なんでも探偵部!

きとまるまる

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140話「バカでも風邪引く時は引く⑥」

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 数分後、リビング内で四人が椅子に座っている。恵、関、間宮は気まずそうに顔をうつむかせて、変な空気がリビング内に流れている。
が、張間は少しもそんなこと気にせず、関が作ってくれたご飯をもぐもぐと空気を読まずに食べ進めている。


恵「あ、あの...ご、ごめんなさい...。」

間宮「あ、あの、こちらこそ...。」

関「勝手に食材使ってごめんなさい。」

間宮「そこじゃねぇよ!!」

恵「ま、まさか、部活の先輩方がお見舞いに来てくれてるなんて思ってなくて...。び、びっくりしちゃって...。」

間宮「い、いや、見知らぬ男が台所で料理してたら、誰でもそういう反応しますので...気にしないでください。むしろ、一発くらいはぶん殴ってもよかったんですよ。」

恵「え...そうなんですか...?」

関「傑くーん! 第一印象最悪なんだから、これ以上追い討ちかけるのはやめてくれる!?」

恵「わざわざお見舞いに来てくださって、ありがとうございます。あの、よかったら今からご飯作るので、食べていってくれませんか?」

張間「お姉ちゃんのご飯はとっても美味しいですよ~! どうぞ食べてってください!」

関「張間くん、私の作ったご飯はどうだい?」

張間「お姉ちゃんの作るご飯の次に美味しいです!」

関「ほう...それは気になるね。」

恵「うふふ。そんなこと言われちゃったら、いつもより頑張らなくちゃ!」

間宮「え? あ、いや、僕らは...。」

恵「遠慮しないでください。いつも彩ちゃんがお世話になってるので、そのお礼もさせてください。この子ったら、風邪引いてるのに学校行きたい行きたいってわがまま言ってたんですよ。きっと、あなたたちといるのが楽しいんだなって。この子、うるさいくらい元気でやかましい子ですけど、これからもよろしくお願いします。」

張間「お姉ちゃん! やかましいは私に失礼じゃない!?」

恵「本当のことでしょ。よかったね、うるさくても隣にいてくれる人たちで。ちゃんとお礼言いなさいよ。」

張間「うるさーーーい!!」


 はいはいと呟きながら、恵は立ち上がりキッチンへと歩いていく。


関「...全然似てないね。」

間宮「性格が真逆ですね。」

関「きっと、落ち着くということを全部お姉さんが持っていってしまったんだろう。」

間宮「その可能性はありますね。」

関「油断はいけないぞ、傑くん。人間誰しも、欠点がある。これはきっと、料理全然できないタイプだ。」

間宮「漫画の王道ですね。」

関「心の準備はできたかい?」

間宮「はい。何が出てきても残さず食べます。」

張間「部長~おかわりは~?」



ーーー



 数十分後、テーブルに並べられた料理を、関と間宮は手を緩めることなく食べ進めている。


関「う、うまい...!? どうなってる!? 箸が止まらないぞ!!」

恵「よかった。お口にあって。」

間宮「い、今のところ、欠点が見つかりませんよ!?」

関「彼女こそ、大和撫子にふさわしい! なぜ、大和撫子をずっと近くで見てきたのに、あんな口うるさい猿に成長してしまったんだ!?」

間宮「張間さん、今からでも遅くないよ。お姉さんみたいになりなさい。」

張間「おいこら、てめぇら!! 今すぐ表でろ!!」

関「こらこら、食事中にギャーギャー騒ぐんじゃありません。」

張間「私は、もう食べ終わってますからいいんです!  このクソ部長がぁぁぁ!!」


 張間は、関の頬を力任せに引っ張る。


関「あだだだだだ!?!?」

張間「このまま、ほっぺた引きちぎって焼いて食ってやるわぁぁぁぁ!!」

間宮「張間さん、不味いからやめときなさい。」

関「なんだと、傑のアホ野郎がぁぁぁ!!」


 関は頬を引っ張られながらも、隣に座っていた間宮の頬を引っ張りだす。


間宮「いでででででで!?!?」

関「傑くんは、張間くんの頬を! これでトライアングルが完成だだだだだだだ強い強い!! 張間くん、力強い! マジでちぎれるぅぅぅぅ!!」

張間「間宮ぁぁぁぁぁ! 引っ張ったらどうなるか、わかっとるやろうなぁぁぁぁ!?」

間宮「いでででで!! 早く離せ、クソ先輩がぁぁぁぁ!!」

関「君がやらないなら、私がやってあげますよぉぉぉぉ! 張間くぅぅぅん! 私たちは、仲間ですよぉぉぉぉ!!」


 関は片手ずつ張間、間宮の頬を引っ張りだす。


張間「痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃ!! 病人に優しくしろ、このやろぉぉぉぉ!!」

間宮「はよ離せぇぇぇぇぇ!!」

関「部長をあがめ讃えろ!! そうしないかぎりは、決して離さんんんんん!!」

恵「うふふ...! 楽しそうねぇ。あの勉強嫌いの彩ちゃんが、学校に行きたいわけだ。青春してるなぁ~。」

関「あぁぁぁぁぁ!?!? そろそろダメ! 本当にダメ!! マジでちぎれる! ちぎれるぅぅぅ!!」

張間「はっはっは!! いつもやられっぱなしだと思うなよぉぉぉおだだだだだ!?!? 痛いですってばぁぁぁ!!」

間宮「早く離せって言ってんだろぉがぁぁぁ!!」

恵(......さすがに、そろそろ止めないとね。)

恵「こらこら、彩ちゃん。先輩を困らせないの。」

関・間宮・張間「「早く離せぇぇぇ!!」」




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