なんでも探偵部!

きとまるまる

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166話「夏に白球〜前編〜⑧」

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実況「入ったァァァァァ!! 逆転、スリーランホームランンンン!!」

甲柱「......!」

山上「マジかよ...!」

実況「五番、原山はらやまの起死回生の一発ッ! 駒原の夏は、まだ終わらない! 駒原の夏は、まだ終わらせない!」

張間「そ、そんな...!」

間宮「あと、アウト一つだったのに...。」

実況「バッターランナー、ホームイン!! 7対6! 駒原高校、九回ツーアウトからの逆転!! まだ勝負は終わらない!!」

大賀「......。」

今本「気合い入れろ!! まだツーアウトだぞ!!」

大賀「っ...!」

今本「次、しっかり抑えて攻撃に繋げるぞ! まだ勝負は終わってねぇだろ!! 声出してくぞ!!」

大賀「っ...! わかってらぁ!!」


関(M)キャプテンの気合の言葉も、駒原の勢いを止めることはできず...六番に四球、七番にはレフト前ヒットを打たれて、再度一二塁のピンチを迎えてしまう...。そしてーーー


ウグイス嬢「東咲高校、選手の交代をお知らせします。投手ピッチャー、大賀くんに変わりまして...前園まえぞのくん。背番号、11。」

張間「大賀くん...あと、アウト一つだったのに...。あと、一つ......。」

関「......。」


 思いもしない出来事に、言葉を失う二人。間宮は息を大きく吸い込み、二人の背中を力強く叩く。


張間「いったぁぁぁい!? 何するんですか!?」

間宮「そういう空気は選手に伝染うつるって言ったの、あんたらでしょうが!!」

関「傑くん...。」

間宮「まだ試合は終わってませんよ! まだ、僕らの攻撃が残ってます! 全力で応援して、選手に力を与えるのが僕らの役目でしょうが!! きっと、逆転してくれますよ!!」

関「...そうですね。傑くんの言う通りです!」

張間「その通りです、間宮先輩! いいこと言ったで、間宮先輩!! 私、喉が引きちぎれるくらい声出して応援します!!」

間宮「いや、それはやりすぎ...いや、それくらいの気持ちで応援しよう!!」

張間「はい!! 了解でっっす!!」


 投手交代を告げられた大賀だが、顔を俯かせたまま、なかなかマウンドから降りようとはしない。


大賀「......。」

前園「大賀...。」

今本「...大賀、悔しい気持ちはわかるがーーー」

大賀「前園さん。」

前園「な、なんだ?」

大賀「...ピンチで回して、すんません。後、頼んます...。」


 大賀はボールを前園に手渡し、顔を俯かせたままマウンドを去っていく。


山上「...おい、てめぇら...! 一年坊主にあんな顔させたままで、終わるわけねぇよな?」

今本「当たり前だろ...! サクッとワンアウトとって、逆転すっぞ!!」


関(M)逆転を許し、ツーアウトながら未だ一二塁のピンチを迎えている東咲高校は、大賀くんを下げ、三年の前園くんでピンチを切り抜けることを決める。が、勢いづいた駒原の打線を止めることは、そう簡単ではなかった。


実況「打ったァァ!! ライトの前! 三塁ランナー、ホームイン!!」


関(M)八番にセンターへ抜けるタイムリーツーベースを打たれ、次のバッターにもヒットを許し、更に二点を追加される。最後のアウトを取る頃には、5という重たい数字がスコアボードに刻まれていた。

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