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153話「子の面倒を見るのは、親の役目③」
しおりを挟む「噂で聞いていた通り、みすぼらしい部室だこと。よくこんな部室で部活動ができますわね。」
関「おやおや、初めましてでとんでもないこと言ってくれますね、この子。」
間宮「あの、どちら様ですか?」
張間「あっ、卯ノ森さんだ。」
関「おや、張間くんのお知り合いですか?」
張間「同じクラスの子です。あんまり喋ったことないですけど。」
関「おや、そうだったのですね。こんにちわ、初めまして。私の名前はーーー」
卯ノ森「関 幸、でしょ? 言わなくてもわかっていますわ。」
張間「部長、一方的に知られていますよ!!」
関「もしかして私、意外と人気者なのかしら!?」
間宮「そんなわけないだろ。」
卯ノ森「私の名前は、卯ノ森 沙月ですわ。一年ながら、あの生徒会執行部に所属している、誰もが憧れるお嬢様よ。」
間宮「自分で自分のこと、お嬢様って言ってるよ...。」
張間「部長、生徒会って入るの難しいんですか?」
関「人数制限はありますけど、とんでもない問題児でない限り、誰でも入れますよ。」
張間「なーんだ。誰でも入れるのか。」
卯ノ森「お、お黙り!! それは、去年までの話ですわ! 今年からは、とんでもなく厳しくなったんです! なにも知らないくせに、ごちゃごちゃ言わないでくださいまし!」
張間「それで、生徒会の卯ノ森さんは、何しにしたの? もしかして、困りごと?」
関「生徒会の人間がここを頼ってくるとは思えませんけどねぇ...灯ちゃんがいますし。とにかく、話を聞きましょうか。こちらへどうぞ。」
卯ノ森「私がここに来た理由...それは、一つだけですわ。今日で、あなたたちはーーー」
張間「あっ、卯ノ森さんはお茶とジュースどっちがいい?」
卯ノ森「え?」
張間「やっぱり、ジュースがいい? パッと見、お子様だし。」
卯ノ森「ちょっ!? だ、誰がお子様ですって!? 私は、高校一年生ですわよ! もう立派な大人ですわ! 子ども扱いしないでくださいまし!」
関「みかんジュースとりんごジュースなら、どちらがいいですか?」
卯ノ森「なに、その聞き方!? バカにしてるわね!? みかんとかりんごとか、お子ちゃまの聞き方しないで! オレンジかアップルかで聞きなさい!」
間宮「たいして変わらないと思うけど...。」
張間「ビーフorチキン?」
卯ノ森「それは、もちろんビーフですわ! 最高級の...って、どういうことよ!? なんで飛行機の中みたいなこと聞いてきてんのよ!? みかんかりんご...じゃなくて、オレンジかアップルでしょ!!」
張間「じゃあ、卯ノ森さんはオレンジね。私はアップル~!」
卯ノ森「あっ、ちょっ、待ちなさい! 私もアップルがいいですわ!」
関「張間くん、お客様優先ですよ。あなたはオレンジジュースになさい。」
張間「はいはい、わかりましたよ。まぁ、私は大人ですから、アップルじゃなくてもいいですし~? 我慢できますし~。」
卯ノ森「わ、私だって、もう大人ですから! 飲み物なんて、飲めればなんでもいいですわ! お子ちゃまのあなたに先に選ばせてあげますわ! 感謝なさい!」
張間(計画通り。)
間宮「張間さん、とんでもない顔になってるよ。」
関「お客様、お待たせしました。こちら、Orange juiceでございます。」
卯ノ森「ありがとうですわ。まぁ、こんなことしても、今更あなたたちの評価も未来も変わりませんけどね。」
関「それで、卯ノ森くんはどうしてここに来たんだい?」
張間「もしかして、ジュースが貰えるからとかいう理由じゃ...!?」
卯ノ森「だーかーらー!お子ちゃま扱いするなって言ってるでしょ! そんな子どもみたいな理由で来るわけないでしょ! しっかりちゃんと、大人の理由があってきたのよ!」
関「ではでは、その大人の理由とやらを聞かせてください。」
卯ノ森「いいでしょう、聞かせてあげますわ。」
張間「大人の理由...一体、どんな理由なのやら...!?」
関「ドキドキワクワクが止まりませんね...!」
間宮「いいから、黙って聞いてろ。」
卯ノ森「単刀直入に言わせてもらいます。本日をもって、なんでも探偵部は廃部となりますわ!」
張間「......え?」
関「はい?」
卯ノ森「驚くのも無理ありませんわ。でも、これはすでに決まったことですの。だから、あなたたちが何をしようがーーー」
関・張間「「はいぃぃぃぃぃ!?!?」」
卯ノ森「ひぃぃ!? ちょっ、いきなり大声を出さないでくださいまし! びっくりしてーーー」
張間「ぶ、ぶぶぶぶぶ部長!! どういうことですか!? なんなんですか、これは!?」
関「こんな横暴、許されるわけがない! 今すぐに抗議しに行くぞ、張間くん!!」
張間「了解でありますっ!!」
卯ノ森「ちょっと、あなたたち! 私の話はちゃんと最後までーーー」
関「生徒会のやろうどもぉぉぉぉ!!」
張間「許しはせんぞ、ごらぁぁぁぁ!!」
卯ノ森「だから、私の話を...って、待ちなさぁぁぁぁい!! 私を無視するんじゃないわよ! 戻ってきなさい! ちょっ、待ってぇぇぇぇ!!」
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