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89話「カッコいいにも色々ある②」
しおりを挟む下駄箱にやってきた間宮たちは、下駄箱前の自販機でそれぞれ飲み物を買っている。
西田「すみません、急に呼び出して。」
間宮「気にしないで。で、どうしたの? 話って?」
西田は、スッと間宮に頭を下げる。
間宮「...え?」
西田「ごめんなさい。」
間宮「え? ちょっ、西田くん!? なんで謝ってるの!? 僕、何にもされてないけど!?」
西田「この前のこと、ちゃんと謝罪できてなかったので...本当に、申し訳ありませんでした。」
間宮「この前...あぁ、あれね。気にしないでいいよ。西田くんも、張間さんのことで必死だったんだしさ。というか、僕の方こそごめんね。あの時、帰れなんて言って。」
西田「いいんです。はっきりと言ってもらえて...まぁ、傷ついてないかって言われたら、ちょっと傷つきましたけど...。」
間宮「だよね...。ホント、ごめん...。」
西田「いやいや、気にしないでください! 傷つきましたけど、あぁするのが張間さんにとって一番いいことだってのは、僕もわかってますし! ホント、はっきりと言ってくれて感謝してます! ありがとうございますありがとうございます!」
間宮「いやいやいや、僕の方こそ! こんな情けない弱っちい先輩なんかの言うことを聞いてくださってありがとうございますありがとうございます!」
西田「いやいやいや、僕の方こそ...!」
間宮「いやいやいや、こちらこそ...!」
西田「いやいやいや!」
間宮「いやいやいや!」
互いに頭をペコペコと下げあって、終わらない戦いを繰り広げる。頭をあげ、ふと目が合う二人。思わずフッと笑いあう。
西田「僕たち、似た者同士かもしれませんね。」
間宮「そうだね。」
間宮(顔の作りは、全く違うけどね...。)
西田「間宮先輩、どうしました?」
間宮「あ、いや、なんでもないです。気にしないでください。」
西田「...僕、不安だったんです。張間さんに酷いことしちゃったって...これからどうすればいいのか...謝って許してもらえるのかな...って。でも、次の日の朝、張間さんから声かけてくれて。笑顔で挨拶してくれて...すごく嬉しかったです。」
間宮「西田くんって、ホント張間さんのことが好きなんだね。」
西田「え? あ、いやいやいや! その、えっと...そ、そういうことを伝えたかったわけではなくてですね! その...張間さんが、あんなことあったにもかかわらず僕に笑顔で挨拶して...いつもと変わらず接してくれたのは、間宮先輩があの後フォローしてくれたおかげなんだって。」
間宮「いやいやいや、そんなことは。」
西田「そんな謙遜しないでください。あなたのおかげです、間宮先輩。本当に、ありがとうございます。」
間宮「あ、いや...えっと...どういたしまして?」
西田「間宮先輩、もう少し自信を持った方がいいんじゃないですか?」
間宮「あははは、よく言われます。」
西田「あなたは、あなたが思ってる以上に...かっこよくて素敵な先輩ですよ。」
間宮「.......。」
西田「それでは、そろそろ失礼します。ホント、ありがとうございました。」
間宮「あ、う、うん! こちらこそ、ありがとね!」
西田「僕は、なにもしてませんよ。では。」
ペコリと頭を下げて教室へと戻っていく西田...その背中を、じっと見つめる間宮。
間宮「...かっこいい、か。僕、かっこいい先輩になれてるのかな?」
フッと微笑み、空を見上げる。ピーピーと小鳥たちが、元気よく楽しそうに空を飛び回っている。
ーーー
間宮「ただいま。」
山本「おう、おかえり。なに話してたんだ?」
間宮「この前、部室で色々と話してたことがあってね。そのこと。」
山本「ふーん。しかし、お前にあんなイケメンの知り合いがいるだなんて、驚いたわ。」
間宮「僕も、今日急に声かけられてびっくりしたよ。」
口車「......。」
山本「どうしたんだ、口車?」
口車「...間宮。」
間宮「なに?」
口車「こんなこと、言いたくはないんだが...俺たちは友達だ。だから、はっきりと言わせてもらうぞ...。」
口車「お前...イケメンのそばにいたって、イケメンにはなれないんだぞ。」
山本「これで「なんでモテないんだ?」って言ってるお前が、俺たちはわかんねぇよ。」
間宮「そういうところだよ、口車くん...。」
口車「ん? なにが?」
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