なんでも探偵部!

きとまるまる

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176話「先輩と後輩⑦」

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 閤の店から出た二人は、並んで歩きながら張間の家へと向かっている。
張間は恥ずかしいのか、顔を少し俯かせながら間宮の隣を歩いている。


間宮「張間さん。」

張間「な、なんですか!?」

間宮「どうしたの?」

張間「え? な、なにがですか!?」

間宮「いや、なんか変というかなんというか?」

張間「へ、変じゃないですよ!!」

間宮「そう?」

張間「あ、あれかもです! 今日は、疲れちゃったから! うん! あはははは!!」

間宮「そうだね。僕も、すごく疲れたよ。帰ったら、すぐ寝ちゃいそうだよ。」

張間(うぅ...か、帰る前にあんなこと言われたら...なんか意識しちゃうよぉ...!)

張間(べ、べべべべ別に私は、間宮先輩のこと...間宮先輩のこと...。)

張間(......。)

間宮「張間さん、どうしたの?」


 ふと足を止めた張間へ振り返り、間宮も足を止める。俯き、ギュッとスカートの裾を握りしめている張間ーーー


張間「...ま、間宮先輩。」

間宮「なに?」

張間「あ、あの...えっと...。」

間宮「ん? どうしたの?」

張間「あ、あ、明日...その...。」

間宮「明日? 明日は、部活休みでしょ?」

張間「そ、そうです! だから、その......あ、遊びに行きませんか? 閤先輩からお金もらいましたし...。ダ、ダメですか...?」

間宮「えぇ、せっかくの休みなのに。」

張間「な、なんですか、それ!? 私と遊ぶのは嫌なんですか!?」

間宮「冗談だよ。いいよ。」

張間「ほ、本当ですか!?」

間宮「うん。どっか行きたいところあるの?」

張間「あ、えっと...と、特には...。」

間宮「そうなの? てっきり、行きたいところがあるのかと。」

張間「ま、間宮先輩は、どこかありますか?」

間宮「うーん...あ、そうだ。見たいなぁって思ってた映画があるんだけど...。」

張間「じゃあ、それ行きましょう! そうしましょう!」

間宮「いいの?」

張間「はい、大丈夫ですよ! なにが見たいんですか!?」

間宮「これだよ、これ。」

張間「ん~どれどれ~?」


張間(M)ずっと、一緒にいたいって...なんでかわかんないけど、ふっと思った。部活が終わった後も、遊び終わった後も、ずっとずっと。

張間(M)なんでこんなこと思うようになったのかは、よくわからない。

張間(M)この気持ちは...まだ、よくわからない。


張間「送ってくれてありがとうございます!」

間宮「今日は、お疲れ様。」

張間「間宮先輩もお疲れ様でした!」

間宮「うん、ありがと。じゃあね、張間さん。また明日。」

張間「はい! また明日!」


 張間は、豪快に間宮へと大きく手を振る。間宮はその姿を見て微笑みながら小さく手を振り返すと、背を向け歩きだしていく。


張間「...うふふ~! また、明日!」


張間(M)学校があるときは、ほぼ毎日会えてた。一緒にいるのが、当たり前だった。

張間(M)でも、夏休みに入ったから、毎日は会えない。学校がある日に比べると、会える日は極端に減ってしまった。

張間(M)だから、夏休み中に「また、明日」って言葉が聞けて、とてもとても嬉しかった。

張間(M)夏休みは、まだ始まったばかりだ。


 張間は、ジッと小さくなっていく間宮の背を見つめている。


張間(M)私、おかしくなっちゃったのかな?

張間(M)あんなに楽しみだった夏休みが、さっさと終わればいいのにって...ふと、思ってしまったのだから。
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