なんでも探偵部!

きとまるまる

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130話「調子に乗るといいことない②」

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 数十分後、なんでも探偵部部室。新沼が椅子に座って関の話を聞いている。狗山、張間は、関の後ろに隠れて震えている。


新沼「悩みごとですか?」

関「そうだ。なにか悩んでることはないかい?」

新沼「特にこれといってないですけど。どうしたんですか?」

関「いやね、羽和くんが君の様子がおかしいとかなんとか心配してたからね。なにかあったのかと。」

新沼「ワンちゃ~ん? 私がおかしいって、どういうこと?」

狗山「ひぃ!?」

張間「さ、最近ボーッとしてるというか、なんというか!? げ、元気ないようにみえたみたいだから! そ、そうだよね!?」

狗山「そ、そ、そうなんっす!!」

新沼「というか、なんであなたたちは部長さんの後ろに隠れてるの?」

張間「いや、なんか身の危険を感じたというかなんというか...。」

新沼「え? なに? いぢめてほしいって?」

張間「あぁぁぁぁぁ! ごめんなさいごめんなさい!!」

狗山「るなら、安楽死にしてくださいっすぅぅ!!」

関「うん、いつも通りだね。」

新沼「はい。こんな感じなんで、大丈夫ですよ。でも、心配かけちゃったみたいね。ごめんね、心配してくれてありがと。」

狗山「に、新沼が...優しい言葉を!?」

張間「こ、こりゃ、なにか裏があるのかも...!?」

新沼「部長さん、そこ退いてもらえます?」

関「掃除するのめんどくさいから、血が出ない程度で頼むよ。」

張間「あぁぁぁぁぁ!? 部長ぉぉぉ! いかないでぇぇぇぇぇぇ!」

関「今のは君たちが悪い。」

新沼「......。」

関「ん? どうしたんだい、新沼くん。キョロキョロして?」

新沼「え? あ、いや...。すぐ...間宮先輩は、いないんですか?」

関「彼なら、多分先生の手伝いしてるだろうから、もうすぐ来ると思うよ。」

新沼「そ、そうなんですか...。よかった...。」

関「新沼くん、傑くんになにか用事があるのかい?」

新沼「え? あ、いえ!? べ、別になにも! と、とにかく、私はなんともありませんから。失礼しますね。」

関「あぁ。すまないね、急に呼び出して。」

新沼「気にしないでください。では。」


 新沼は軽く一礼すると、足早に扉へと向かい扉を開ける。


間宮「ん?」

新沼「...え?」

張間「あ、間宮先輩! こんにちは~!」

狗山「こんにちはっす。」

関「君、先生の手伝いしてたのかい?」

間宮「はい、よくわかりましたね。というか、狗山さんに咲ちゃん、どうしたの?」

張間「はっ!? ま、間宮先輩が名前を...!」

関「ヤツが来るぞ!!」

狗山「え? ヤツって誰っすか?」

張間「羽和ちゃん! 死にたくなかったら、話を合わせて!」

狗山「え!?!?」

新沼「い、いや...わ、わ、私は...その...え、えっと...!」

間宮「ん? どうしたの? なにか困りごと?」

新沼「い、いえ! べ、別に...!」

関「もぉ~ここに来るたび、イチャイチャしちゃって~!」

張間「お似合いのカップルだってことは、もうわかりましたから~!」

狗山「そ、そうっすね! 最高っす! え、えっと...最高っすね!!」

間宮「なに言ってんだ、お前ら?」

張間「そんなイチャイチャ見せつけたら、綾小路くんが可哀想だよ~!」

関「彼の全身の血がなくなっちゃうよ~!」

狗山「さ、最高っすね!!」

新沼「や、やめてよ、彩香ちゃん! べ、別に、イチャイチャなんてしてないし!!」

張間「......ん?」

関「ヤツ、こないね?」

狗山「あの、ヤツって誰っすか?」

間宮「お前ら、どうしたんだ急に?」

張間「いや、間宮先輩が咲ちゃんのこと名前で呼んでたから、ヤツが来るのかと思いまして。」

間宮「あぁね、そういうことか。」

関「しかし、来る気配がないね。」

間宮「ここ来るまで見かけませんでしたし、こないんじゃないですか?」

狗山「あの、ヤツって誰っすか?」

張間「ん? なら、なんで間宮先輩は咲ちゃんって呼んだんですか? 普段は、新沼さんって呼んでるじゃないですか。」

間宮「え? あぁ、それはーーー」

