127 / 330
127話「ごっこ遊び⑦」
しおりを挟む陽は暮れかかり、街はオレンジ色に染まっている。家の近くまで来た新沼は、間宮にぺこりと頭を下げる。
新沼「間宮先輩、今日はありがとうございました。」
間宮「僕の方こそ、ありがとね。楽しかったよ。」
新沼「私も、凄く楽しかったです!」
間宮「じゃあ、またね。」
新沼「...あ、あの!」
間宮「ん? なに?」
新沼「え、えっと...そ、その......こ、恋人ごっこしてない時も...す、傑先輩って呼んでいいですか...?」
間宮「え?」
新沼「あ、いや、その...! い、いつ綾小路がいるのかわからないので...え、えっと...!!」
間宮「いいよ。じゃあ、僕は咲って呼んだ方がいいかな?」
新沼「え!? そ、それは...その...お、お好きにどうぞ...。」
間宮「わかった。じゃあ、また明日。学校でね。咲ちゃん。」
新沼「あ、は、はい!!」
間宮は軽く手を振ると、背を向けて歩いて行く。新沼も軽く手を振りながら、その背中をジッと見つめている。
新沼「......はぁ...。どうしちゃったんだろ、私...? なんか、変にドキドキしてる...。」
新沼「恋人ごっこのせいだ。そうだ、きっと...。距離近かったし、そのせいだ。」
新沼「......間宮先輩、ちょっとカッコ良かったな。」
新沼「...あぁぁぁ!? わ、私は一体なにを言ってるんだ!? べ、別に間宮先輩のことは、いぢめたい対象としか...! 別に、なんとも思ってない思ってない! ただの先輩! ただの先輩だから! 今日は、助けてもらったから! だから、なんかちょっとドキドキしてるだけ! 明日になったら、なんともないよ! うん!」
顔を真っ赤に染めて、自分に必死に言い聞かせる。ふと、先程の間宮の顔が頭の中に浮かび上がる。
間宮「じゃあ、また明日。学校でね。咲ちゃん。」
新沼「......な、なに...? この気持ちは...?」
新沼は、真っ赤な顔のまま、ドキドキと高鳴る胸を強く押さえつけた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる