なんでも探偵部!

きとまるまる

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95話「一年もあれば、色々と変わるもの②」

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 数日後、入部締め切り1日前となった放課後。間宮は部活紹介の冊子を持ちながら、廊下をウロウロと一人歩いている。


間宮「はぁ...どうしよう...? 明日締め切りなのに、まだ決まらない...。」

間宮(紗英さえは中学と同じで、テニス部に入ってるし...僕もやっぱり、テニス部にーーー。)


 中学の思い出が、頭の中でぐるぐると回り始める。バカにされ、笑われ、そしていじめられ...思い出したくもない思い出が次々に甦る。


間宮(もう、運動部には入らないって決めたんだ...。もう二度と、あんな目にあいたくない...。高校でも同じだ...きっと、下手くそってバカにされる。誰にも相手にされなくなる。文化部なら、そんなことはないはず...きっと...。大丈夫、大丈夫...だから、だから...。)


 自分を鼓舞して、顔をあげ歩き出そうとするが、足は大きく震え出し、前に一歩も踏み出せない。


間宮「...弱っちぃなぁ...僕は...。情けないなぁ...。」


間宮(M)部内の雰囲気を確かめるために、いろんなところに体験入部しようと思ったが...勇気が出ず、未だどこにも行けてない。きっともう、どこにも行けない...。どこに行っても、また中学の頃と同じことが起きそうで...。


間宮「先生に説明して、どうにかしてもらおう...。理由があれば、きっと入らなくてもーーー」

関「あぁ...クソが...。入部締め切りまで、あと一日...新入部員はゼロ...このままじゃ、廃部...。ちくしょうが...!」

間宮「...え?」


 間宮の数メートル先の扉が開き、関が頭を下げどんよりとした空気を纏いながら出てくる。


間宮(あ、あの人は...たしか、部活紹介の時にギャーギャー言ってた怖い人だ...! か、関わると、きっといいことがない...! め、目を合わせないように...。)

関「ん? おい、てめぇ。」

間宮「え?」

関「「え?」じゃねぇよ。なんだよ? なんか用か?」

間宮「え、え!? ぼ、僕ですか!?」

関「お前以外に、誰がいんだよ?」

間宮「え、あ、い、いや、ぼ、ぼ、僕は...!」

関「お前、一年か?」

間宮(うわぁぁぁぁ! 近づいてきたぁぁぁ!? これ、絶対あれだ!「何見てんだ、このクソガキが!」とか言われるやつだ! ど、ど、ど、どうしよう!? こわいよぉぉぉ!!)

間宮「は、は、はい! ごめんなさいごめんなさい!!」

関「なんで謝ってんだよ? 意味わかんねぇな、お前。」

間宮「ご、ごめんなさい!」

関「どうした? 道、迷ったか? まぁ、この学校結構広いから...って、お前もしかして...?」

間宮「ひぃ!? な、な、なんでしょうか!?」

関「その冊子...部活、まだどこにも入ってないのか?」

間宮「え?」

関「部活紹介の冊子を手にして、ウロウロしてるってことは...まだどこにも所属していない! そういうことだろ!?」

間宮「え? い、いや! ぼ、僕は...!」

関「なんだよなんだよ~! そんなことなら、早く言ってくれよ~! 見学か?見学にきたのか? そういうことだろ? お茶出してやるから、ゆっくりしてけよ!」

間宮「ぼ、ぼ、僕はーーー」

関「一名様、ご案内~~!」

間宮「え!? えぇぇぇぇぇぇ!?」
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