に黄色い声が響き渡る。


山本「ん?」

口車「おっ、なんだなんだ? ついに女子たちが、俺のかっこよさに気づいたか?」

間宮「違うよ、口車くん。」

口車「おい、違うってどういうことだ、間宮?」

西田「あっ、いた。間宮先輩。」

山本・口車「ん?」

間宮「どうしたの、西田くん?」

西田「あの、今から少しお話できませんか?」

間宮「今から? 別にいいけど。どこで話す?」

西田「下駄箱前でもいいですか?」

間宮「うん、いいよ。ちょっと行ってくるね。」

山本「お、おう。」

口車「......おい、山本。」

山本「わかっている。お前の言いたいことはわかっているよ、友よ。」

口車「あいつ...俺と同じくらい、かっこいいな?」

山本「テメェの何十倍もかっこいいわ。あの方に謝ってこい。」

口車「テメェェ!! 何十倍ってどういうことだ、ゴラァァァ!!」

山本「うるせぇぇぇ! 何度も同じことを言わせんじゃねぇぇ!!」

クラスメイト女子「ちょっと山本たち、さっきからうるさいんだけど~。」

山本「あ、ごめん。」

口車「ちょい、待て待て待て! 山本たちって、なに!? にしてくれない!? 俺がこいつよりも下みたいじゃん!?」

山本「みたいじゃなくて、下なんだよ!」

口車「んだと、テメェ!!」

クラスメイト女子「あんたら、ホント仲良いよね。」

口車・山本「よくねぇよ!!」

クラスメイト女子「そういうところよ。」
しおりを挟む

処理中です...