なんでも探偵部!

きとまるまる

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138話「バカでも風邪引く時は引く④」

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 放課後、コンビニの袋を携えた間宮が、張間家の前に立っている。


間宮「はぁ...。」

関「お見舞い、来ちゃいましたね~。」

間宮「すいませんね、付き合わせて。」

関「気にしないでくださいよ。さぁ、女の子の部屋に上がりこみますよ~!」

間宮「その言い方はやめろ!!」


 二人がインターホンを押そうとする前に、玄関が勝手に開く。


関・間宮「ん?」

張間「ふっ、よく来たな...待っていたぞ...! さぁ、始めようじゃないか...! 私たちの大乱闘を!!」


 ゲームのコントローラーを手に、寝巻き姿のままキメ顔で二人を出迎える張間。
間宮はスタスタと張間に近づくと、無言のままゲームのコントローラーを容赦なく取り上げる。


張間「あぁ!? ちょっ、返して! 返せ、こら!!」


 張間がコントローラーを取り返そうと、必死にぴょんぴょんと飛び跳ねる。関はニコニコ微笑みながら張間の腰に手を回すと、そのまま軽々と持ち上げ肩に担ぐ。


関「さぁ、お部屋でゆっくり寝ましょうね~! あなたの部屋、二階ですか?」

張間「やめろぉぉぉぉ! 離せぇぇぇぇ! 一緒にゲームがしたいんですぅぅぅぅ! しましょうよぉぉぉぉ!!」

間宮「張間さん、コントローラーはどこにしまっとけばいいの?」

張間「私の手に! さぁ、始めましょう! 間宮先輩!!」

関「ゲームをするときは、体調を良くして、テレビから離れてしましょうね~。さぁ、行きますよ~。」

張間「あぁぁぁぁぁ!?!? 離せぇぇぇ!!」

間宮「あいつ、本当に熱あるのか...?」



ーーー



 部屋へと連れ戻された張間は、ベッドで横になっている。


張間「ぶ、部長...?」

関「なんだい?」

張間「その手にしてる縄は、なんですか...?」

関「君が起き上がらないように、縛り付けるためのものさ。」

張間「も、もう起き上がりません! だから、それだけはぁぁぁ!」

関「よしよし。大人しく寝てなさいよ。」

張間「す、少しだけゲームは...?」

関「さぁてと...!!」

張間「あぁぁぁ~眠たくなってきた~~! 寝ちゃおうかな~~!?」

関「よしよし。そのまま完治するまで、大人しくしてるんだよ。」

間宮「張間さん、熱あるんだから大人しくしてなって。」

張間「だって、暇なんですもん...。それに、もう熱は下がりましたし!」

関「下がったからってすぐに暴れてたら、永遠によくなりませんよ。」

張間「うぅ...。」

関「ところで、ご家族の方はそろそろ帰ってくるのかい? 帰ってくるなら、長居はしないから。」

間宮「そうですね。長々といてもお邪魔ですし、プリン渡して帰りますか。」

張間「お父さんもお母さんも帰ってこないし、お姉ちゃんは仕事なんでまだまだ帰ってこないです! だから、もうちょっと一緒にいてください~!」

間宮「...帰ってこない?」

関「お父さんは野球のコーチしてるからわかるけども、お母さんもなのかい?」

張間「はい。お母さん、今は日本各地飛び回ってバレーボール教室開いてます。だから、当分帰ってこないです。」

間宮「もしかしてだけど...お母さんも?」

張間「元バレーボール選手です! お母さんは、日本代表にも選ばれたことあるんですよ!」

間宮「日本...代表...。」

関「君がバカみたいに動けるのは、遺伝なのね。」

張間「なので、お姉ちゃんが帰ってくるまでは一人なんですぅぅ! だから、帰らないでくださいぃぃぃ!!」

間宮「わかったから! ギャーギャー騒ぐな!」

関「では、もう少しだけお邪魔させてもらいますか。」

張間「よっしゃぁぁ! ...あっ! え、えっと...お、親がいないからって...エ、エッチなことはダメですからね!! きゃ♡」

関「傑くん、帰りますよ。」

間宮「大人しく寝てなよ。」

張間「おいゴラァァァ! 少しくらいは女として見ろや、おい!! ドキッとしろや!!」

関「女としてみてほしかったら、大和撫子になりなさいよ。」

張間「どっからどう見ても大和撫子でしょうが! 怒りましたよ! 風邪、移してやる! ペッ!ペッ!!」

関「汚なっ!? やめなさい! 張間菌を撒き散らかすのは、やめなさい!」

間宮「張間さん、大人しくしてなさい。」

張間「ガルルルルルルル!!」

間宮「大人しくしないなら、プリンあげないからね。」

張間「ヤダ! ヤダヤダヤダ!!」

間宮「じゃあ、大人しくしてなさい。」

張間「うぅ...。」

関「風邪引いてるとは思えないくらい、元気ですね。これなら、すぐによくなりそうですね。」

張間「部長~お腹すきました~! ご飯作ってください~!」

関「作ってって、食材買ってきてませんよ。」

張間「うちの使っていいですから~! お願いします~!」

関「やれやれ...病人ですし、少しくらい甘やかしますか。」

張間「やった! 美味しいの待ってます!」

関「はいはい。では、適当に食材お借りしますね~。傑くーん、暴れないようにしっかり見ててくださいよ。」

間宮「はいはい。」

張間「ふへへへへ! 部長のご飯、楽しみ楽しみ!」

間宮「体調は大丈夫なの?」

張間「大丈夫ですよ! だから、ゲームーーー」

間宮「しません。」

張間「ケチッ!」

間宮「大人しく寝てなさい。」

張間「ぶぅ...! あっ、間宮先輩! プリン!」

間宮「はいはい。」

張間「食べさせてください!」

間宮「は?」

張間「あーんしてください!」

間宮「なんで?」

張間「私は病人ですよ! 甘やかしてください! ほら、早く!」

間宮「はいはい...。」
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