新沼「ま、間宮先輩!! わ、私、喉乾いちゃって!! あ、あの、屋上の自販機で売ってる、あの、えっと、あ、甘々オレッ!が飲みたいです!!」

間宮「え? あ、うん。」

新沼「わ、私、部長さんたちとお話ししたいことがあるので! か、買ってきてもらえませんか!? お金、渡しますから!!」

間宮「別にいいけど。」

新沼「ありがとうございます! これ、お金です! では、お願いします!! お願いします!!」

間宮「え? さ、咲ちゃん!? わかったから! 買うから! ちょっ、押さないで!」

新沼「す、すごく喉乾いてるんです!! あ、あと、咲じゃなくて新沼でいいですから!! はい!! はい!! お願いします!!」

間宮「じゃ、じゃあ、行ってくるね?」


 間宮は突然のことに戸惑いながらも、屋上へとゆっくり歩き出す。
新沼は、間宮が部室から出るや否や勢いよく扉を閉める。


新沼「はぁ、はぁ、はぁ...!」

関「たしかに、様子がおかしいね。」

張間「さっきまでは普通だったんですけどね。」

狗山「あの、ヤツって誰なんすか?」

関「傑くんが来てから、急におかしくなったね。」

張間「そうですね。間宮先輩が来てから...。」

関・張間・狗山「はっ!?!?」

関(さっきまでなんともなかった新沼くんが、傑くんが来た瞬間おかしくなった!)

張間(勉強ができないバカでも、簡単にわかる問題だ!!)

狗山(ヤツって誰か結局わからずじまいっすけど、これだけはわかるっす!!)

関・張間・狗山(日曜日! 二人になにかあった!!)

関「あっ! 私、傑くんに聞きたいことがあったんだった! 傑く~ん、待ってくださ~い!」

新沼「え!? 部長さん!? ちょっ!」

張間「さ~きちゃん!」

新沼「な、なに?」

狗山「どうしたんすか~? 悩み事があるんすか~?」

新沼「は? だから、さっきないってーーー」

張間「あっ、間宮先輩! おかえりなさ~い!」

新沼「ま、ままま間宮先輩!?」

狗山「おいおい、彩香~! 人違いっすよ~!」

張間「あ、ごめ~ん! 間違えちゃった!」

新沼「あ、あんたたちねぇ...!」

狗山「新沼、どうしたんすか~?」

新沼「べ、別に、なにもないって言ってるでしょ!!」

狗山「じゃあ、なんで顔真っ赤になってんすか~? まるで、茹でダコみたいに真っ赤っすよ~?」

張間「羽和ちゃ~ん、例えツッコミすごく上手だねぇ~! まるでみたい~!」

狗山「おいおい、やめろよ~! みたいとか、照れるじゃないっすか~!」

新沼「っ~~~!!」

張間(あ~! 気持ちいい! とても気持ちがいいよ!!)

狗山(いつも新沼には、やられっぱなしっすからね! 新沼の上にたてたみたいで、気持ちいいっす~!!)

張間「ねぇねぇ、咲ちゃん! もしかして、間宮先輩と何かあったの~!?」

狗山「友達だろ~! いつでも相談に乗るっすよ~!!」


 先程まで何かしらの反応を示していた新沼だったが、一言も話さず、静かに黙って俯いている。


張間「...あ、あれ? 咲ちゃん?」

狗山「ど、どうしたんすか...?」

新沼「...うふふふふ♡」


関(M)新沼 咲は、。この笑顔を見た二人は、この場にいてはいけないことを察した。すぐにここから離れなければ、命はないと...。

関(M)しかし、時すでに遅し。彼女たちが動き出そうとする前に...新沼 咲は、すでに動いていた。扉の前に立ち、彼女たちがこの部屋から出られないように、立ち塞がった。

関(M)退路を完全に塞がれた二人は、生き残る方法を必死に模索した。導き出された答えは一つ...。それだけしか、道は残されてなかった。

関(M)残された道を、全力で走り抜けようとする二人......だが、新沼 咲は二人に歩くことすら許さなかった。


新沼「ねぇ、すこ~し...遊ばない?」

新沼「痛いのは...好き?」

新沼「うふ...うふふふふふふふふふ♡」


関(M)一歩一歩、ゆっくりと近づいて来る、鬼と化してしまった友達......。必死に口を動かそうとするが、動かない。動かせない。恐怖で身体が固まる。目の前に、はっきりと見える死の恐怖...二人は、呑まれてしまった。


新沼「あ~~そ~~び~~ま~~しょ~~♡」


関(M)二人の脳内で、楽しかった思い出がメリーゴーランドのように、くるくると回り出した。
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