なんでも探偵部!

きとまるまる

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159話「夏に白球〜前編〜①」

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登場人物


 大賀 雄太おおが ゆうた:♂ 一年生。野球部の部員。ポジションは、投手。

 甲柱 光かばしら ひかる:♂ 一年生。野球部の部員。ポジションは、捕手兼外野。

 今本 健斗いまもと けんと:♂ 三年生。野球部のキャプテン。ポジションは、遊撃手。

 山上 剛やまがみ たける:♂ 三年生。野球部の部員。ポジションは、三塁手。

 鈴田 悠也すずた ゆうや:♂ 三年生。野球部の部員。ポジションは、右翼手。

 福川 和貴ふくかわ かずき:♂ 三年生。野球部の部員。ポジションは、一塁手。

 鶴森 健也つるもり けんや:♂ 三年生。野球部の部員。ポジションは、捕手。

 菊谷 秀吾きくたに しゅうご:♂ 三年生。野球部の部員。ポジションは、二塁手。

 石山 晃いしやま あきら:♂ 三年生。野球部の部員。ポジションは、投手。

 本島 春樹もとしま はるき:♂ 二年生。野球部の部員。ポジションは、中堅手。



ーーーーー



 とある地方球場へとやってきた、探偵部ご一行。張間は球場の入り口を見上げ、ニヤリと口角をあげると、カバンから黄色いメガホンを二つ取り出し、後方にいた関たちに勢いよく振り向く。


張間「さぁさぁさぁ! ついにこの日がやってきましたよ! 我が東咲とうしょう高校野球部の準決勝が!!」

関「いぇーーい!」

間宮「暑い...早く帰りたい...。」

張間「おいこら、そこぉぉぉ! なに弱気なこと言っとんじゃい!! そういう弱気な発言は、選手たちにも伝染するんですよ! 大会中は控えてください! わかりましたね!?」

間宮「はいはい、わかりましたよ...。」

張間「応援というのは、選手たちの力を何倍にも引き上げる素晴らしいモノです!! なので、私たちが全力投球で応援して、今日明日と勝って甲子園に乗り込みましょう!! いくぞ、お前らぁぁぁぁ! 東咲~~ファイ、オォォォ!!」

関「おぉ~~!!」

間宮「暑苦しい...。」



ーーー



 球場内、グラウンド。東咲高校側のベンチ前では、選手が円陣を組み気合を入れようとしている。


今本「え~では、キャプテンからの一言、言いま~す。」

山上「さっさと言え。」

鈴田「つーか、もっと気合入れろよ。」

石山「緩すぎないか?」

今本「え~本日は、お日柄も良く、絶好の野球日和となりーーー」

鶴森「そういうのはいいんだよ!!」

福川「さっさと本題に行け!!」

菊谷「しっかりしろ、キャプテンだろ!!」

今本「そんな怒らなくてよくない? お前らの緊張をほぐしてやろうと、色々考えてやってんのに...ホント...そんな怒らなくてもさ...ふ、ふふふ...!」

野球部員「「笑うポイント、どこにあんだよ!?!?」」

甲柱「先輩たちは、いつも通りだな。」

大賀「気ぃ抜けるわ。」

今本「お前ら、今日は準決勝だ。相手は、甲子園常連の駒原こまはらだ。」

山上「わかってんだよ、んなことは。」

鈴原「改めて言わなくてもわかってるわ。」

今本「駒原高校さんは、なんとここまでの試合、全て二桁得点で勝ち上がってきている。とんでもなく恐ろしいところだ。」

石山「改めて言うな。俺を不安にさせるな。」

今本「甲子園常連高、ここまで二桁得点...ここまで言えば、言わなくてもわかっていると思うが...あえて言わせてくれ。」

鶴森「なんだよ?」

福川「さっさと言え。」

菊谷「早くしろ。」

今本「ぶっちゃけ、今日見にいらっしゃる皆様方全員、俺たちが勝つとは思ってないだろう! 誰一人として!!」

野球部員「「とんでもねぇこと言ってんじゃねぇぞ、てめぇぇ!!」」

今本「応援に来てくれてる人たちも「勝てるのかな...?」って不安でいっぱいだと思う!!」

野球部員「「今すぐ謝れ、クソ野郎!!」」

今本「だから、そんな気負わずにリラックスして行こうぜって話しなのに...そんなマジな顔してさ...! あ、あははははは!!」

鶴森「だぁぁぁ! やっぱダメだ! 誰だ、こいつをキャプテンに指名したやつ!?」

福川「今すぐにキャプテンやめちまえ!」

菊谷「お前には重荷だわ! とっとと捨てろ!!」

鈴田「頭がいてぇ...。」

石山「不安でいっぱいになってきた...。」

山上「やっぱり、キャプテンは俺しかいねぇよ。こんなやつに任せておけねぇ。」

野球部員「「いや、お前よりは絶対にマシだ。」」

山上「てめぇら、今すぐにそこに並べぇぇ!! 一人ずつ腹にフルスイングしてやらぁぁぁ!!」

鶴森「ぎゃぁぁぁ!? 山上がキレたぞぉぉぉ!」

福川「抑えろ!! 抑えつけろぉぉぉ!!」

菊谷「落ち着け、山上ぃぃぃぃ!!」

甲柱「先輩たちは、いつ見ても面白い人たちだな。」

大賀「冗談抜きで、さっさと引退しねぇかな? この人たち。」

山上「大賀ぁぁぁ!! 聞こえてねぇと思ったかぁ!? まずは、てめぇからフルスイングしてやる!! そこに立てぇぇ!!」

鶴森「だから、落ち着けって!!」

福川「試合始まる前に終わっちまうぞ!? 暴力野球部として全国賑わせるぞ!?」

菊谷「暴れるなら、野球で暴れろぉぉぉ!!」

今本「いやぁ~やっぱりおもしれぇわ! 最高だよ、あはははは~!!」

鈴田「笑ってないでなんとかしろや! お前が撒いた種だろ!!」

今本「はいはいはいはい、わかってますよ。あーおもしろっ...!」

今本「おーい、お前ら。ぎゃーぎゃーしながらでもいいから、耳だけ貸して。」

今本「俺は、このメンバーが大好きだ。このメンバーで一日でも長く野球してぇ。だから、今日も絶対ぜってぇに勝つぞ。甲子園の常連だろうが、二桁得点マンだろうが、俺たちには関係かんけぇねぇ。立ち塞がるならぶっ潰すのみだ。」

今本「もし怖くなったのなら、今までしてきた努力を思い出せ。ここにいる仲間を、応援しにきてくれた人たちを見ろ。そんでも怖さが抜けねぇなら、俺がケツ蹴り飛ばしてやる。いつでも頼ってこい!」

鈴田「おーおー、いいことも言えるじゃねぇか。」

山上「気合入れるのなら、俺も手伝ってやるよ。ケツバット、フルスイングできめてやる。」

石山「いや、死ぬわ。」

今本「今日勝って、明日も勝って、甲子園に乗り込んで、勝って、勝って勝って勝って! 最後に最高の笑顔咲かせて、俺たちの夏を締めくくろうや!」

鶴森「言われなくても!」

福川「やってやんよ!」

菊谷「全力全開じゃぁ、ボケぇぇ!!」

甲柱「なんだかんだ、頼りになる先輩たちだよな。」

大賀「けっ。」

今本「いくぞ、お前らぁぁぁぁ!! 東咲ォォォォォ!!」

野球部員「「ファイ、オォォォォォォォォォォ!!」」
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