なんでも探偵部!

きとまるまる

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161話「夏に白球〜前編〜③」

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実況「打ったぁぁ! ライトの後ろへ落ちる! 二塁ランナー三塁を蹴った!」

実況「二塁ランナー、ホームインッ! 東咲高校、ワンアウトから三連打で一点を返しました! 一年、甲柱タイムリーツーベース!! これで二打数二安打!」

張間「うおぉぉぉぉ!! 甲柱くぅぅぅぅん!!」

関「素晴らしいバッティングでしたね~! いいぞいいぞ、甲柱くーーん!!」

間宮「すごいとしか言えない...。」

今本「ナイスバッチ、甲柱~!!」

鈴田「お前、打ちすぎだぜ! 最高だぜ、この野郎がぁぁ!」

菊谷「もっとガンガン打ちまくれ~!!」


関(M)ワンアウト、二、三塁。最低でも、ここで同点に追いつきたい場面だったが...簡単に流れを渡さないのが、駒原高校の強さ。8番、二年の本島 春樹もとしま はるきくんを三振に。そして9番、石山くんをファーストゴロに打ち取り、危なげなくピンチを切り抜ける。


 五回表、ワンアウトランナー一塁。
駒原高校の4番が、勢いよくバットを振り抜く。金属の甲高い音が球場内に響き渡ると、白球はレフト方向はるか遠くへと打ち上がっていく。


実況「打ったぁぁぁ! レフト見上げる! もう追いかけない! 入ったぁぁぁ!! 東咲高校を更に突き放す、ツーランホームラァァン! これで、4対1!」

大賀「だぁぁぁ!! もう、見てられねぇ!! 監督、とっとと投手ピッチャー交代ーーー」

監督「お前は黙って肩温めとけ!!」


関(M)追い上げムードを一蹴する、4番の一振り。東咲高校は三点差へと広げられ、スタンドには嫌な空気が漂い始める。だが、東咲高校のエースは、このままやられっぱなしでは終わらない。


石山「ふっ...!!」


 石山が投げ放つ緩いボールにタイミングをずらされた打者は、白球をバットの先に当てる。コロコロと力なくボールは二塁手の手前へと転がっていく。


石山「二塁手セカンッ!!」

菊谷「わーってるって!!」


 二塁手、菊谷は素早くボールをグラブに収めると、二塁のカバーに入っている今本へと手早く投げ渡す。二塁審判のアウトコールが耳に届くとほぼ同時に、今本も手早く一塁へとボールを投げる。


審判「アウトッ!」

実況「ダブルプレー! スリーアウト、チェンジ!! 石山、ホームランの後に四球フォアボールでランナーを出しましたが、ここは得意のカーブでダブルプレーに仕留めました!!」

石山「サンキュー守備陣!」

菊谷「こんくらい、余裕だっつーの!」

今本「もっと打たれてもいいぞ! ただし、捕れるやつな!!」

石山「わかってるわ!」

張間「よーしよしよしよし! よく耐えた! よーしよしよしよし!」

関「いや~ヒヤヒヤしましたねぇ~。」

間宮「でも、ホームラン打たれて三点差ですよ...。三点は、大きくないですか...?」

張間「なに言っとんじゃい! まだ五回ですよ!? 野球は九回まであるんです! 逆転のチャンスはまだあります! さぁ、応援しますよ!! 東咲高校は、この回は一番からの好打順! ピンチの後は、チャンスあり! ここから、ガンガン行きますよ!!」

間宮「ガンガン行ければいいけどな...。」



 五回の裏、東咲高校の攻撃。
一番の菊谷が四球で出塁し、二番がバントを決め、ワンアウトランナー二塁。


実況「さぁ、ワンアウトランナー二塁で迎えるは、東咲高校のキャプテン、三番遊撃手ショート、今本! 第一打席に、レフト前ヒットを放っています。ここでランナーを返して、点差を縮めることができるか?」

張間「いけーーー! ショートさぁぁぁぁん!!」

関「打てるよ打てるよ、君なら打てるよーー!!」

間宮「が、頑張れーー!」

実況「初球、打ったぁぁぁ! ライトフェンス直撃! 二塁ランナーそのままホームに突っ込む!」

実況「ホームインッ! 東咲高校、二点目! キャプテンのバットで、点差を二点に縮めました! 今本、タイムリーツーベース!」

張間「よっしゃぁぁぁぁ!! さすが、ショートさん! かっちょいいぞぉぉぉぉ!!」

間宮「す、すごい...! カッコいい...!」

関「ナイスバッチ、健ちゃん!! さぁ、こっからこっから! 繋げてこぉーー!」

張間「次は、四番ですよ! ホームランで一気に同点! こりゃ期待するしかないですよ!」

関「いけぇぇ! たけちゃん、打て打てぇぇぇ!」

張間「かっ飛ばせーー! たーけーちゃぁぁぁん!!」

間宮「頑張れー!」


関(M)しかし、四番、五番と連続三振となり、攻撃を終えてしまう東咲高校。


張間「だぁぁぁ! なんてこったい!!」

関「うーん...チャンスは作るものの、あと一本がでませんね...。」

間宮「はぁ...見てるこっちも疲れるよ...。」

張間「切り替えてこ、切り替えてこぉぉぉ!! まだ攻撃チャンスはあるよぉぉ! 守備でリズム作って、逆転しましょぉぉぉぉ!!」

関「きっちり守って、攻撃に繋げよぉぉぉ!! ファイトォォォ!!」


間宮(M)六回表、駒原高校の攻撃。七番からの攻撃を、石山さんが三人でピシャリと抑え、危なげなく攻撃へと移る。

間宮(M)でも、東咲高校も中々攻撃が繋がらず...ワンアウトで甲柱くんが四球で塁にでるも、続く八番、九番がヒットを打てず、六回はゼロが刻まれる。2対4とリードを許したまま、終盤へと突入してしまう。

関(M)七回表、駒原は一番からの好打順。エース石山くんの粘りのピッチングで、先頭打者をライトフライに打ち取る。が、続くバッターには、ライト前ヒットを打たれ、ワンアウト一塁...。
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